ウェールズ自治政府、小売店閉鎖など強力なロックダウンへ

(英国)

ロンドン発

2020年10月21日

新型コロナウイルス感染再拡大をめぐり、英国のウェールズ自治政府は10月19日、同地域全域を対象に短期間の強力なロックダウンを導入することを発表した。同自治政府はこれまで、感染レベルが高い17地区で地域限定の「ローカル・ロックダウン」を導入し、域外との往来の制限などを行ってきた。それでも感染拡大が収まらないことを受け、ウェールズ全域での規制強化に踏み切ることになった。「防火帯(Firebreak)」と名付けた新たなロックダウンの概要は以下のとおり。10月23日午後6時から11月9日まで施行する。

  • 運動など限られた目的を除き外出を禁止。
  • 可能な限り在宅勤務。
  • 屋内外を問わず世帯間交流を禁止。
  • ハロウィーンなど野外集会を禁止。
  • 食品小売店以外の小売店、飲食店の営業を禁止(持ち帰り・宅配営業を除く)。美容院などの接近型サービス、ホテルなどのイベント・観光業も閉鎖。
  • 公共交通機関やタクシーなど屋内公共スペースではマスクなどのフェイスカバーを着用。

自治政府全域での規制強化としては、北アイルランドが10月14日から4週間の時限的ロックダウンを施行した(ブラック ジャック アプリビジネス情報)。しかし、小売店の閉鎖や運動以外での外出禁止など、第1波の下でのロックダウンと同程度の強力な措置を伴うロックダウンの発表は、感染再拡大後ではウェールズが初めて。ウェールズ自治政府は今回の措置で閉鎖対象となる小売業、飲食業などの中小企業に最大5,000ポンド(約68万5,000円、1ポンド=約137円)の一時金を支給するなど、総額3億ポンドの新たな企業支援策も併せて発表した。他方、今回発表した措置の終了後には、ウェールズ全域で新たな規制を導入する考えも示した。

イングランドでは最高警戒地域が拡大

イングランドでも、特に北西部での高齢者の感染や入院患者の急増PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)などを受け、危機感が増している。リバプール都市圏に加え、政府は10月17日にランカシャーの警戒レベルを「最高(Very High)」に引き上げ、さらに20日には、グレーターマンチェスターも23日から同レベルに引き上げることを発表。グレーターマンチェスターのアンディ・バーナム市長は政府の引き上げ方針に強く反発し、両者は協議を重ねてきた。しかし、財政支援の内容や規模で折り合わず合意に至らないまま、政府単独で引き上げを決断した。

ボリス・ジョンソン首相は、合意不成立について「極めて遺憾」としつつ、「行動しなければ、マンチェスターの国営医療サービス(NHS)、そして多くのマンチェスター市民の生命を危険にさらすことになる」と説明した。

(宮崎拓)

(英国)

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