新型コロナウイルス感染者数が急増、当局は予防措置の順守を呼び掛け

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2020年09月14日

アラブ首長国連邦(UAE)の新型コロナウイルス新規感染者数が再び増加している。UAE連邦保健・予防省の発表によると、9月12日の1日当たり新規感染者数は1,007人で過去最多となり、累計感染者数は7万8,849人となった(9月12日付UAE国営エミレーツ通信社外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

UAEでは3月下旬から感染者数が急速に増加し、4月にはドバイで約3週間のロックダウンも実施された()。5月22日には1日当たりの新規感染者数は994人となったが、それをピークに徐々に減少し、8月上旬までには200人台になっていた。経済活動の再開に向け、閉鎖していた商業施設の再開や出勤制限の緩和(関連ブラック ジャック トランプ)、国際航空旅客便の再開や観光客の受け入れ(2020年6月25日記事参照)などが段階的に進められていたが、8月中旬を過ぎると感染者数は再び拡大。増加傾向は止まらず、1,000人の大台を突破した。

9月12日付の現地紙によると、連邦政府は10日の会見で、感染再増加の要因として結婚パーティーを含む集会の開催や定められた予防措置の違反などを挙げ、国内居住者にあらためて感染対策とその予防策の順守を呼び掛けた。現地メディアも、禁止事項や罰則をまとめた記事を再度掲載している。感染対策への違反に対しては、2,000ディルハム(約5万8,000円、1ディルハム=約29円)から最大5万ディルハムの罰金が科される。警察や政府関連当局は、感染対策を順守していない商業施設や個人の取り締まりを強化しており、ショッピングモールなど人が多く集まる施設を査察しているため、マスクの不着用者などの多くの摘発例が出ている。ルールに違反したとして1カ月の営業停止処分となった飲食店もあり、政府のツイッターなどを通して名指しで公表されている。

感染者数が増加する一方で、死者数は累計で399人、死亡率は約0.5%と、世界的に低い水準で推移している。症状が重症化する前段階での積極的な検査実施や、医療水準の高さなどが背景にあるとみられる。

現状では、外出禁止令や商業施設の閉鎖など、経済活動に大きな影響が出る対策は打ち出されていない。政府は、経済活動をこれ以上停滞させずに、同時に感染を抑え込むという困難な課題に直面している。

(山村千晴)

(アラブ首長国連邦)

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