新型コロナのワクチン9,400万回分を確保、開発企業に資金提供も
(ドイツ)
ベルリン発
2020年09月25日
政府は9月15日、ドイツにおける新型コロナウイルスのワクチン開発状況についての発表となったアーニヤ・カーリクチェック教育・研究相とイェンス・シュパーン保健相の共同記者会見で、シュパーン保健相は複数の製薬会社から合計9,400万回分の新型コロナウイルス用のワクチンを確保していると述べた。
ドイツの人口約8,300万を超える発注量となっているのは、発注したワクチンの中で最終的に効力があるものがどれになるかは現時点で明確でないこと、また2回の摂取が必要になると見込まれるためとした。集団免疫の獲得には、人口の55~65%がワクチン接種をすることが必要で、ワクチンの接種開始時期は2021年半ばになる。感染リスクが高い高齢者や医療関係者を優先する、との見解が示された。
また記者会見では、政府は、ワクチン開発を支援するため総額で最大7億5,000万ユーロを投じるとし、具体的には以下3社のドイツ企業への支援について言及した(、6月17日記事参照)。
- バイオンテック(BioNTech):資金提供額は最大3億7,500万ユーロ。メッセンジャーリボ核酸(mRNA)技術を利用し、新型コロナウイルスワクチンをファイザーと共同開発している。9月17日には、増産に向けてノバルティスのドイツ国内にある製薬工場の買収を発表した。
- キュアバック(CureVac):資金提供額は最大2億5,200万ユーロ。バイオンテックと同様に、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)ベースの医薬品やワクチンを開発している。8月には、既に欧州委員会と最大4億5,000回分のワクチンの事前購入で合意している。
- IDT ビオロギカ(IDT Biologika):資金提供額は交渉中。ウイルス・ベクターや生物学的製剤の開発と製造を専門とする。
カーリクチェック教育・研究相は、今回の資金提供は各社のワクチン開発の加速と生産能力の拡大を目的としているが、最優先事項はワクチンの安全性だ、と強調した。
(中村容子)
(ドイツ)
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