ドイツ企業、新型コロナウイルスのワクチン開発で脚光
(ドイツ)
ベルリン発
2020年03月25日
世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発が急ピッチで進められる中、ドイツのバイオ医薬品企業2社が注目を集めている。メッセンジャーリボ核酸(mRNA)の技術を用いたワクチンに開発に取り組むバイオンテックとキュアバックだ。
バイオンテック(本社:マインツ)は、3月17日に米製薬大手ファイザーとCOVID-19ワクチン「BNT162」の共同開発と中国以外の地域における流通にかかる提携を発表した。ドイツを皮切りに、欧州、米国、中国で2020年4月下旬から臨床試験を開始できるように研究開発を加速させる。中国市場では上海復星医薬と提携し、同国での治験と商品化を共同で行う。
またキュアバック(本社:チュービンゲン)は、伝令RNA(mRNA)を新規コロナウイルスなどのパンデミックシナリオに迅速かつ効率的なソリューションを提供する最も強力な分子の1つと見なし、新規コロナウイルスに対する効果的、安全かつ迅速に生産可能なワクチンの開発に重点を置く。初夏にはフェーズ1の臨床試験に入る予定。欧州委員会から8,000万ユーロの資金提供を受け、ワクチン生産能力の増強を開始していると発表している。
また、同社は3月上旬にホワイトハウスが招集した新型コロナウイルスのワクチン開発企業に含まれていたことから、米国政府によるキュアバックの買収やワクチンの買い占め報道が流れ、ペーター・アルトマイヤー経済エネルギー相が「(ドイツ企業は)売り物ではない」とコメントする事態となった。同社は「米国から買収の話は一切なかった」と一連の買収報道を否定している。
ドイツ教育・研究省もワクチン開発支援を重視、ワクチンの研究開発と供給を目的とする国際基金である感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)に2017年の設立メンバーに名を連ねており、これまで9,000万ユーロ資金提供、今回、COVID-19ワクチン開発のため、新たに1億4,000万ユーロを拠出したと発表している。
(中村容子)
(ドイツ)
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