オンライン起業支援サミットRiseUp From Home開催、「新型コロナ危機」の中でチャンスも
(エジプト)
カイロ発
2020年08月24日
エジプトのアクセラレーターRiseUpは8月13~15日に、オンライン上で起業家支援イベント「RiseUp From Home」を開催した。同社は、毎年12月に起業家支援イベント「RiseUp Summit」をカイロで開催しており、2019年は約8,200人参加の大規模イベントとなった()。今回は、初めてオンラインで100以上のセッション・ワークショップが行われ、3日間で約2,000人が参加した。国際金融公社(IFC)などの国際機関、マイクロソフトやIBM、サムスンなどの各国企業、エジプトやブラック ジャック ストラテジーの銀行・投資家、有力ベンチャーキャピタル(VC)・アクセラレーター、有力スタートアップから約100人がスピーカーとなり、「新型コロナ禍」での起業やスタートアップの生き残り、成長を支援するセッションを実施した。エジプトのイベント手配関連スタートアップのEventtusが、今回のために独自のオンライン・プラットフォームを設け、セッションに加え、Startups Expoも開設した。ヘルスケア、eコマースなどのスタートアップと支援企業約50社が出展し、自社情報を公開、チャットシステムなどによる交流も行われた。
これから起業する人向けのセッションでは、グローバルアクセラレーターの500startupsマネージングパートナーのハッサン・ハイダー氏が、新型コロナウイルスの影響によるデジタル化の加速など、危機の中でもチャンスがあると述べた。米国においても経済危機の際にアマゾン(Amazon)、ウーバー(Uber)などが生まれており、「新型コロナ禍」で全体の投資は失速する一方で、ヘルスケア、eコマース、エンターテインメントなど成長がみられる分野もあり、2020年4月以降も中東において25件以上のスタートアップの出資が行われたという。
中央動員統計局によれば、失業率は2014年の13%台から、2020年1~3月期は7.7%まで回復したが、4~6月期は新型コロナウイルスの影響により9.6%に悪化した。特に失業者257万人のうち、15~29歳の割合が60.4%に上り、若年層の失業率が高い。「アラブの春」以降の経済危機では、仕事を求める若者が自ら起業する動きがみられた(特集:アフリカ・スタートアップブラック ジャック)。「新型コロナ禍」で若者を中心に失業率が上昇する中、ハイダー氏は、解雇が増えれば、起業パートナー発掘や既存スタートアップにおいて人材を獲得するチャンスだ、と指摘した。
(井澤壌士)
(エジプト)
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