フォルクスワーゲンがトルコ新工場建設計画を中止
(トルコ)
イスタンブール発
2020年07月09日
ブルームバーグ(7月1日付)など複数のメディアによると、ドイツの大手自動車製造会社フォルクスワーゲン(VW)は7月1日、トルコでの新工場建設計画を中止したことを明らかにした。
VWは2019年、トルコ西部のマニサ県に13億ユーロを投資し新工場を建設することを決定、同年10月2日に法人企業を立ち上げた()。しかし、同年10月9日にトルコ軍がシリア北部で軍事作戦(平和の泉作戦)を展開すると、これを理由に新工場建設の最終的な決定を延期、その後2020年2月にも再延期していた()。新工場では2022年までに、VW・パサート(Passat)と、シュコダ・サパーブ(Skoda Superb)の新モデルを年間30万台の生産能力で製造する予定だった。
VWのスポークスマンのクリストフ・ルートビヒ氏は、「新型コロナウイルス感染拡大の影響で自動車市場の状況が変わった。コロナ前と現在では自動車市場が大きく異なる」と述べており(「バロンズ」7月1日)、自動車の需要減少によって、生産増の必要がなくなったとドイツの現地紙も報じている(「ハンデルスブラット」紙7月1日)。
トルコ大統領府投資局のアフメト・ブラク・ダールオール局長は、「トルコはVWの新工場投資計画に全力を尽くし、その誘致に成功したが、VWは最終的にビジネスとしての判断を行った」とトルコ現地紙にコメントし(「ハベルチュルク」紙7月6日)、最終的な中止に対する批判は控えている。トルコの乗用車販売ではVWの人気が高く、自動車販売協会(ODD)によると、ルノー、フィアット(ともにトルコ国内生産あり)に次いで3位の販売台数だった(2020年6月時点)。
(エライ・バシュ)
(トルコ)
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