モスクワ市で企業活動再開が本格化、市民の行動規制も緩和へ

(ロシア)

モスクワ発

2020年05月29日

モスクワ市のセルゲイ・ソビャニン市長は5月27日、企業活動の大幅な制限緩和と市民の行動制限の一部解除を認める市長令第61-UM号に署名した。モスクワでは6月1日以降、自動車ディーラーなどを含む食料品店以外の小売店、クリーニングなどの一部のサービス業が店舗の規模にかかわらず営業を再開できる。

モスクワ市が経済活動の本格的な再開に向けてかじを切った背景には、新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向に転じたことがある。5月上旬をピークに新規感染者数は減少を続け、また回復者数が増加していることから、万が一、感染が拡大に転じても対応できると判断したとみられる。

営業再開に当たり、各企業などは連邦消費者権利保護・福利監督局(ロスポトレブナドゾル)が定める衛生・防疫基準(2020年5月21日記事参照)を満たす必要がある。例えば小売店の場合、店内の殺菌消毒のほか、従業員の体温の管理、従業員を含めたソーシャルディスタンスの順守、従業員と顧客のマスク・手袋の着用義務などが規定されている。

その一方、飲食店、各種娯楽施設、劇場・映画館、スポーツジムや理髪店・美容院などの営業再開は見送られた。多くの市民が一堂に集まることや顧客と従業員の距離が近くなることで、再び感染が拡大することを懸念したものとみられる。モスクワ市のアレクセイ・ネメリュク副官房長兼商務・サービス局長は「6月1日からの規制緩和に各店舗と市民がどう(ルールを守って)対応するか次第で、他の分野の再開時期が決まる」との見方を示した(タス通信5月28日)。

3月29日から導入されていた外出禁止措置(関連実写 版 ブラック ジャック)も、一部緩和されることになった。措置自体は6月14日まで延長されるものの、6月1日以降、65歳以上の高齢者を含め、一定の条件下(注)で屋外での運動や散歩が可能となる。

(注)運動が可能な時間帯や自宅から離れてよい距離(半径2キロメートル以内)、マスクの着用義務など。新型コロナウイルス感染者、感染の疑いがある者やその家族などは対象外。

(イワン・リソフスキー、梅津哲也)

(ロシア)

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