従業員の解雇や休職強要の禁止をさらに60日間延長
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2020年05月21日
アルゼンチン政府は、5月19日付政令487/2020号に基づき、全国での解雇および休職の強要を禁止する政令を延長した。同政令は、3月31日付政令329/2020号で制定されたものをさらに60日間延長するもの(2020年4月2日記事参照)。政府は、新型コロナ感染拡大の影響で民間企業への支援を継続すると同時に「社会平和を維持するために、雇用を保証し続けることが不可欠」とした。期間は、5月31日から60日間有効。主な内容は次のとおり。
- 仕事量の減少および不可抗力を理由とした解雇、および理由なき解雇を政令329/2020号の期限翌日から60日間に渡って禁じる。
- 仕事量の減少および不可抗力を理由とした一方的な休職命令を政令329/2020号の期限翌日から60日間に渡って禁じる。
- ただし、労働省で申請を行った上で、休職期間中も手当を支払うことで雇用主と従業員間で合意した場合、休職を認める(労働契約法20744号第223Bis条に基づく)。
- 上記に反して解雇や休職措置がとられた場合、無効と見なし、労働関係は継続される。
5月18日付現地「エル・クロニスタ」紙によると、国内の大手企業100社を対象とした民間調査会社のアンケート調査では、新型コロナウイルス感染拡大が企業活動に影響を及ぼしたことを理由に、企業の5%が既に従業員の解雇を行っており、33%は「2020年中に解雇を実施する予定または解雇を検討する」と回答した。
今回、従業員の解雇や休職命令を禁止する措置を延長するにあたり、労働総同盟(CGT)およびアルゼンチン工業連盟(UIA)間で会合が開催され、労働組合と企業側の同意があったと5月18日付現地「インフォバエ」紙が伝えている。同紙はまた、政府が民間企業支援策として打ち出している「雇用および生産のための緊急援助プログラム(ATP)」(2020年5月18日記事参照)を申請した企業数は42万社に上ると工業生産・開発省が明らかにしたことを伝えた。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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