EU・メキシコFTAの再交渉が妥結

(EU、メキシコ)

ブリュッセル発

2020年04月30日

欧州委員会は4月28日、EU・メキシコの2国間の自由貿易協定(FTA)再交渉が妥結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

EU・メキシコFTAは2000年10月に発効したが、農水産加工品では数百品目が関税撤廃の対象から除外され、再交渉の対象となっていた。関税撤廃品目の拡充に加え、非関税貿易障壁の低減、投資紛争解決の見直し、デジタル貿易への対応など新しい課題にも対応すべく、両者は2016年5月にFTAの現代化(modernisation)交渉を開始し、2018年4月に大枠合意に達していた(2018年4月24日26日記事参照)。その後、技術的な論点の詰めの交渉を行った結果、大枠合意から2年が経過した4月28日、欧州委員会のフィル・ホーガン委員(通商担当)とメキシコのグラシエラ・マルケス・コリン経済相による電話協議で、残る論点だった公共調達の市場開放と予測可能性、透明性の確保について合意に達し、交渉妥結に至った。

欧州委によると、新たに締結されたFTAにより、実質的に全ての品目の関税が撤廃される。発効時点で双方の貿易品目の98%がFTAの活用により無税となり、最終的に99%が撤廃、残りは関税割り当てによる無税枠などが適用される。そのほか、欧州委は、EUが推進する投資裁判制度を規定することや、EUのFTAとして初めて汚職防止の章を設けたことなどを特徴に挙げている。

パンデミック後の経済再生を見据えた意義を強調

ホーガン委員は発表に際して「開放性とパートナーシップ、協力は、現在の(新型コロナウイルスの)パンデミック後に経済を再生する上で、これまで以上に不可欠の要素となる」と述べ、新型コロナ危機下の貿易自由化の重要性を強調した。

新協定が適用開始するまでには今後、文言の法的確認と各EU加盟国言語への翻訳を経て、EU側では協定の署名及び締結のため、欧州議会及びEU理事会の承認を経る必要がある。

(安田啓)

(EU、メキシコ)

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