モスクワ州政府、大規模イベントの自粛要請と14日間の自宅経過観察措置を実施

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年03月16日

モスクワ州政府は3月12日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月13日以降、5,000人以上の大規模イベント開催の自粛勧告と、感染拡大地域(中国、韓国、イタリア、イラン、フランス、ドイツ、スペインなど)からの帰国者に対して帰国日より14日間、自宅経過観察措置を適用する知事令を発表した(2020年3月12日付モスクワ州知事令第108-PG号)。

同知事令は、3月5日および10日に発表されたモスクワ市長令(モスクワ市、ブラック ジャック3月13日記事参照)と同様の内容。ただし、知事令には大規模イベントの自粛満了期間が明記されていない。本決定によりモスクワ州北西部のヒムキ市で開催予定だったロシア・ナショナルフットボール・リーグの試合が急きょ中止となった。

モスクワ市政府が3月10日に発表した参加者数5,000人以上の大規模イベントの禁止令については反発が生じている。現在までの大統領経験者の任期を就任制限の対象外とする憲法改正条項案への反対集会活動を予定していた社会団体「市民社会」は、参加者を4,500人に絞って申請したが、モスクワ市政府は開催を拒否した。「市民社会」エゴル・イリュシキン代表は「市長令は5,000人以上の集会を禁止対象としており、今回の判断は違法だ」と述べた(「コメンサント」紙3月12日)。

他方、毎年5月に行われ、各国首脳が参加する恒例の戦勝記念日パレードの開催については、現時点で中止が決まっていない。大統領府ドミトリー・ペスコフ報道官は、5月9日に赤広場で開催が予定されている戦勝75周年記念パレードについて、現時点では「準備は続行中。状況を注視している」と語った(「タス通信」3月12日)。

主要経済紙「コメルサント」(3月12日)によると、今回パレードの参加者は1万5,000人に上る。米国のドナルド・トランプ大統領、英国のボリス・ジョンソン首相、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長、CIS諸国および上海協力機構加盟国や欧州諸国の首脳のほか、安倍晋三首相も招待されている。

なお、ロシア政府は3月12日、教育、就労、私用、観光、トランジット目的のイタリア人、およびイタリアに滞在中の外国人のロシアへの入国を一時的に制限すると発表した(注)。加えて、連邦航空庁に対し、航空会社各社へ、イタリアからのトランジット目的の外国人の輸送を一時的に停止する通告を出すよう命じている(2020年3月12日付連邦政府指示第597-r号)。3月13日から、商用、人道目的、外交、公用目的を除き、イタリアに滞在中の外国人対するビザ発給も一時的に停止される(欧州主要感染国との航空便を制限、政府機関にはブラック)。

(注)ユーラシア経済連合(EEU)加盟国の国民、航空機の乗務員、公式代表団、ロシアでの居住許可を保有している者は対象外。

(秋塲美恵子)

(ロシア)

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