モスクワ市政府、新型コロナウイルス感染拡大防止のため大規模イベント開催を4月10日まで禁止

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年03月13日

モスクワ市政府は3月10日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5,000人以上が参加する興行、公共、それらに類する大規模イベントの開催を、4月10日まで禁止する市長令(2020年3月10日付モスクワ市長令第17-UM号)を発表した。本市長令は2020年3月5日付モスクワ市長令第12-UM号(モスクワ市、ブラック ジャック)の追加措置という位置付け。

これを受け、早速、大規模イベントを中止・延期する動きがみられる。国防省は4月22~23日に開催予定の第9回国際安全保障モスクワ会議を2021年開催に延期すると発表した(「コメルサント紙」3月12日)。

加えて、参加者数を5,000人以下に制限する動きも見られている。大規模イベント禁止期間中には、ロシアのトップクラブが参加する、サッカー、ホッケー、バスケットボールの試合が予定されているが、モスクワ市のセルゲイ・ソビャニン市長は自らのブログで、「新型コロナウイルス感染拡大に伴い、状況は複雑化している。イタリア、ドイツなど欧州諸国でのイベント開催状況も勘案し、人々の健康を守るため、追加の制限措置の導入が不可欠となった」と述べ、ホッケーやサッカーの試合などのスポーツイベントの参加者数を5,000人以下に制限することになったと語った。

本措置については、興行イベントだけでなく、政府への反対集会など社会運動にも影響をもたらしている。ロシアでは憲法改正に関わる国会審議が進展を見せているが、下院(国家院)にて採択された、現在までの大統領経験者の任期を就任制限の対象外とする条項に対して、社会団体「市民社会」が他の社会団体と連合し、3月21日および22日に、2万5,000人規模の反対集会をモスクワ市内で開催すべく、当局へ申請していたが、今回の措置を受け、参加予定者数を4,500名に引き下げたとされる(「インターファクス通信」3月11日)。

モスクワ市のアナスタシア・ラコワ副市長は、今回の市長令は「予定されている大衆行動を制限するものではない」と述べている(「コメルサント紙」3月6日)。

なお、5,000人という基準について、モスクワ市政府はフランスの経験を参考にしたとしている(モスクワ市政府発表3月10日)。

(秋塲美恵子)

(ロシア)

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