新型コロナウイルス感染拡大で、GDP成長率予測を再下方修正

(シンガポール)

シンガポール発

2020年03月26日

シンガポール貿易産業省(MTI)は3月26日、2020年第1四半期(1~3月)のGDP成長率が、前期比年率で10.6%減(季節調整済みの速報値、注)だったと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2019年第4四半期(10~12月)の0.6%増から一転、2ケタのマイナスとなった。分野別では、製造業が第1四半期に前期比4.2%増と前期から一転プラスに転じたが、建設が22.9%減、サービス業も15.9%減の大幅マイナスだった。

MTIは第1四半期のGDP成長率が予想を大幅に下回り、国内外の経済環境が急速に悪化したとして、2020年通年のGDP成長率予測を「前年比4.0%減~1.0%減」へと下方修正した。同省がGDP成長率を下方修正するのは2月以来、2回目となる。MTIは2月に新型コロナウイルスの感染拡大を受けてGDP成長率を「前年比マイナス0.5%~1.5%増」に下方修正していた(新型コロナウイルスで2020年の経済成長率予測をハイパーブラックジャックナス0)。MTIは今回の発表の中で2月の下方修正について、感染の拡大が中国や日本、タイ、マレーシアなど近隣諸国に限定すると想定していたと説明。しかし、新型コロナウイルスの感染は欧米を含む世界へと広まり、シンガポールも入国規制に踏み切った結果、観光部門が打撃を受け、国内消費も落ち込んでいることから、今回の再下方修正となった。

ヘン・スウィキャット副首相兼財務相は3月26日に国会で、第2弾の新型コロナウイルスに伴う経済支援パッケージを発表する。同副首相は2月18日に発表した2020年度政府予算案で総額64億シンガポール・ドル(約5,056億円、Sドル、1Sドル=約79円)の経済支援パッケージを発表していた(新型コロナウイルス感染拡大、ギャンブル)。しかし、国内景気の一段悪化を受けて、第2弾の支援パッケージ導入となる。

国内感染者が一段と増加、感染者数は631人に

一方、保健省は3月25日、同日に確認された感染者が73人と、1日当たりの感染者数としては過去最高だったと発表した。73人のうち38人が国外での感染者で、残り35人が国内感染者。この結果、3月25日までに確認された感染者は累計で631人(うち、160人が回復、17人が重篤者、2人が死亡)となった。

(注)2020年第1四半期のGDP成長率の速報値は2020年1~2月の統計に基づく数値。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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