新型コロナウイルス感染拡大、法人・個人支援で総額64億Sドルの予算
(シンガポール)
シンガポール発
2020年02月27日
シンガポールのヘン・スイキャット副首相兼財務相は2月18日、2020年度政府予算(2020年4月~2021年3月)案で、総額64億シンガポール・ドル(約5,056億円、Sドル、1Sドル=約79円)の新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済支援パッケージを発表した。同国では、新型コロナウイルス感染者が2月20日時点で85人(回復者37人を含む)に上り、感染拡大が国内経済に与える影響が懸念されている。政府は2月17日に、2020年通年のGDP成長率予測を「前年比マイナス0.5%~プラス1.5%」と下方修正した(新型コロナウイルスで2020年の経済成長率予測をハイパーブラックジャックナス0)。ヘン副首相は「(新型コロナウイルスの)経済へのインパクトが、政府の予想よりも悪化する可能性に備える必要がある」と述べた。
今回発表された政府の支援は、法人・労働者向け支援の「安定化・サポート・パッケージ(総額40億Sドル)」、一般世帯向けの「ケア・サポート・パッケージ(総額16億Sドル)」と、感染拡大防止を担当している保健省などの政府機関への追加予算8億Sドルからなる。法人・労働者向け支援パッケージでは、国民の雇用維持のため、政府が国民の月給の8%分を3カ月間、雇用主に支給する「雇用サポート・スキーム」が含まれている。また、感染拡大に伴う外国人来訪者の急減で最も打撃を受けている観光、航空、小売り、飲食、輸送サービスの5部門への一連の特別支援も盛り込まれた(政府の支援パッケージの主な内容については添付資料参照)。
物品サービス税率の引き上げ、2021年には実施せず
また、ヘン副首相は、国内経済の現状を考慮して、物品サービス税(GST)の税率引き上げを2021年に実施しない方針を明らかにした。同副首相は2018年2月、財源確保のために2021~2025年に、GSTの税率を現行の7%から9%への引き上げ実施方針を示していた。同副首相は2021年には税率を引き上げないものの、2025年までに引き上げる方針に変更はないと強調した。
新型コロナウイルス感染拡大への対策により、2020年度の政府の財政収支は109億Sドル(GDP比2.1%)の赤字とし、過去10年間で最大の赤字幅となる見通しだ。ちなみに、2019年度の政府の財政収支は16億5,000万Sドル(GDP比0.3%)の赤字の見込みだ。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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