南ア航空が経営危機で国内線を大幅減便、一部国際線にも影響
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2020年02月18日
会社更生法の適用下にある、南アフリカ共和国国営の南アフリカ航空は2月6日、経営再建の一環としてヨハネスブルク~ケープタウン間を全ての国内線の運航を、2月29日をもって中止すると発表した。
対象となる便は、ヨハネスブルクから国内主要都市のダーバン、ポートエリザベス、イーストロンドンなどを結ぶ区間を含む。また、ヨハネスブルク~ケープタウン便についても、大幅に減便すると併せて発表した。南ア航空が取りやめを決定した国内線の区間については、同社子会社の格安航空会社(LCC)マンゴー航空が引き継ぐ見込みだ。さらに、コートジボワールのアビジャン、アンゴラのルアンダなどアフリカ域内の都市を結ぶフライトや、広州、香港、サンパウロ便など計8つの国際線も2月29日を最後に運航終了する。なお、シリル・ラマポーザ大統領は2月7日、政府は南ア航空の路線縮小については事前に承認しておらず、見直しの必要があると発言した(「fin24」2月7日)。
過去十数年にわたり、赤字経営が伝えられてきた南ア航空は2019年6月、約20億ランド(約148億円、1ランド=約7.4円)の負債を抱え、政府に対し財政支援を求めていた。その後、2019年11月には労使間の賃上げ交渉難航を背景に、国内最大級の労働組合である南ア全国金属労働組合(NUMSA)、および南ア航空客室乗務員協会による大規模なストライキが行われた。国際線を含む多くの便がキャンセルとなるなど混乱が広がるとともに経営状況が悪化した。
これを受け、南ア政府は2019年12月、同社を会社更生法下に置き、経営救済のために20億ランドの財政支援を行うことを決定していた。南ア政府は2019年10月の中期予算方針において、巨額の負債を抱える電力公社エスコムの経営支援の必要性により、財政赤字の拡大を発表しており(2019年11月11日記事参照)、不採算経営が続く国営会社は頭の痛い課題だ。
(高橋史)
(南アフリカ共和国)
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