IMF、フィリピンの成長率予測を2019年5.7%、2020年6.2%に下方修正

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月23日

IMFが2019年のフィリピンの経済成長率の予測を5.7%、2020年を6.2%に下方修正したと10月16日付の地元各紙が伝えた。前回(7月)の予測値(2019年:6.0%、2020年:6.3%)からそれぞれ0.3ポイント、0.1ポイント下回る予測だ。

IMFは2019年の下方修正の理由として、「2019年度の国家予算の成立が3カ月以上遅れたことが公共投資の伸び悩みにつながっており、公共事業に必要な建材、原材料の多くを輸入に頼るフィリピンの今年の貿易統計において、輸入が減少傾向にあることからも裏打ちされる」と説明した。また、保護貿易主義的政策の世界的な広がりやブレグジット(英国のEU離脱)を含む地政学的緊張状態が、世界のサプライチェーンに影響を与え、投資や経済成長を妨害しているとした。

IMFだけではなく、アジア開発銀行は9月、フィリピンの2019年経済成長率予測を前回(4月)の6.2%から6.0%へ下方修正し(2019年10月2日記事参照)、世界銀行も10月に入り前回(6月)の6.4%から5.8%へ(2019年10月21日記事参照)、米国の大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も、6.1%から6.0%に下方修正した(2019年10月21日記事参照)。

東南アジア諸国で、IMFが2019年と2020年の経済成長率を最も高く予測した国はベトナム(2019年:6.5%、2020年:6.5%)で、そのほかではインドネシア(5.0%、5.1%)、マレーシア(4.5%、4.4%)、タイ(2.9%、3.0%)だった。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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