欧州中銀が金融緩和方針を発表、預金ファシリティー金利を引き下げ
(EU)
デュッセルドルフ発
2019年09月13日
欧州中央銀行(ECB)は9月12日、フランクフルトで開催された政策理事会後の記者会見で、金融緩和方針を発表した。マリオ・ドラギECB総裁の任期が10月31日に迫る中、ユーロ圏内での経済は減速感が強まっており、物価上昇率もECBが設定する目標値「2%未満でかつそれに近い水準」を大きく下回っていることから、銀行の負担緩和を図ることで、ユーロ圏経済の活性化と物価の押し上げへの糸口を見つけたい考えだ。
金利については、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.00%、限界貸付ファシリティー(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)の金利を0.25%と従前どおり過去最低水準を維持した一方、預金ファシリティー(オーバーナイト預け入れ、翌日満期)の金利をマイナス0.40%からマイナス0.50%に引き下げるとした。金利の据え置きの期間は、6月の会合では「少なくとも2020年の上半期」まで延長した()のに対し、今回は具体的な延長期間に触れず、「物価上昇率が2%未満でかつそれに近い水準に十分に近づき、物価上昇基調に持続的に反映されるまで」は、現状かそれ以下の水準にとどめるとしている。さらに、銀行の超過準備の一部については、マイナス金利を免除する2段階の階層化システムの導入も併せて発表した。
金利引き下げと併せ、ECBはユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)を11月1日から再開すると発表した。月額200億ユーロ規模を予定し、カジノ 無料開始前まで継続する。APPを通じて購入し、保有する債券・国債は、主要政策カジノ 無料に着手後も、流動性の状況に応じて再投資を継続する。
2019年9月に新たに導入される長期資金供給オペレーション(TLTRO-III:Targeted longer-term refinancing operations)についても、銀行に有利な条件に更新する。各オペレーションの金利を政策金利の平均金利と同じ水準(0.00%)に設定するほか、一定以上の適格な純貸し付けがある銀行には、預金ファシリティーの平均金利と同水準の金利(マイナス0.50%)をTLTRO-IIIで適用する。また、TLTRO-IIIの返済期間についても、2年から3年に延長する。
記者会見に合わせて発表されたユーロ圏に関するECBスタッフマクロ経済予測では、2019年の実質GDP成長率を前回(2019年6月)予測値の1.2%から1.1%に、2020年については前回の1.4%から1.2%に下方修正した(表参照)。なお、2021年については1.4%の予測を維持した。消費者物価指数上昇率については、2019年は前回の1.3%から1.2%に、2020年についても1.4%から1.0%にそれぞれ下方修正している。
(ベアナデット・マイヤー、森悠介)
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