欧州中央銀行、政策金利の備え置きを2020年上半期まで延長
(EU、ユーロ圏)
デュッセルドルフ発
2019年06月07日
欧州中央銀行(ECB)は6月6日、リトアニアの首都ビリニュスで開催された政策理事会後の記者会見で、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.00%、限界貸付ファシリティー金利〔オーバーナイト貸し出し(翌日返済)の金利〕を0.25%、預金ファシリティー金利〔オーバーナイト預け入れ(翌日満期)の金利〕をマイナス0.40%と、従前どおり過去最低水準を維持する旨を発表した。据え置きの期間については、3月7日の会合で「少なくとも2019年夏まで」から「少なくとも2019年内」まで延長していたものを、今回さらに「少なくとも2020年の上半期」まで延長し、かつECBが掲げる物価上昇率の目標値「2%未満でかつそれに近い水準」を持続的に達成するまでに必要な期間としている。債券・国債の購入拡大プログラムの下で購入し、現在保有する債券の満期償還金の再投資については、引き続き利上げ開始以降まで続ける方針を確認した。
また、3月の政策理事会で、9月から2021年3月までの実施予定が発表された新たな長期資金供給オペレーション(Targeted longer-term refinancing operations:TLTRO-III)(関連ブラック ジャック 必勝)については、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)に0.1%分を上乗せした金利(0.1%)が適用されるとした。一方、一定以上の適格な純貸付がある銀行についてはTLTRO-IIIで適用される金利がより低くなり、預金ファシリティー金利に0.1%分を上乗せした金利(マイナス0.3%)が適用される。
記者会見と併せて発表されたユーロ圏に関するECBスタッフマクロ経済予測では、2019年の実質GDP成長率を前回(2019年3月)予測値の1.1%から1.2%に0.1ポイント上方修正した(表参照)。一方、2020年については前回の1.6%から1.4%に、2021年については1.5%から1.4%に下方修正した。消費者物価上昇率(HICP)については、2019年は前回の1.2%から1.3%に上方修正したものの、2020年は前回の1.5%から1.4%に下方修正した。2021年については1.6%の予測を維持した。
さらに、マリオ・ドラギECB総裁は記者会見で、ユーロ圏の第1四半期の物価上昇率は予想を若干上回ったものの、地政学的要因や保護主義の脅威、新興市場における脆弱(ぜいじゃく)性などの要素に起因する不確実性の持続による、世界的な逆風がユーロ圏の見通しを圧迫し続けると指摘し、警戒感を示している。
(ベアナデット・マイヤー、木場亮)
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