オーストリア初の女性首相の内閣が発足
(オーストリア)
ウィーン発
2019年06月04日
オーストリアでは、スキャンダルを受けてのシュトラッヘ副首相(自由党)の辞任や、国民党と自由党の連立崩壊義後、5月27日の内閣不信任()を受けて、自由党の閣僚メンバーを更迭した暫定内閣()が短期間でその役割を終えた。ファン・デア・ベレン大統領は5月30日に、憲法裁判所長官のブリギッテ・ビアライン氏(69歳、無所属)を新首相に指名し、組閣を委任した。6月3日に同大統領は、男女6人ずつの専門家からなるビアライン内閣の宣誓就任式を行った。同内閣は前倒し総選挙(9月22日または29日の予定)の結果に基づく政権が発足するまでの暫定政権となる。
ビアライン首相は、オーストリアの初の女性首相で、ウィーン大学法学部を卒業後、検察官、法務省刑事課などを経て、2003年に憲法裁判所の副長官、2018年には長官に就任した。首相への就任に当たって、社会民主党の法務担当スポークスパーソンのハンネス・ヤロリム氏は「ビアライン氏は真摯(しんし)な人物で、オーストリアの政治の安定化に貢献するだろう」と述べ、他の政党の反応も好意的なものだった。
ビアライン首相の「専門家内閣」の閣僚数はクルツ前内閣より少なく、男女6人ずつから成る。最も注目された閣僚ポストの内務相に、組織的には財務省の一部局でありながら、機能的には独立して政府の法律顧問のような役割を果たす「財務検事局長官(Finanzprokuratur)」のボルフガング・ペショルンが指名され、他の閣僚ポストには主に同じ省の官僚が就任した(表参照)。
一方、クルツ前首相は、国会議員を辞職し、秋の選挙での再選と国民党単独政権の樹立に向けて全力を尽くすと発表した。
(エッカート・デアシュミット)
(オーストリア)
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