国内企業のデジタル化を後押し、デジタル貿易もてこ入れへ
(英国)
ロンドン発
2019年05月30日
英国は国際的な競争力を高めるため、国内企業のデジタル貿易への参画など、デジタル化を後押ししている(表参照)。政府は2017年に発表した英国デジタル戦略の中で、企業のデジタル化が生産性や売り上げ向上に寄与することに触れ、企業による越境電子商取引(EC)の活用やクラウド、電子決済の導入推進などを掲げた。
こうした中、国際通商省(DIT)は2014年9月に、企業のECによる輸出を支援する「Eエクスポート・プログラム」を立ち上げた。企業はこのプログラムを通して、DITの地方事務所でデジタル貿易に関する相談をすることや、ECの専門家から各社のEC戦略策定に向けたアドバイスを直接受けことができる。さらに、プログラムが提供する検索ツールサービスでは、アマゾンやアリババのECプラットフォームをデータベースに取り込み、企業が販売したい商品と場所を選択するだけで国外のECサイトを検索できる。
上記のデジタル戦略の中では、古い税関申告システムが企業の輸出入の妨げになっていることが指摘されていたが、システムは、1月に新しい「税関申告サービス(CDS)」に刷新され、決済量の増加や将来の法改正に対応できるものとなった(関連ブラック ジャック ディーラー)。
デジタル課税に関しては、フィリップ・ハモンド財務相が2018年10月、「デジタル・サービス税」を2020年4月から導入すると公表した。課税対象は、ソーシャルメディアや検索エンジンなどのIT企業。具体的には、国内での年間売上高が2,500万ポンド(約34億7,500万円、1ポンド=約139円)以上、もしくは世界年間売上高が5億ポンド以上の企業に、英国内の売上高の2%を課税する。テクノロジー関連の業界団体テックUKは、同税の導入により英国がテックビジネスの立ち上げや投資で最も優れた場所という評判が失墜しかねないとし、反対を表明している。またOECDが2020年をめどにデジタル課税に関する国際的な合意を形成しようとしており、テックUKは今回の決定がOECDルールと整合しない可能性もあると指摘している。
(鵜澤聡)
(英国)
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