EU、離脱協定案協議で臨時首脳会議招集へ

(EU、英国)

ブリュッセル発

2018年11月16日

欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長は11月15日、ブレグジット交渉の進捗を認める欧州委員会の勧告(2018年11月15日記事参照)に応じ、英国政府と妥結した離脱協定草案を加盟国レベルで協議するため、臨時欧州理事会(EU首脳会議)を11月25日に開催すると発表した。

これについて、ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)のピエール・ガタズ会長は11月15日付で声明を出し、臨時欧州理事会について「EU・英国双方の産業界が求める秩序ある離脱に向けた道を開く」と評価。離脱協定草案に盛り込まれた移行期間についても「企業や市民が、新たな現実に備え、適応するための時間的余裕につながる」との見解を明らかにした。

他方、トゥスク常任議長は今回のブレグジット交渉妥結について、「英国のメイ首相のような(離脱に向けた)熱意を自分は共有できない。当初からブレグジットの結果、全員が敗者になることは自明で、これまでの交渉は単なるダメージコントロールでしかない」と冷淡に語っている。

なお、欧州理事会によると、離脱協定草案は加盟各国が評価・分析を行った上で、この週末をめどに大使級の会合を開き、意見を集約。同時に(EU・英国の将来関係に関わる)政治宣言について、英国政府との交渉権限を欧州委に付与する点についても協議するとしている。さらに加盟国の閣僚級協議を経て、11月20日をめどに政治宣言についての欧州委としての方針を定め、その後の48時間で加盟国レベルでの精査・検討を行った上で、22日にはEU27カ国の首脳補佐役(シェルパ)レベルで協議方針を固めるとしており、不測の事態がない限り、離脱協定を正式に固めるための臨時欧州理事会を25日に開催するという。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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