ブレグジット交渉の妥結に向けた協議で一致
(EU、英国)
ブリュッセル発
2018年08月23日
欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官は8月21日、ブリュッセルで英国のドミニク・ラーブEU離脱相と会談し、英国のEU離脱(ブレグジット)について「交渉は最終局面に入りつつある」との認識を明らかにした。また、課題の棚卸しを進め、事態の打開を図るため、ラーブEU離脱相との定期協議を開くことで合意したという。
2018年10月までに妥結しない可能性も示唆
バルニエ首席交渉官はラーブEU離脱相との会談後の記者会見で、(a)北アイルランド地域における国境管理の厳格化を避けるための方策、(b)既存の地理的表示保護をはじめとする「離脱協定」に関わる未解決課題(の解決)、(c)EU・英国の将来関係に関わる政治的意思表明、の3点について重点的に協議したと語った。
バルニエ首席交渉官は、ブレグジット問題に関するEU・英国双方の立場を尊重する妥協点を見いだすことは可能とする認識を強調したが、経済関係よりも外交・安全保障問題をめぐる協議の方がより進展していることも認めた。バルニエ首席交渉官は「前例のない」「野心的な」EU・英国の将来関係を目指すとしたが、その前提には単一市場をはじめとする「EUの基本理念」の尊重があるとも指摘し、妥協が容易ではないとの認識を示唆した。
EU側は、EU加盟国や欧州議会の最終承認に半年程度かかるとみて、英国のEU離脱日(2019年3月)から逆算し、実質的なブレグジットの交渉期限を2018年10月としている(2017年3月16日記事参照)。バルニエ首席交渉官は今回の記者会見で、2018年10月までに交渉が妥結するとは言えないが、そんなに遅れることはないとの見通しを明らかにしている。
(前田篤穂)
(EU、英国)
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