英議会、ブラック ジャック 勝ち 方-
(英国)
ロンドン発
2017年03月16日
議会は3月13日、EU離脱通知法案を承認した。これを受けテレーザ・メイ首相は、3月末までにEU基本条約第50条に基づく離脱の正式通知を行う見込みだ。議会審議が遅れ、3月中の通知が危ぶまれていたが、政府が最終的に反対意見を押し切ったかたちだ。今後、EUとの離脱交渉が始まることになるが、双方の政治的な思惑も入り混じり、交渉は難航するとみられている。3回に分けて、英国のEU離脱交渉の課題と展望についてまとめる。
<3月末までに離脱通告の見通し>
EU離脱のプロセスについて、メイ首相は2016年10月の保守党大会で、議会審議を経ずにEUに対して離脱の通知を行う意向を表明した。しかし、2017年1月に最高裁で正式通告には議会承認が必要との判決が下され、政府は方針を変更し、首相に離脱を通告する権限を付与する離脱通知法案を1月26日に議会に提出した(2017年1月25日記事参照)。
与党・保守党が優位の下院では、2月8日に494対122で法案を可決、その後の上院審議では、3月1日にEU市民の権利保障についても含めるべきとした修正案が可決、さらに3月7日にも離脱の最終案を議会に諮ることを義務付ける修正案も可決され、下院での再審議が必要となっていた。このため、3月中の通知は難しいとの見方もあったが、3月13日の下院での再審議では上院の修正案を否決、上院も最終的にそれを追認し、政府原案が承認された(注)。
これを受け、メイ首相は3月末までにEUに対して離脱の正式通知を行う意向だ。承認後、直ちに通知を行わないことについてはさまざまな理由が考えられるが、主要紙はオランダの下院選挙(3月15日)やローマ条約調印60周年記念式典(3月25日)などEU側の政治日程に配慮した結果とみている。
<「離婚費用」ではEU見解と相違、交渉は難航か>
今後、4月にも英国政府と欧州委員会の離脱交渉が開始されるが、交渉の延長が承認されない限り、通知から2年後には交渉の成否にかかわらず、英国のEU加盟国としての権利は自動的に失効する。欧州委のミシェル・バルニエ首席交渉官は、EU加盟国や欧州議会の最終承認に半年程度かかるとみて、2018年10月までには交渉を終えるとしており、実質的な交渉期間は1年半しかない。時間的に厳しい状況に置かれる中、「離婚費用」ともいわれる未払い分担金などの支払いについて英国とEUの見解に相違が出ており、交渉は難航が予想されている。
「離婚費用」については、ジャン=クロード・ユンケル欧州委員長が2月21日に、英国が国民投票で離脱を決定する前に約束していたEU予算の分担金など600億ユーロの支払いを英国に求めると述べている。バルニエ首席交渉官もこの主張に賛同しているとされ、離脱協議が成立するまではEUと英国の自由貿易協定(FTA)交渉は開始しないと発言するなど強硬姿勢を示している。
これに対し、英国のリアム・フォックス国際通商相は600億ユーロの支払いについて「ばかげている」と反発。メイ首相も1月17日に行ったスピーチの中で、もしEU側が交渉において懲罰的な手法を取る場合、「英国は受け入れないし、受け入れることはできない」と述べている。上院のEU財政委員会も、3月4日に発表した報告書「ブレグジットとEU予算」の中で「離婚費用」について、ブラック ジャック 勝ち 方限り英国に支払い義務は発生しないとの見解を示した。2020年までのEU中期予算計画について、EU予算の12%を占める英国からの拠出の穴を今後どのように埋めていくのか、協議の行方が注目される。
<離脱協議は複雑、前例ない交渉に>
離脱協議ではこのほか、英国に居住するEU市民の権利とEUに居住する英国民の権利の扱い、英国に所在するEU機関(欧州医薬品庁と欧州銀行監督庁)の移転、EUプログラムへの継続参加、北アイルランドとアイルランド共和国との国境、司法・内務や外交・安全保障政策に係る協力など、多岐にわたる内容について協議される予定だが、どの問題も複雑で前例のない交渉ばかりだ。
こうした離脱協議の複雑性に加えて、メイ首相は1月17日の演説で、「(条件の)悪い合意であれば、合意なしの方がよい」と述べており、協議が成立しない可能性も現実味を帯びている。一方のEU側をみても、2017年だけでもオランダ、フランス、ドイツでの選挙が予定されており、政治的に不安定な時期が続きそうだ。下院の外交委員会は3月7日に発表した報告書の中で、(英国を除く)加盟27ヵ国間の足並みに乱れがあった場合は、ブラック ジャック 勝ち 方まま「合意なし」で2年間の交渉期間を終える可能性もあるとの懸念を表明している。
(注)上院の、EU市民権の権利保障を含めるべきとの修正案は335対287、離脱の最終案を議会に諮ることを義務付ける修正案は331対286の反対多数でいずれも下院で否決された。その結果を受けて、最終的に上院もそれぞれ274対135、274対118で下院の判断に賛成し、政府原案を承認した。
(佐藤丈治)
(英国)
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