ANOと社民党の連立内閣が下院で信任
(チェコ)
プラハ発
2018年07月13日
下院は7月12日、ANO 2011(ANO)とチェコ社会民主党(CSSD)の連立内閣を賛成105、反対91で信任した。連立2党のほか、ボヘミア・モラビア共産党(KSCM)も賛成票を投じた。
事業家アンドレイ・バビシュ党首率いるANOは2017年10月の下院選挙で圧勝したが、過半数の議席獲得には至らなかった(2017年10月24日記事参照)。バビシュ氏がEU補助金不正受給疑惑への関与の疑いが持たれる中、12月に首相に就任した同氏は2018年1月にANOの単独政権を発足させようとしたが、下院の信任を得られなかった。
その後、バビシュ首相はCSSDの連立政権への参加およびKSCMの支持を得ることに成功し、第2次バビシュ内閣が成立することとなった。主な顔ぶれと所属は以下のとおり。
- 首相:アンドレイ・バビシュ(ANO)
- 内相・外相代理兼第1副首相:ヤン・ハマーチェック(CSSD)
- 環境相兼副首相:リハルト・ブラベッツ(ANO)
- 財務相:アレナ・シレロバー(無所属、ANO推薦)
- 産業貿易相:マルタ・ノバーコバー(無所属、ANO推薦)
- 労働・社会福祉相:ペトル・クルチャール(CSSD)
チェコの概況を参照のこと。
新政府の綱領は政府投資の増大、EUの政策への積極的関与(ただし、難民割当制度には反対)、増税の回避、年金改革などを内容としたもので、下院選挙前のCSSD、ANO、キリスト教民主連合=チェコスロバキア人民党(KDU=CSL)による3党連立政権からの大幅な政策の転換はみられない。
産業界は、産業貿易相に商業・観光業連盟会長、経済会議所副会長を務めたマルタ・ノバーコバー氏が就任したことを歓迎している。
なお、内務相のヤン・ハマーチェックCSSD党首が外相代理を兼任しているのは、同党が外相に推薦した人物が難民受け入れの賛同者であるとして、ミロシュ・ゼマン大統領が任命を拒否したため。
野党は、この外相不在および首相をめぐる疑惑を批判し、また内閣が1990年の総選挙以降初めて共産党の積極的支持を得て成立したことに強い反発を示している。
(中川圭子)
(チェコ)
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