EU、7月から対米報復関税措置発動へ
(EU、米国)
ブリュッセル発
2018年06月07日
欧州委員会は6月6日、EU原産の鉄鋼・アルミニウムに対する米国の追加関税賦課(適用除外停止)に対する報復措置について、欧州委員の合議体(College of Commissioners)レベルで協議し、5月18日付でWTOに通告(2018年5月21日記事参照)した対象リスト掲載の全米国産品に追加関税を課す方針を決定したと発表した。7月からの課税開始を念頭に、EU加盟国とも連携して手続きを6月中に完了するとの見通しを示した。
EU側で被害を受ける輸出額は64億ユーロ相当
欧州委によると、EUはWTOセーフガード協定に基づいて、米国の追加関税賦課に伴い損害が想定されるEU側の輸出額(64億ユーロ相当)を相殺する措置を講じるとしている。EUとしてはまず、28億ユーロ相当のEU向け米国産品輸出に対して直ちに関税を賦課。その後、WTOの紛争解決手続きを通じて、3年あるいは、それより早期に米国の追加関税賦課が協定違反であることが明らかとなった場合、その段階で残りの36億ユーロ相当についても関税賦課を行うという。
欧州委のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)は米国の追加関税賦課決定について「違法な決定(illegal decision)」と断言した。欧州委によれば、今回の措置はEUとしての3方面からの対応の1つだという。EUはこれと並行して、「米国に対するWTO提訴」を行い、「米国市場を失った余剰鉄鋼の流入から欧州市場を守るためのセーフガード措置の準備」を進めている。欧州委は3月26日付でセーフガード調査に着手()しており、9カ月以内に結論を出すという。また、アルミニウムについて、欧州委は措置発動の必要性を判断するための輸入監視システム導入を決定している。
(前田篤穂)
(EU、米国)
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