コンテ氏が首相に再指名、与党2党首も入閣

(イタリア)

ミラノ発

2018年06月04日

セルジョ・マッタレッラ大統領による閣僚人事案の拒否により組閣を断念していたジュゼッペ・コンテ氏だが(2018年5月29日記事参照)、一転、再度の首相指名が決まった。コンテ氏の組閣断念後、大統領により元IMF財政局長のカルロ・コッタレッリ氏が首相に指名されていたが、その後、与党の五つ星運動(M5S)と同盟(Lega)により閣僚人事案の再提出が試みられ、再度コンテ氏が首相として組閣することになり、コッタレッリ氏は指名を返上した。

閣僚人事案では18ポストが指名され、うち5ポストは女性だ。大統領も人事案を承認しており、現地時間6月1日午後には大統領への宣誓が行われた。今後、上下両院の承認を経て正式に内閣が発足する。上記2党が両院で過半数を占めるため、造反などがない限りコンテ内閣が正式に発足することになる。

経済財政相にエコノミストが就任

当初案で大統領から経済財政相への就任を拒まれたパオロ・サボーナ氏は、新設のEU担当相に回り、経済財政相にはエコノミストのジョバンニ・トリア氏が就任する。両氏とも金融・財政政策をめぐるユーロ圏内の不公平性を指摘しており、EUに対して従来以上に財政的な弾力性・自主性を求めていくものと考えられる。

同盟のマッテオ・サルビーニ党首は内務相兼副首相に就任する。同盟は難民問題に厳しい姿勢を示しており、外国人へのビザ発給に影響する可能性も考えられる。対EU関係では従来の政権も加盟国間での難民に関わる負担の適正化を要求していたが、この主張がより強まる可能性がある。

M5Sのルイジ・ディ・マイオ党首は経済発展相・労働相・副首相を兼務する。日系企業を含む外資系企業の誘致に関わる政策は経済発展省が所轄しているため、今後の政策に着目する必要がありそうだ。

(山内正史)

(イタリア)

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