通商摩擦の回避に向けた米中共同声明を発表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2018年05月22日
米国政府は5月19日、通商摩擦の解消に向けた中国政府との共同声明を発表した。共同声明は5月17~18日のワシントンでの政府間協議後に発表されたもので、米国の対中貿易赤字削減に向け、中国が米国製品・サービスの購入を大幅に増やすことなどで合意したとしている。
中国が米国の農産物とエネルギーの購入を拡大
共同声明では合意事項として、まず米国の農産品とエネルギー輸出の拡大を挙げた。米国政府は今後、中国に交渉団を送り、具体策を協議する。スティーブ・ムニューシン財務長官は5月20日、フォックス・ニュースの取材に答えて、2018年の対中農産物輸出は前年比35~45%増になると述べた。エネルギー輸出については今後3年~5年の間、毎年500億~600億ドルの輸入を中国が行うとしている。中国政府と貿易赤字削減の枠組みで合意したことを受け、ムニューシン長官は、1974年通商法301条(以下、301条)に基づく対中関税賦課を保留するとも述べた(注)。
301条の発動で米国政府が問題視している中国の技術移転策について、共同声明では「中国政府は知的財産法を含む法制度の必要な改正を進める」との表現にとどまった。また、同じく301条でトランプ大統領が検討を指示した対中投資への規制強化に関しても、合意内容は示されなかった。投資については「両国間の投資を促進し、公平で平等な競争環境の構築に努める」とのみ記載された。
中国の大手通信機器メーカー中興通訊(ZTE)への対応については、共同声明では触れられていない。ムニューシン財務長官は、上述したフォックス・ニュースの取材において、同社に対する処罰の緩和に否定的な見方を示した。ZTEは米国の経済制裁法および輸出規制違反とその対応策に関する虚偽報告を理由に、米国政府から罰則措置を受けたが(2018年4月20日記事参照)、トランプ大統領は罰則措置の緩和を商務省に指示したとツイッターで発言していた。
(注)米通商代表部(USTR)はトランプ大統領の指示に基づき、中国からの輸入に25%の関税を賦課する約1,300品目(500億ドル相当)のリストを4月2日に公表していた(関連ブラック ジャック アプリ)。トランプ大統領は、追加で1,000億ドル相当の品目リストの作成もUSTRに指示していた。
(鈴木敦)
(米国、中国)
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