米国におけるイノベーションコンテストについて(2019年3月)

2019年03月12日

最終更新日:

イノベーションコンテストは、外部の様々な参加者による特定の問題解決を積極的に奨励することでイノベーションを開拓するものである。消費者や起業家など、コンテストの主催者(組織)より当該問題に近い人々から解決案を募集することで、組織はユーザー側が経験した問題を把握できるほか、業界の枠を超えた斬新な問題解決案が提示され、業界間の知識移転につながるケースもある。また、コンテストの参加者が自己資本を用いてユニークな問題解決方法を考案するケースもあり、実際に問題を解決できる(最も優れた)ソリューションのみに投資できる点も考慮すると、組織にとってイノベーションコンテストは、研究開発資金面で非常に効率的な手段である。
McKinsey & Company社の調査では、イノベーション推進手段として賞/イノベーションコンテストを選択する場合の主な条件に、(1)明確な目的があること(合理的な期間内に達成可能であるか等)、(2)比較的多数のコンテスト参加者(潜在的な問題解決案の提案者)が見込めること、(3)コンテスト参加者が一部のコスト及びリスクを負う意思があること、の3点を挙げている。

日本での最近の動きとしては、日本企業として初めてXプライズ財団とパートナー契約を締結した全日空(ANA)がスポンサーとして支援する「ANA Avatar XPRIZE」が2018年3月末に開始され、4年間に及ぶ賞金総額1,000万ドルの同コンテストにより、「飛行機の利用者はまだ世界で6%ほどであり、アバター(=分身)技術を活用することで残りの94%を含む世界中の人々を繋ぎたい」とするANA社の想いをテーマに最先端「アバター」テクノロジーの実現を目指している。これらの米国の事例が日本の企業、大学、行政等のイノベーション施策の参考になることを期待したい。

シリーズ名:
ニューヨークだより
発行年月:
2019年03月
作成部署:
ジェトロ・ニューヨーク事務所
総ページ数:
24ページ

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