ブラック ジャック サイト

質問

ブラック ジャック サイトを教えてください。また、インドの取引先からForm 10Fの提出を依頼されています。Form 10Fについても、概要を教えてください。

回答

ブラック ジャック サイト、及びインドでの税制優遇手続きについて次の通り説明します。

I. ブラック ジャック サイト

日印租税ブラック ジャック サイト(正式名称:所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間のブラック ジャック サイト)は、1989年3月7日に署名され、同年12月29日に発効しました。このブラック ジャック サイトは、日印両国の居住者が同一の所得に対して二重に課税されることを防止し、経済協力と投資を促進することを目的に締結されました。この目的の達成のため、日本・インド双方の徴税権は、納税者の有利となる範囲で本ブラック ジャック サイトによって一部制限されています。
日印租税ブラック ジャック サイトは、OECDモデルブラック ジャック サイトに従って起草され、現行ブラック ジャック サイトは複数回の改正に加え、「税源侵食及び利益移転(BEPS)を防止するための租税ブラック ジャック サイト関連措置を実施するための多数国間ブラック ジャック サイト(通称:BEPS防止措置実施ブラック ジャック サイト)」への対応のための修正を経て施行されています。

II. ブラック ジャック サイトの範囲

  1. 対象となる者
    このブラック ジャック サイトは、日本またはインドの居住者である個人および法人に適用されます。居住者とは、日本またはインドの国内法に基づき、住所や居所、主たる事務所の所在地その他これらに類する基準により当該一方の締結国により課税される者とされます(第1条、第4条)。双方の締結国の居住者とみなされる場合、日印両国の主管当局の合意のもと、その者の税務上の居住地を決定する手続が規定されています。この居住地の決定にあたっては、当該者の実際の管理の場所や設立地などの要素を考慮して行われます(第4条2項)。
  2. 対象となる租税
    ブラック ジャック サイトの対象となる租税は主に所得に関するものです。日本では、所得税、法人税が含まれ、インドでは、所得税(加算税を含む)が対象となります。ブラック ジャック サイトは、署名後に導入される実質的に類似する税にも適用されるように構成されています。日印両国の主管当局は、それぞれの税法における重要な変更を互いに通知することが義務付けられていて、これにより、ブラック ジャック サイトの適用が常に有効かつ適切なものとなるようにしています(第2条)。

III. 主要条項の概要

  1. 二重課税の除去
    本ブラック ジャック サイトの目的の一つは締約国における二重課税の除去です。これを効果的に実施するために、ブラック ジャック サイトはガイドラインとして次の一般規則(国外所得免除方式又は外国税額控除方式)を定めています(第23条)。
    1. インドの居住者がこのブラック ジャック サイトの規定に従って日本国において租税を課される所得を取得する場合には、インドは、日本国において直接に又は源泉徴収により納付される租税の額を当該居住者の所得に対する租税の額から控除する。ただし、控除の額は、(当該控除が行われる前に算定された)所得に対する租税の額のうち日本国において租税を課される当該所得に対応する部分を超えないものとする。
    2. インドの居住者がこのブラック ジャック サイトの規定に従って日本国においてのみ租税を課される所得を取得する場合には、インドは、当該所得をインドの租税の課税標準に含めることができる。ただし、所得に対する租税の額から日本国において取得する当該所得に対応する部分を控除する。
    3. 日本国の居住者がこのブラック ジャック サイトの規定に従ってインドにおいて租税を課される所得をインドにおいて取得する場合には、当該所得について納付されるインドの租税の額は、当該居住者に対して課される日本国の租税の額から控除する。ただし、控除の額は、日本国の租税の額のうち当該所得に対応する部分を超えないものとする。
    4. インドにおいて取得される所得が、インドの居住者である法人によりその議決権のある株式又はその発行済株式の少なくとも二十五パーセントを所有する日本国の居住者である法人に対して支払われる配当である場合には、日本国の租税からの控除を行うに当たり、当該配当を支払う法人によりその所得について納付されるインドの租税を考慮に入れるものとする。
  2. インド非居住者が本ブラック ジャック サイトに基づく税制優遇措置を適用するための必要な手続き
    インド所得税法に基づき、納税者は、本ブラック ジャック サイトと1961年所得税法のいずれか有利な方を選択して適用することができます(1961年インド所得税法第206AA条、第90条)。
    後掲の表に記載のある通り、本ブラック ジャック サイトにおいて、源泉徴収義務は原則各種所得に係る支払いを行う側にあります。インドから日本に役務提供等に係る支払を行った場合には、租税ブラック ジャック サイトに基づき納税証明書等を相手側の国へ送ることで、相手国において外国税額控除(FTC : Foreign Tax Credit)の適用を受け、二重課税を回避することができます。
    なお、日印租税ブラック ジャック サイトにおける源泉徴収税率の適用を受けるために、非居住者が取引時に満たさなければならない条件として、次の2つが求められます(1961年所得税法第206AA条、第90条)。
    1. 納税者番号(PAN)を提供すること
    2. PANが利用可能でない場合には、当該非居住者が次の情報・書類を自己申告すること
      • 居住者証明書(Tax Residency Certificate)所轄税務署にて本ブラック ジャック サイトの適用を受けることを伝えて取得します。
      • Form 10F(納税番号には法人番号を記載)文末のリンクからオンライン申請により取得可能です。PANがない場合には、最初の画面でTaxpayerではなくOthersを選択します。
      • 連絡先のメール・アドレス、電話番号
        当該フォーム等について、従前は紙での申請を受け付けていましたが、インド直接税中央委員会は2023年9月末以降、電子申告のみの受付に切り替えました。Form10Fは税務当局に紙で提出する必要はありませんが、税務申告者に保管義務があります。
  3. 恒久的施設(PE)とは
    恒久的施設(Permanent Establishment: PE)とは、企業が事業活動を行う固定的な事業所を指します。本ブラック ジャック サイトでは、事業の管理の場所・支店・事務所・工場・作業場・店舗その他の販売所等がPEとして認識されることが規定されています(第5条2項)。
    また、他方の締結国の企業に代わって行動する者(代理人PE、同7項)、183 日を超える建設工事プロジェクト(建設PE、同3項・4項)も恒久的施設として見なされます。
  4. 相互協議(MAP)
    一方または双方の締約国の措置により、このブラック ジャック サイトの規定に適合しない課税を受けた者は、締約国の法令に定める救済手段に頼るか、自身の居住国の管轄当局に対し申し立てをすることができます。ただしこの申し立ては、このブラック ジャック サイトの規定に適合しない課税を受けた日から3年以内に実行しなければなりません。この手続きは、申し立てを受けた当局が決断を下すか、必要であれば他方の締約国の当局との合意によって当該事案を解決することを認めています。両締約国間はまた、このブラック ジャック サイトが正しく適用されるために、調和の取れた方法で相互に協議し、事案の解決に努めなければならないとされています。これを相互協議(Mutual Agreement Procedure: MAP)といいます(第25条)。
  5. ブラック ジャック サイト濫用防止策
    BEPS防止措置実施ブラック ジャック サイトに基づき、本ブラック ジャック サイトにおいても第三国の企業がブラック ジャック サイトの恩恵を受けようとする行為を防止するための濫用防止規定が適用されます。主要目的テスト(Principal Purpose Test)を実施して、当該取引や取り決めの主たる目的が租税優遇を受けることであると認められる場合、その取引に係る控除等は否認されます。また、PE状態であることからの意図的な回避や低税率国の利用を目的とした取引に対する対策も組み込まれています。濫用防止規定は、ブラック ジャック サイトの本来の目的である正当な経済活動を促進して、租税回避や脱税を防止するために設けられています。

IV. 課税所得ごとの課税方法

本ブラック ジャック サイトは、OECDモデルに立脚してさまざまな所得に対する課税方法を詳細に規定しています。所得の種類ごとに、日印租税ブラック ジャック サイト上の課税方法は図表のようにまとめられます。

所得 区分 課税方法
不動産等の所得(第6条) 不動産等の所在地国にて課税
事業所得(第7条) 原則 所在地国にて課税
特例 PE等を通じて事業を遂行する場合、当該PEに帰属される所得に限ってPE等の所在する地にて課税することができる
船舶・航空機等の国際運輸所得(第8条) 居住地国で課税
関連企業間の所得調整(第9条) BEPS防止措置実施ブラック ジャック サイトに基づき調整
受取配当金(第10条) 原則
  • 配当を支払う法人の所在地国で課税
  • 制限税率:配当金額に対して10%
特例
  • 配当を受け取る法人所在地国で課税が可能
  • PE等を通じた事業を通じて得た配当金等の場合は、第7条・第14条の規定を適用
受取利息(第11条) 原則
  • 配当を支払う法人の所在地国で課税
  • 制限税率:利払額に対して10%
特例 利息を受け取る法人の所在地国で課税が可能
使用料所得(第12条) 原則
  • 使用料所得を支払う法人の所在地国で課税
  • 制限税率:役務に対する料金の額の10%
特例 使用料所得を受け取る法人の所在地国で課税が可能
不動産など譲渡所得 (第13条) 不動産など資産の所在地国で課税
有価証券譲渡所得(第13条) 原則 居住地国で課税
特例 資産が主に不動産となっている法人の株式やPE等に係る譲渡所得については、有価証券発行法人の所在地国で課税
独立的人的役務所得(第14条) 原則 居住地国で課税
特例 PE等に係る所得の場合、役務遂行地国で課税
従属的人的役務所得(第15条、第16条) 原則 役務遂行地国で課税
特例
  • 取締役については、取締役が所属する法人の所在地国で課税することができる
  • 外国航行船舶などの乗務員については、国際運輸企業の所在地国で課税または乗務員の居住地国で課税することができる
その他の所得(第22条) 原則 居住地国で課税
特例 PE等を通じて事業を行うことにより支払われる所得に関連する権利などが、PE等と実質的に関連する場合には、PE等の所在地国で課税

関係機関

関係法令

参考資料・情報

財務省:
『我が国の租税ブラック ジャック サイト等の一覧 - インド』外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ:
貿易投資Q&A『恒久的施設(Permanent Establishment: PE)とは』

調査時点:2024年11月
最終更新:2024年12月

記事番号: ND-241201

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