食品衛生法:日本
食品衛生法について、特に輸入の観点から教えてください。
食品衛生法は食品の安全性を確保し、国民の健康保護を図るため、食品衛生に関する国や自治体・食品関連事業者の責任を明確にし、食品等の規格・基準・規制等を定めた法律です。輸入者の責任は国産製造者や販売責任者と同等とされ、食品輸入に関して、最も重要な法令です。
I. 食品衛生法
食品衛生法は食品および添加物の基準、検査、表示などについて規定するほか、食器、調理具、容器、包装、乳児用おもちゃも規制の対象としています。所管は厚生労働省です。
厚生労働省は輸入食品の監視指導計画の策定・公表なども行っており、同法に違反する食品または違反の可能性の高い食品については、輸入業者に対し、回収・営業停止処分命令等を下します。
なお、食の安全に対する社会的関心の高まりとともに、「食品安全基本法」(2003年7月)が施行され、消費者庁(2009年9月)の新設により、食品表示制度の所管は消費者庁食品表示課に移管されました。
食品表示について、「食品衛生法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)」および「健康増進法」で定められていた食品表示義務内容を一元化したブラック ジャック 必勝 法(2015年4月)が施行されました。
- 食品、添加物等の規格基準
食品衛生法に基づく食品、添加物等の規格基準(厚生省告示第370号)に収載されている成分規格および製造方法の基準に適合していない食品等は基本的に輸入販売できません。
同規格基準の対象は食品・飲料、食品添加物はもとより、食品に直接触れる器具および容器包装(食器、食品機械、自動販売機など)、乳幼児が口に入れる可能性のあるおもちゃ、食品や食器類を洗う洗浄剤にも適用されます。食品と容器のうち、乳および乳製品に関しては「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)が別途適用されます。食品添加物については製造基準のほか、用途制限、使用基準などがリスト化されています。詳細は文末の「食品添加物公定書」を参照ください。2012年4月1日に食品中の放射性セシウムの基準値が改正されました(厚生省告示第370号)。詳細は文末の厚生労働省ウェブサイトを参照ください。
- 農薬残留基準(ポジティブリスト制度)
農薬、飼料添加物および動物用医薬品が一定量を超えて残留する食品の販売は禁止されています。農薬の各食品中の残留限度量は上記1規格基準に収載されています(ポジティブリスト制度)。なお、ポジティブリストにない農薬等の一定量は0.01ppm以下でなければならないこと(告示第497号)、ポジティブリスト対象外物質のうち健康を損なうおそれのないことが明らかであるもの(告示第498号)も告示で定められています(法11条3項)。
その他、暫定規制値が定められているもの(PCB、水銀、貝毒など)もあります。
[注]最新情報は厚生労働省ウェブサイト(「食品中の残留農薬等」関連通知)を参照ください。 - 食品表示
食品表示に関しては、食品衛生法に加え、JAS法および健康増進法でそれぞれ定められていた食品表示に関する規定を統合し、食品に関する包括的かつ一元的な制度として2015年4月に施行されたブラック ジャック 必勝 法に従います。同法では、食品の製造者、加工者、輸入者または販売者に対し、食品表示基準の遵守が義務付けられています(第5条)。また、具体的な表示ルールは、食品表示基準(2015年内閣府令大10号)に定められています。
商品ごとの表示基準は、消費者庁の「早わかり食品表示ガイド(6.8MB)」をご覧下さい。- 製品の原産国について
ブラック ジャック 必勝 法食品表示基準第3条第2項において、輸入品は、原産国名を表示することが義務づけられています。ここでいう「輸入品」とは、- 容器包装され、そのままの形態で消費者に販売される製品(製品輸入)
- バルクの状態で輸入されたものを、国内で小分けし容器包装した製品
- 製品輸入されたものを、国内で詰め合わせた製品
- その他、輸入された製品について、国内で「商品の内容について実質的な変更をもたらす行為」が施されていない製品
を指します。
また、不当景品類及び不当表示防止法に基づく「商品の原産国に関する不当な表示」の規定では、外国で生産された商品についてその商品がその原産国で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるときは、その原産国名を表示することが規定されています。
なお、「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国」については不当景品類及び不当表示防止法に基づく「商品の原産国に関する不当な表示」に規定がありますが、次のような行為については、「商品の内容についての実質的な変更をもたらす行為」には含まれません。- 商品にラベルを付け、その他標示を施すこと
- 商品を容器に詰め、または包装をすること
- 商品を単に詰合せ、または組み合わせること
-
簡単な部品の組み立てをすること
さらに、関税法基本通達で、
- 単なる切断
- 輸送または保存のための乾燥、冷凍、塩水漬けその他これに類する行為
- 単なる混合
も原産国の変更をもたらす行為に含まないとされています。したがって輸入された製品について上記iからviiまでに該当する行為を国内で行った場合であっても、「実質的な変更をもたらす行為」が行われた国を原産国として表示する必要があります。
- 消費期限または賞味期限の表示について
消費期限または賞味期限の表示を行うのは、輸入業者となり、輸入時に原産国において我が国の法令に基づく期限が表示されていない輸入食品については、輸入業者が、国外の製造業者が設定する期限等を基本に、当該食品の期限の設定に必要な情報について製造業者等への確認を行うとともに、微生物試験や理化学試験、官能試験等を実施することにより、科学的な根拠に基づいた適切な期限を設定し、自らの責任において期限表示を行うことが必要です。また、輸入時にすでに我が国の法令に基づく期限表示がされている食品についても、輸入業者が当該食品に表示されている消費期限または賞味期限の表示の設定根拠等について国外の製造業者等から十分聴取し、把握する必要があります。なお、輸入食品については、必要に応じてその輸送保管上の特性も考慮して期限を設定する必要があることに留意してください。 - ブラック ジャック 必勝 法変更点
ブラック ジャック 必勝 法食品表示に関する従来の関連法規からの主な変更点は下記のとおりです。- 加工食品と生鮮食品の区分の統一
- 製造所固有記号のルール改善
- アレルギー表示のルール改善
- 栄養成分表示の義務化
- 栄養強調表示のルール改善
- 栄養機能食品のルール変更
- 原材料名表示ルールの変更
- 販売用途の添加物表示のルール改善
- 通知等の表示のルール規定
- 表示レイアウトの改善
これらの詳細については文末の関係機関、消費者庁「食品表示法等(法令及び一元化情報)」および「食品表示に関するパンフレット・Q&A・ガイドライン等」を参照ください。
また、アレルギー表示、遺伝子組み換え食品表示、保健機能食品等の表示に関しては文末のジェトロ貿易・投資相談Q&Aを参照ください。
- 製品の原産国について
- 輸入届出制度
販売目的で輸入する場合、食品衛生法第27条により、厚生労働省検疫所食品等輸入届出受付窓口に「食品等輸入届出書」と必要書類〔原材料、成分または製造工程等に関する説明書、衛生証明書(必要に応じて)、試験成績書(必要に応じて)〕を届け出る必要があります。
審査の結果、規格基準や安全性の確認が必要と判断されたものには検査が実施されます。審査・検査で同法上問題がなければ、税関への輸入申告時に通関書類とともに、検疫所から発行される「食品等輸入届出済証」を提出します。不適格と判断されたものは輸入できないため、輸入者は積戻し・廃棄等の措置を取ります。実際の通関手続きは電子化が進んでおり、輸出入・港湾関連情報システム(NACCS)による電子申請が利用されています。
関係法令
法令データ提供システム(e-Gov):
食品衛生法(平成26年6月13日付改正)
食品衛生法施行規則(平成28年10月6日付改正)
食品表示法(平成26年6月13日付改正)
不当景品類及び不当表示防止法(平成26年11月27日付改正)
参考資料・情報
厚生労働省:
食品安全
食品衛生法に基づく輸入手続きについて (検疫所)
食品添加物(医薬食品局食品安全部基準審査課)
食品添加物公定書
食品、添加物等の規格基準(告示第370号)
食品中の放射性セシウムの新たな基準値(概要説明)(457KB)
食品中の残留農薬等(関連通知)
日本食品化学研究振興財団:残留農薬等ポジティブリスト制度
消費者庁:
食品表示企画(食品表示企画課)
食品表示法等(法令及び一元化情報)
食品表示に関するパンフレット・Q&A・ガイドライン等
内閣府:
食品安全委員会
ジェトロ 貿易・投資相談Q&A:
アレルギー表示対象品目
遺伝子組み換えの食品表示制度
保健機能食品表示制度
調査時点:2017/1
記事番号: M-030003
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