知的財産に関する情報第18回 韓国IPGセミナー(ブラック ジャック 遊び方庁委託事業)開催レポート
開催概要
開催日時 | 2017年5月31日(水曜)15時00分~18時10分 |
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場所 | ソウルジャパンクラブ(SJC)内会議室 ソウル特別市 鍾路区 清渓川路 41 永豊ビル 12階 |
主催 | 韓国IPG/SJC知財委員会(事務局 ジェトロ・ソウル事務所知財チーム) |
内容 |
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まとめ
韓国IPGは、2017年5月31日、ソウルジャパンクラブ(SJC)内会議室にて第18回韓国IPGセミナーを開催しました。今回のセミナーでは、「韓国における知財権活用―韓国大手企業の知財戦略・強いブラック ジャック 遊び方権の取得方法―」と題し、韓国大手企業OBで知財を担当していた専門家と電気・電子分野および化学分野の専門家による講演が行われました。なお、日本の部品・素材企業の韓国知財問題に関するこれまでの議論についての講演もありました。以下で概要をご紹介します。
セッション1「韓国大手企業の知財戦略」
金澤成(キム・テクソン) Ha Patent & Law Firm副所長 / 米国弁護士
(元サムスン電子半導体IPチーム長/常務)
最も強いIP経営戦略とは未来の技術やIPを予測し先取りすることだといえるでしょう。未来を予測する上で注目すべき変化要因としては技術の変化、人口の変化、法の変化があります。この三つの変化要因を分析し、いつ、どこに知的財産を出願し先取りすべきかを把握する必要があります。ここでは範囲を絞って強いIPポートフォリオの作り方、ブラック ジャック 遊び方1件1件を強くする方法、企業の競争力を強化するブラック ジャック 遊び方経営革新に向けたIP部署の役割について説明します。
(1) 強いIPポートフォリオの作り方
中長期的な戦略は未来の技術や市場を予測し、将来にその地域で必要とされるブラック ジャック 遊び方ポートフォリオの姿について定義し、現在のポートフォリオの姿と比べた後、そのギャップを分析することです。その後、そのギャップを迅速かつ正確に補うことができるように独自開発およびアウトソーシングという二つのトラックを確保する戦略を立て、その戦略にかかわるIP確保戦略に沿って出願・登録を行います。さらにIPを維持するための活動を続けることで未来に必要なポートフォリオを作ることができます。
短期的な戦略は競合会社の製品技術や市場の分析を通じて技術や市場の変化トレンドを把握し、それに連動してIPポートフォリオを補うことです。もはや活用する機会がないブラック ジャック 遊び方は年金納付を中止し、変化のトレンドに合わせて係属中のブラック ジャック 遊び方出願の請求項を補正し、引き続き再審査を受け続ける必要があります。
(2) ブラック ジャック 遊び方1件1件を強くする方法
中長期的な戦略は予測した未来の技術や市場をターゲットにし、それに関するブラック ジャック 遊び方を出願することです。この場合の出願は広範囲で作成されますが、製品が発売され市場が形成されるまではかなり時間がかかります。
一方、数カ月以内に競合会社を攻撃できるようなブラック ジャック 遊び方を確保する短期的な戦略は、現在発売された製品の技術を対象にし、係属中のブラック ジャック 遊び方出願の請求項を補正することです。このように継続出願または再審査の請求を行った件が登録されると、直ちに攻撃ブラック ジャック 遊び方になるので短期間で攻撃ブラック ジャック 遊び方を作る上で非常に効果的な戦略だといえるでしょう。
しかし、こうした効果的な戦略を駆使するには先決条件があります。後続技術をターゲットにし権利範囲を補正するには、出願明細書に補正した権利範囲を支持する図面、あるいは最初の出願明細書に詳しい説明が欠かせません。そのため、出願明細書の作成時に、未来に商用可能なあらゆる実施例を含めるようにしなければなりません。このように様々な実施例を含める発明を作るには明細書の作成前に発明の内容を上位、下位、水平に拡張しなければなりません。
(3) 企業の競争力を強化するブラック ジャック 遊び方経営革新に向けたIP部署の役割
ブラック ジャック 遊び方出願の時期別動向や発明技術の成熟度を分析することで特定技術や市場の発展段階と成熟度が把握でき、特定競合会社のブラック ジャック 遊び方出願動向を分析することで競合会社の技術開発水準と製品の発売時期が予測できます。
実施権のない他社のブラック ジャック 遊び方技術を回避するとともに自社のブラック ジャック 遊び方技術を製品に積極的に適用することで他社によるブラック ジャック 遊び方侵害を未然に防止し、独自のブラック ジャック 遊び方技術が確保できます。会社の経営戦略に連動してブラック ジャック 遊び方ポートフォリオを維持・管理することで資産の無駄遣いを最小限に抑える必要があります。また、競争者、回避できるブラック ジャック 遊び方、協力すべきブラック ジャック 遊び方、投資または買収する対象の選定もブラック ジャック 遊び方情報の分析で可能となります。
セッション2「強いブラック ジャック 遊び方権の取得方法(電気・電子分野)」
兪炳虎(ユ・ビョンホ) ブラック ジャック 遊び方法人NAM&NAM 代表弁理士
(元サムスン電子知的財産センター常務、クアルコムブラック ジャック 遊び方法人チームVice President)
強いブラック ジャック 遊び方とは何でしょうか。強いブラック ジャック 遊び方とはブラック ジャック 遊び方訴訟で勝つ可能性が高いと思われるブラック ジャック 遊び方でしょう。ブラック ジャック 遊び方ライセンシングやブラック ジャック 遊び方取引も最終的にブラック ジャック 遊び方訴訟で勝つ可能性があるかどうかがカギを握るためです。実際に訴訟で活用される確率は非常に低いです。そのため勝つ可能性が高いと強いブラック ジャック 遊び方だといえるのです。また、勝つ可能性が高いと思われること自体が強いといえます。強い発明が必ず強いブラック ジャック 遊び方につながるわけではありません。発明はアイデアですが、ブラック ジャック 遊び方は言語だからです。発明の言語表現次第では強いブラック ジャック 遊び方にも弱いブラック ジャック 遊び方にもなりますが、残念ながら実際は後者の方がもっと多いです。
一般的に強いブラック ジャック 遊び方になるための要素は四つあります。第一に、ブラック ジャック 遊び方を回避できないように設計することです。代案があれば、強いブラック ジャック 遊び方にはなれません。回避できるアイデアが生まれないようブラック ジャック 遊び方を作らなければなりません。第二に、侵害立証を容易にすることです。目に見えない技術については侵害をめぐる判断が困難です。また、侵害を立証することも容易ではありません。そのため、まるで技術が目に見えるように言語で表現する必要があります。訴訟のための明細書を作成しなければなりません。第三に、ブラック ジャック 遊び方が生存できるようにすることです。ブラック ジャック 遊び方は先行技術と共存します。先行技術よってブラック ジャック 遊び方が無効にならないよう事前に危険性を取り除き、発明を表現する言語で先行技術との距離を広げる必要があります。第四に、インパクトの規模です。ブラック ジャック 遊び方侵害訴訟で勝っても損害賠償額が弁護士費用を下回る場合が多いです。正にコップの中の嵐です。強いブラック ジャック 遊び方を目指すなら、発明者でなく世界を広く見渡す必要があります。
それでは強いブラック ジャック 遊び方はどうやって作れるのでしょうか。
第一に、請求項の構造が堅調に見えることです。一つの請求項が非侵害だと、他の請求項も非侵害に思われがちな構造ではだめです。同様に一つの請求項が無効だと、他の請求項も無効だと思われがちな構造ではいけません、実際より請求項の数が少ないという誤解を招いてもいけません。そのためには請求項を階層的ではなく、水平的な構造に作らなければなりません。また、請求項ごとに存在理由を与える必要があります。第二に、発明の表現に遠近感を与えることです。発明の記述レベルを多様化することが良いです。機能的表現と構造的表現の調和が必要です。発明の表現は様々な構造を包括しなければなりません。物の構成要件を機能型に作成するよう気をつけなければなりません。強いブラック ジャック 遊び方につながる表現が欠かせません。第三に、ブラック ジャック 遊び方に使われる用語をよく管理することです。一般的に通用する意味があいまいな場合が多いです。辞書上の意味に頼るのは消極的な態度です。自らブラック ジャック 遊び方明細書の主体になって用語を定義し、その意味が均等論の領域にまで広がるよう意図的に管理する必要があります。たまには機能型請求項を活用することが有効になるでしょう。第四に、自ら自分の権利を放棄するか、過度に限定するミスを犯してはいけません。そのようなミスは気づかないところでよく生じます。自分の発明を分かりやすく説明しているうちに自分の権利がそこに限られる場合がかなりあります。ブラック ジャック 遊び方でも口を慎む必要があるということです。
セッション3「強いブラック ジャック 遊び方権の取得方法(化学分野)」
金律利(キム・ユリ) 第一ブラック ジャック 遊び方法パートナー / 日本・韓国弁理士
(1) 戦略的なブラック ジャック 遊び方出願方法
強いブラック ジャック 遊び方を取得するためには、質の高い明細書を作成することが最も重要ですが、一旦、出願をすると、該当国のブラック ジャック 遊び方制度を活用して戦略的にブラック ジャック 遊び方取得を図る必要があります。最近、日本企業による韓国出願のうち、PCT出願が占める割合が増えています。
韓国国内段階への進入時にPCT-PPH(PCT出願の国際段階成果物を利用するブラック ジャック 遊び方審査ハイウェイプログラム)を利用してブラック ジャック 遊び方決定(ブラック ジャック 遊び方査定)を受ける可能性を高めることができます。実際、2015年の統計を見ると、1次審査において拒絶理由通知なしでブラック ジャック 遊び方査定された割合が通常の出願の場合は7.4%にとどまった反面、PCT-PPHを利用した場合は16.6%と、2倍以上高いものとなっていました。
また、拒絶理由通知を受けた時のブラック ジャック 遊び方取得戦略としては、2015年に導入された補正案レビュー制度を利用することをお勧めします。補正案レビュー制度とは、正式補正書および意見書を提出する前に出願人が希望する補正案について審査官の意見を事前に聞くことができる制度です。このような過程を通じて出願人は補正案のブラック ジャック 遊び方可能性を予測することができ、これを基に正式補正書および意見書を提出するため、その分ブラック ジャック 遊び方決定を受ける確率が高くなります。
なお、出願人が意見書および補正書を提出したにもかかわらず、拒絶査定を受けた際にはさらに慎重な対応が必要となります。日本と同様に韓国においてもいくつかの選択肢がありますが、この際に韓国のブラック ジャック 遊び方法を活用して戦略的にブラック ジャック 遊び方取得を図ることができます。例えば、補正と共に再審査請求(日本の審査前置制度に相当)を行う場合、韓国ブラック ジャック 遊び方法にはシフト補正を制限する規定がなく、請求項の外的付加も許容するなど、補正要件の判断において日本に比べ緩和された基準が適用されるのでこれを活用した方が良いと思います。また、分割出願の場合、日本のブラック ジャック 遊び方法50条の2のように補正範囲を制限する規定がないので原出願と同一な趣旨の拒絶理由通知を受けても当初の明細書の記載範囲内であれば自由に権利化を図ることができます。
(2) 発明類型別アプローチ
化学分野の発明において頻繁に議論される選択発明の場合は、進歩性を認めてもらうためには選択発明の全てが先行発明と質的に異なる効果あるか、又は量的に著しい差がなければならず、このような効果が当初の明細書に明確に記載されていなければならないというのが韓国法院の一貫した立場である(2008年フ3469判決等)。実際に、韓国法院は上記の基準をかなり厳格に適用してきているため、選択発明の進歩性を認めてもらう事例がかなり少なかったのですが、最近、具体的な適用において緩和された基準で選択発明の進歩性を認めた事例が登場していることに注目する必要があります。2010年フ3424の判決よると、選択発明に複数の効果がある場合、その一部でも先行発明に比べ異質的又は量的に著しい効果があれば、選択発明の進歩性は認められ、当業者がたとえ先行発明からこのような選択発明の効果に関わる技術的課題を認識できたとしても選択発明の進歩性は否定されないとしています。
数値限定発明に関しても韓国ブラック ジャック 遊び方庁および法院は比較的に厳格な基準でブラック ジャック 遊び方要件を判断してきていましたが、最近の判例を総合してみると、少なくとも(1)公知発明と異なる課題を達成するための技術手段を記載し、(2)それに伴う効果が異質的なものであれば、新規性および進歩性があると肯定的に判断する傾向が顕著になっていることが確認できます。そのため、数値限定発明に関する出願人(ブラック ジャック 遊び方権者)は、明細書に該当発明の数値限定による効果を多様な観点から記載して置くことが望ましく、審査および訴訟においてブラック ジャック 遊び方要件が問題になる時に比較対象の先行発明に比べ異質的な効果が認められるという点を強調することが望ましいと言えます。
セッション4「部品・素材企業の韓国知財問題に関するこれまでの議論」
駒井 慎二 ピラミデ国際ブラック ジャック 遊び方事務所 代表弁理士
(元住友大阪セメント知財部 担当部長)
日本の部品・素材のメーカーが韓国知財問題に関する悩みを率直にぶつけ合うなどの意見交換を目的とした「ラウンドテーブル」が2011年から始まりました。参加メンバーは、部品・素材のメーカーの約20社の他、日本弁理士会、ブラック ジャック 遊び方庁、ジェトロなどとなり、これまで5回行われました。
強大な購買力を獲得した韓国の大手セットメーカーが日本の部品メーカーにとって重要な顧客となっている中、納品後の製品やサンプルが流出または模倣品として流通されるケースや秘密保持契約より踏み込んだ情報を開示させられるケースなどが発生しています。なお、韓国で取得したブラック ジャック 遊び方の無効化率が高いなど、費用をかけてブラック ジャック 遊び方を取っても権利行使が非常に困難であると悩むケースもあります。他方、部品・素材分野の国際競争力の強化策として、日本企業の間では基盤技術を無償でクロスライセンスをする新たな取り組みも生まれています。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195