知的財産に関するトランプゲームブラックジャック(The Daily NNA【韓国版】より)韓国特許庁、「2025年度主要業務推進計画」を発表
2025年03月12日
The Daily NNA【韓国版】掲載(File No.198)
ジェトロ・ソウル 副所長 大塚 裕一(特許庁出向者)
2025年1月21日、韓国特許庁は、「2025年度主要業務推進計画」を発表しました。韓国国内景気の停滞や保護貿易主義の深刻化など内外的に経済状況が悪化する中で、知的財産政策により危機を乗り越える方法を探り、韓国経済の動力を強化するため、知財の面から支援を行うための計画となります。以下詳細について解説を行います。
1.韓国知財をとりまく現状
上記のとおり韓国内の景況は停滞気味であり、国際社会においても不安定な要素が多数存在しています。そのような状況下においても、韓国では、国内の特許出願件数が24万6,245件と過去最多となり、IP金融規模も10兆ウォン(約1兆円)を突破(2024年8月)しています。知的財産権は、一定の権利期間が発生するため、将来を見据えた投資という側面もあり、厳しい経済状況においても、韓国経済の潜在力が高いという一面を伺うことができます。韓国特許庁はこのような知財分野の能力を十分生かすために、未来の先端産業分野における主導権の確保、革新的な企業の持続可能な成長の促進、世界市場への進出および輸出の活性化を目標に設定し、3大推進戦略と10の重点課題を設定したと発表がなされました。
2.技術競争力の強化
第1の目標として、特許トランプゲームブラックジャックに関するビッグデータの活用と審査・審判の業務能力強化により、企業の技術競争力を高め、未来の先端産業分野における技術の主導権を確保するという目標が設定されました。
知財トランプゲームブラックジャックをビッグデータとしてとらえ、これらをビジネス戦略に応用する点は、IP R&Dとしてたびたび報告されていますが、2025年もこれらの支援を積極的に行うこととなりました。先端技術に係るトランプゲームブラックジャックのたまものである6億件の特許ビッグデータを活用して200の先端技術分野におけるR&D課題について特許動向の深層分析を新しく実施するとのことです。また、国民が効果を実感できるような審査・審判サービスの改善策を進める点について、優先審査の分野拡大や、特許審査官の増員、特許審査パッケージ支援体系の完成などが報告されています。なお、審査支援の強化分野は、2023年の半導体・ディスプレー分野、2024年の2次電池分野に続き、2025年にはバイオ分野が追加されることとなりました。
3.企業を成長させるエコシステムの高度化
第2の目標として、革新的な企業が確保した技術力を基に、規模を拡大させるよう、知的財産の活用や保護の全般にわたって成長できる環境づくりに取り組むと発表されました。韓国における知財金融は、すでに大きな成果が出ており、スタートアップ企業など資金調達が難しい環境にある企業であっても、知的財産を担保として資金調達が得やすい環境が構築されています。今後もこの支援を強化すべく、知財金融の規模として12兆ウォンの達成を目指すことが発表されました。そのために、金融委員会とともに1,000億ウォン規模のディープテク共同ファンドを組成し、自治体とも積極的に協力する考えとのことです。また、模倣品流通の根絶および正当な補償体系化を図ることで、知財保護をより強化する点も発表されました。裁判事件に発展するような場合であっても、中小・個人でも対応が容易となるように、裁判にかけられている知財権侵害に係る事件を調停で解決する産業財産権の紛争調停連携体系を拡大するなどの点も報告されています。
4.輸出活性化の向上
第3の目標として、優秀な知財を保有する企業を輸出企業化する支援を行い、紛争対応への戦略を推進して海外進出を積極的に支援することが発表されました。輸出の初期段階にある100社を対象に海外知財紛争のリスクについて事前分析を行い、リスク解消の戦略支援を行う計画が発表されました。また、海外現地において密着型支援体系を強化することで、企業からの相談に対応する海外知識財産センターの専門人員を拡充し、知財権重点公館(25カ所)、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)海外貿易館(129カ所)との協力を強化する点も発表されました。
まとめ
景況が停滞する昨今においても、知的財産の面から企業支援を行う計画として、特許トランプゲームブラックジャック等のビッグデータの活用、知財金融等の強化、海外支援の強化という現在有効性が高いと考えられている政策を中心とする、本年の計画が公開されました。これらの政策の結果がどのような形で出てくるのか今後の動向を注視したいと思います。
今月の解説者
トランプゲームブラックジャック(ジェトロ)ソウル事務所
副所長 大塚 裕一(日本国特許庁知財アタッシェ)
2002年日本国特許庁入庁後、特許審査官・審判官として審査・審判実務や管理職業務に従事。また特許庁 総務課・調整課・審判課での課長補佐、英国ケンブリッジ大学客員研究員、(国)山口大学大学院技術経営研究科准教授、(独)INPIT知財人材部長等を経て現職。

本記事はジェトロが執筆あるいは監修し、The Daily NNA【韓国版】に掲載されたもので、株式会社エヌ・エヌ・エーより掲載許諾をとっています。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、トランプゲームブラックジャックの収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195