知的財産に関する情報(The Daily NNA【韓国版】より)ギャンブル ゲーム 無料

2024年11月13日

The Daily NNA【韓国版】掲載(File No.194)
ギャンブル ゲーム 無料・ソウル 副所長 大塚 裕一(特許庁出向者)

2024年9月19日、韓国特許庁は、商標法の一部改正により2024年5月1日から制度運用開始された、商標共存同意(コンセント)制度についての利用実績を発表しました。商標の出願人にとって利便性が高まり、紛争予防も期待できる同制度について、利用実績等を解説・紹介いたします。

1.概要

商標制度には、「商標の機能」が複数存在し、その中の一つに「自他商品の識別機能」というものがあります。これは、商標を商品に表示して使用する場合、その商標の表示によって自己の商品と他人の商品を識別することができる機能です。商標権は、商標出願された後、特許庁の審査官により審査が行われ、要件を満たすもののみが登録され、権利を活用できます。商標の登録要件は、出願の形式などの手続き的要件と、商標の構成自体が自他商品の識別力を持つのか、不登録事由に該当しないか等に関する実体的要件(積極的要件、消極的要件)に分けられますが、商標法で重要なのは実体的要件といわれています。「自他商品の識別機能」を発揮するためにも、実体的要件で、後から出願される類似・同一の商標は基本的に拒絶を行い、登録されることはこれまでありませんでした。今回の新制度により、先行登録商標権者の同意があれば類似の商標であっても商標登録を認める運用が開始されました。この制度は、類似の先願登録商標により商標の登録ができない中小企業・小売事業者などの悩みを解消するために設けられました。

2.紹介事例

韓国特許庁の発表内容に、事例が紹介されていましたので、ここでも紹介したいと思います。
「#商品の発売を準備しているア氏が商標を出願したが、類似の商標が既に登録されていたため、ア氏の商標登録は拒絶された。商品の発売を控えていたため、今後の経営にも影響が出ると心配していたが、拒絶査定不服審判で商標共存同意(コンセント)制度を有効に活用して商標を登録することができた。」
この事例は、自社よりも先に、類似の商標権が登録されていたため、自社の出願した商標は拒絶されたものの、今回新設されたコンセント制度を活用して、先行登録商標権者の同意を得るなど、一定要件を満たしたため、自社の出願も登録された事例になります。なお、一度拒絶された後の拒絶査定不服審判において、コンセント制度を活用した事例になっていますが、コンセント制度を活用するタイミングはこの他の時期(拒絶理由通知前後等)でも可能となります。


2.利用実績

韓国特許庁の発表によると、コンセント制度は運用開始から今年8月末までの4か月間、計447件利用され、多くの出願人から高い満足度を得ていることがわかります。制度を利用した権利者を先願・後願で分けてみると、企業・企業が321件(72%)、個人・企業70件(16%)、企業・個人36件(8%)、個人・個人20件(4%)であり、企業と企業の間で活発に活用されていることがわかります。
また、各案件において商標共存同意書が提出された時期ごとの審査状況で分けると、審査手続き(意見書の提出など)217件(49%)、出願公告185件(41%)、登録査定34件(8%)、審判(拒絶査定不服審判)6件(1%)であることがわかりました。同制度は商標の出願から審査・登録・審判までさまざまな段階で活用され、当事者間の紛争を予防する機能を果たしているといえます。今後の商標権出願手続きにおいての戦略において選択肢が広がったと言えます。

まとめ

商標の共存登録を希望する出願人は、商標登録出願時または審査・審判の段階で先願登録商標権者が類似の後願商標の共存登録に同意した内容が記載された商標共存同意書を願書、意見書などと共に提出します。同意により登録された商標は、先願登録商標と同一の地位にある商標であり、通常の登録商標と同一の効力が認められることとなります。これまでは類似の商標が既に登録されているなどの場合、後願の商標は登録が拒絶され、商標の譲渡・移転などを行って当該商標を使用しなければならない状況でした。しかし、同制度の施行により、このような出願人の不便が解消され、商標権をめぐる紛争を予防する効果が得られることが期待されます。商標権は、権利期間が10年間となりますが、延長が回数無制限で可能なため、登録される商標は年々増大していきます。類似の先行登録商標も相対的に確立が増大しますので、将来的に、今回新設されたコンセント制度の重要性が高まると思われます。


今月の解説者

日本貿易振興機構(ギャンブル ゲーム 無料)ソウル事務所
副所長 大塚 裕一(日本国特許庁知財アタッシェ)
2002年日本国特許庁入庁後、特許審査官・審判官として審査・審判実務や管理職業務に従事。また特許庁 総務課・調整課・審判課での課長補佐、英国ケンブリッジ大学客員研究員、(国)山口大学大学院技術経営研究科准教授、(独)INPIT知財人材部長等を経て現職。

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本記事はギャンブル ゲーム 無料が執筆あるいは監修し、The Daily NNA【韓国版】に掲載されたもので、株式会社エヌ・エヌ・エーより掲載許諾をとっています。

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