日本からの輸出に関する制度

花きの輸入規制、輸入手続き

香港の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年7月

「植物関連(輸入および害虫駆除)条例」〔Cap.207 Plant (Importation And Pest Control) Ordinance〕に基づき、害虫・病害に感染した植物、泥土(Soil)の輸入が基本的に禁止されています。同法令により輸入が制限されている植物は付表1に記載されています。

付表1パート1によると、同法令Section4(1)に規定したすべての条件に合致しないかぎり、日本からの茶(ツバキ科ツバキ属)の植物材料の輸入は禁止されています。

また、付表1パート2によると、同法令Section4(2)に規定したすべての条件に合致しないかぎり、次の場合に輸入は禁止されています。

輸入が制限されている植物
植物名 国名 条件
1. 次の属のすべての植物
パイナップル、かんきつ類、サツマイモ属、バショウ属
中国以外のすべての国 該当するあらゆる植物は、漁農自然護理署長によって、病虫害に侵されていないとして流通が許可されるか、病虫害に侵されており破棄されねばならないと判断されるまで、検疫所で隔離のうえ育成されなければならない。
2. ラッカセイ属のラッカセイ 中国以外のすべての国 剥皮された種子としてのみ輸入することができる。
3. コメおよびその他すべての増殖を目的としたイネ属の植物 ベリーズ、コロンビア、コスタリカ、キューバ、グアテマラ、インド、日本、メキシコ、パナマ、サルバドル(Salvador)、スリランカ、 スリナム、米国、ベネズエラおよびその他すべての White Tip NematodeAphelenchoides oryzae)または白変葉病が存在する国 当該植物を含む場合は、すべての輸入貨物を直ちに漁農自然護理署長の管理下へ提出しなければならない。また、漁農自然護理署長の管理下において、1フェーズ(発芽から枯れるまでの一連の流れ)の間、当該植物は検疫所で隔離のうえ育成しなければならない。

また、ワシントン条約(CITES)が規制する植物を輸入する場合は、事前に経済産業省よりCITES輸出許可書などの発給を受ける必要があります。詳細は経済産業省のウェブサイトで確認してください。

花きに関する放射性物質規制はありません。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年7月

「植物関連(輸入および害虫駆除)条例」に基づき、香港へ花きを輸出する際には、次の申請手続きが必要です。なお、表にあるとおり、切り花を輸出する際には特別な申請手続きは必要ありません。

香港および日本への申請手続き
種類 香港側への申請 日本側への申請
土および泥のついていない植物 植物輸入ライセンス 植物検疫証明書
土および泥のついている植物 植物輸入ライセンス
輸入授権書
Import Authorization
植物検疫証明書
切り花 特になし 特になし

植物検疫証明書の発行については、植物防疫所に植物等輸出検査申請書を提出し合格証書を得る必要があります。フォーマットなどについては、関連リンクの「輸出検査について(植物防疫所)」を参照してください。

なお、香港側での輸入審査にあたっては、次の条件を満たさなければなりません。

  1. 「植物関連(輸入および害虫駆除)条例」付表3Form2に含まれる内容を満たしたフォーマットであること
  2. 英語あるいは中国語で記載されていること(翻訳の添付でも可)
  3. 日本から輸出される14日以上前に日本の植物防疫所による輸出許可を受けていること

また、香港では原則として泥土(Soil)の輸入は認められていません。ただし、土および泥のついている植物に関しては、隔離での防疫のうえ、漁農自然護理署長の認定が得られたものについては、流通が認められる可能性があります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年7月

「植物関連(輸入および害虫駆除)条例」Section4(2)に基づき、同法のSchedule1 Part2に属する植物については、検疫所で隔離のうえ、病虫害の拡大の心配がないと認められないかぎりは流通を認められません(「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」を参照のこと)。

また、切り花など同法Schedule2に属する植物については、日本側の発行する植物防疫証明書および香港側の発行する植物輸入ライセンスの取得は不要で、検疫もありません。

香港での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年7月

「植物関連(輸入および害虫駆除)条例」に基づき、香港で花きを輸入する際には、次の申請手続きが必要です。なお、表にあるとおり、切り花を輸入する際は特別な申請手続きは必要ありません。

香港および日本への申請手続き
種類 香港側への申請 日本側への申請
土および泥のついていない植物 植物輸入ライセンス 植物検疫証明書
土および泥のついている植物 植物輸入ライセンス
輸入授権書
Import Authorization
植物検疫証明書
切り花 特になし 特になし

植物輸入ライセンスの取得には、「植物関連(輸入および害虫駆除)条例」の付表3 Form1に従った、申請が必要です。申請後、漁農自然護理署長によって輸入の可否および条件が決定されます。記載が必要な内容は次のとおりです。なお、ライセンスの取得については、輸出前に行うことが推奨されています。

  • 申請者の氏名および住所
  • 生育培地の大きさ
  • 電話番号
  • 輸出国
  • 当該植物の一般名
  • 当該植物の学術名
  • 輸出元の機関あるいは企業名
  • 輸送手段
  • 輸入量
  • 到着予定日
  • 輸入目的
  • 野生植物であるのか、栽培植物であるのかについての明示

なお、香港側での輸入審査にあたっては、次の条件を満たさなければなりません。

  1. 「植物関連(輸入および害虫駆除)条例」Schedule3 Form2に含まれる内容を満たしたフォーマットであること
  2. 英語あるいは中国語で記載されていること(翻訳の添付でも可)
  3. 日本から輸出される14日以上前に日本の植物防疫所による輸出許可を受けていること

また、香港では原則として 泥土(Soil)の輸入を認められていません。ただし、土および泥のついている植物に関しては、隔離での防疫のうえ、漁農自然護理署長の認定が得られたものについては、流通が認められる可能性があります。

さらに、ワシントン条約(CITES)が規制する植物を輸入する場合は、香港漁農自然護理署(AFCD) から事前に輸入ライセンスを取得する必要があります。詳細は関連リンクを参照のうえ、確認してください。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年7月

「植物関連(輸入および害虫駆除)条例」に基づき、香港へ花きを輸入する際には、次の書類が必要です。

香港および日本への申請手続き
種類 香港側への申請 日本側への申請
土および泥のついていない植物 植物輸入ライセンス 植物検疫証明書
土および泥のついている植物 植物輸入ライセンス
輸入授権書
Import Authorization
植物検疫証明書
切り花 特になし 特になし

なお、花きに限らず、輸入(船積、航空貨物)商品にはすべて輸入陳述書(Import Statement)の添付が必要となります。輸入商品に課税商品を含まない場合は、その旨を明記した陳述書を添付しなければなりません。輸入陳述書の添付は、「課税商品条例第109条」(Cap.109 Dutiable Commodities Ordinance)により義務付けられています。
通関にあたっての提出書類は次のとおりです。

  • 積荷目録(マニフェスト)
  • エアウェイビル(航空貨物運送状)、オーシャンB/L(船荷証券)、またはほかの同様の書類
  • インボイスおよびパッキングリスト
  • 引渡し指図書(リリースレター)または貨物保管通知

課税商品に関する申請方法は、関連リンクの「その他参考情報」から詳細を確認することができます。

香港への日本産食品の輸出に当たっての注意喚起

  • 香港において、2023年9月14日以降、日本から輸入された食品の通関手続が大幅に遅延する事例が一部で発生しています。香港政府によると、これは放射性物質規制とは無関係で、輸入貨物の集中に加え、通関手続において追加情報を求められるケースがあったことが原因であり、通関スタッフの増加によりスピードアップを図る方針が示されています。
  • 本件に際して香港政府は、通関手続に時間を要するのは複数の要因があるものの、貨物の集中のほか、添付書類の記載内容の明確さや完全さ等による場合があることから、特に個別のロットの中に異なる種類や異なる産地の食品が混載されている貨物の場合において、明確、完全かつ正確な書類を添付するよう、注意を呼び掛けています。
  • このことを踏まえ、各輸出業者におかれては、香港側の輸入業者と十分に連絡をとり、適切に対応するようにしてください。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年7月

香港漁農自然護理署(AFCD)の署長が官報で指定した植物について、植物有害生物を含まないと監督からの承認を得るまで検疫地域において保管しなければなりません。その植物を所持している者は官報に掲載されてから4日以内に検疫地域に提出する必要があります。検疫および処理を受け、公認の職員による検査のうえ、病気や植物有害生物を含まないと証明された植物は、すべての費用が適切に支払われた時点で検疫地域から持ち出すことができます。検査費用支払申請書は香港漁農自然護理署(AFCD)のウェブサイトで入手できます。

苗は、日本で発行された植物検疫証明書が必要です。
切り花には植物検疫証明書は不要です。

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年7月

一般的に花きを販売する際に、特定の許可証などを取得する必要はありません。また、花きの販売に関する外資参入規制は設けられていません。

植物新品種の取り扱いについては「植物品種保護条例」(Cap.490 Plant Varieties Protection Ordinance)、絶滅危惧植物の取り扱いは「絶滅危惧植物と動物の保護条例」(Cap.586 Protection of Endangered Species of Animals And Plants Ordinance)に準じます。

5. その他

調査時点:2022年7月

なし