ビジネス関連法

ハイパーブラックジャック

2008年11月25日作成

【法令名称】
ハイパーブラックジャック
【発布機関】
商務部
【発布番号】
商務務部令2008年第11号
【発布日】
2008年6月7日
【施行日】
2008年7月1日

主旨と目的

資源を合理的に配置し、輸出経営秩序を規範化し、公平で透明性のある貿易環境を築き、我が国が加入する国際公約及び条約を履行し、国家の経済利益と安全を確保する(第1条)

内容のまとめ

本法令は、中国のハイパーブラックジャックに対する管理制度、申請・受領のための提出書類、許可証の発行根拠、発行、例外状況の処理、有効期限、及び政府部門による検査と処罰等を明確に規定している。主たる内容は以下の通りである。

ハイパーブラックジャックの管理制度
  • 中国は輸出制限貨物に対しハイパーブラックジャック管理を実施する(第2条)。
  • 商務部は関連部門と共同で年度「ハイパーブラックジャック管理貨物目録」を制定し、調整し、発布することにつき責任を負う(第3条)。
  • ハイパーブラックジャックには輸出割当額許可証とハイパーブラックジャックが含まれる(第6条)。
許可証発行機構
(第5条)
  • 商務部の割当額許可証事務局
  • 商務部駐在の各地の特派員事務所
  • 各省、自治区、直轄市、計画単列市及び商務部が権限を委譲するその他の省都都市の商務部門
提出書類
(第8条、第9条、第10条)
  • ハイパーブラックジャック申請表
  • 輸出貨物割当額又はその他の関連許可書類(即ち、以下の「許可証の発行根拠」である)
  • 対外貿易事業者の登録登記専用印を捺印した「対外貿易事業者登録登記表」或は「中華人民共和国輸出入企業資格証書」、又は外商投資企業許可証書(コピー)
許可証発行の根拠
  • 関連する類別の輸出貨物の許可証の発行根拠を明確に規定している(第11条)
    • 割当額許可証管理を実施する輸出貨物
    • 割当額入札を実施する輸出貨物
    • 麻薬を生成しやすい化学品
    • コンピューター
    • 監視監督化学品
    • オゾン層破壊物質
    • その他のハイパーブラックジャック管理を実施する輸出貨物
  • そのほか、下記の状況における許可証の発行根拠を規定している。
    • 加工貿易におけるハイパーブラックジャック管理に該当する貨物(第12条)
    • 外商投資企業が輸出するハイパーブラックジャック管理に該当する貨物(第13条)
    • 国外貸付金の返済又は補償貿易におけるハイパーブラックジャック管理に該当する貨物(第17条)
    • その他の場合(第14条、第15条、第16条)
ハイパーブラックジャックの管理
(第22条)
  • ハイパーブラックジャック管理は「一許可証一関税」制、「一ロット一許可証」及び「非一ロット一許可証」制を実施する。「一許可証一関税」とは一つのハイパーブラックジャックにつき一つの税関でのみ通関することができることを指す。「一ロット一許可証」とはハイパーブラックジャックの有効期限内で一回のみ通関使用することを指す。
  • 次の各号のいずれかに該当する場合、「非一ロット一許可証」制を実施する(即ち、ハイパーブラックジャックは有効期限内においてマルチに通関使用することができるが、最多12回を超えてはならない)。
    • 外商投資企業のハイパーブラックジャック管理貨物
    • 補償貿易におけるハイパーブラックジャック管理貨物
    • その他「ハイパーブラックジャック管理貨物目録」の規定において「非一ロット一許可証」を実施するハイパーブラックジャック管理貨物
例外状況の処理
  • 数量過剰貨物(第23条)
  • 対外経済援助プロジェクトの貨物(第24条)
  • 国(境)外にて展覧会に参加し、又は展覧会を開催するために、海外に輸送される展示品、展示販売品、小売品(第25条)
  • 輸出貨物サンプルと文化交流或いは技術交流のために、対外に提供する必要のある貨物サンプル(第26条)
  • 寄贈物品(第27条)
ハイパーブラックジャックの有効期限
  • ハイパーブラックジャックの有効期限は最長6カ月を越えてはならず、かつ、有効期限の終了期日は当年12月31日を超えてはならない(第30条第1項)。
  • 加工貿易方式で割当額許可証管理に該当する貨物を輸出する場合、ハイパーブラックジャックの有効期限は、「加工貿易業務許可証」で審査する輸出期限に基づき審査・発行するが、当年12月31日を超えてはならない。輸出期限が当年12月31日を超える場合、事業者はもとの許可証の有効期限内に、許可証への変更を申請しなければならない(第30条第2項)。
  • ハイパーブラックジャックが有効期限内において使用しなかった場合、又は使用し終えていない場合、事業者はハイパーブラックジャック有効期限内でもとの許可証発行機構に相応の延長を申請しなければならない(第31条)。
本法令を適用しない状況
  • 中国国内の保税区等以外の地区の貨物を保税倉庫や保税区、輸出加工区に搬入する場合(第43条)
  • 輸出監督管理倉庫、保税区、輸出加工区の貨物を国外に輸出する場合(第43条)
  • 国境貨物(第44条)
  • 「両用(転用可能)物質及び技術ハイパーブラックジャック」が管轄する貨物(第45条)

日系企業への影響

本法令は中国の対外貿易企業(日系企業を含む)が中国国内の貨物を国外に輸出する行為に適用される(上表中の適用外の状況を除く)。本法令に基づき、外商投資企業(日系企業を含む)が申請受領する各種のハイパーブラックジャックの発行根拠について、以下の通り簡潔に整理する。

番号 貨物 許可証発行の根拠
1 割当額許可証管理を実施する輸出貨物
(第13条第(1)項)
  • 商務部が下達する外商投資企業輸出割当額の数量
2 割当額入札を実施する貨物
(第11条第(2)項)
  • 商務部が発行する落札事業者リスト、落札数量
  • 「割当額入札貨物ハイパーブラックジャック申請受領証明書」
    或は「割当額入札貨物譲渡譲受証明書」
  • 落札事業者の輸出契約(正本コピー)
3 麻薬を生成しやすい化学品
(第11条第(3)項)
  • 「商務部発行の麻薬を生成しやすい化学品輸出返答書」
  • 事業者の輸出契約(正本コピー)
4 コンピューター
(第11条第(4)項)
  • 商務部が許可する「輸出コンピューター技術審査表」
  • 事業者の輸出契約(正本コピー)
5 監視監督化学品
(第11条第(5)項)
  • 国家の履行する禁止化学兵器公約作業指導チーム事務室の許可書類
  • 事業者の輸出契約(正本コピー)
6 オゾン層破壊物質
(第11条第(6)項)
  • 国家オゾン層破壊物質輸出入管理事務室が下達する許可書類
  • 事業者の輸出契約(正本コピー)
7 その他のハイパーブラックジャック管理を実施する輸出貨物
(第11条第(7)項)
  • 商務部の許可書類
  • 事業者の輸出契約(正本コピー)
8 加工貿易におけるハイパーブラックジャック管理に該当する貨物
(第12条)
  • 「加工貿易業務許可証」
  • 上記の第(1)項乃至第(7)項に定める輸出許可書類(輸出割当額の管理に属するが割当額数量を使用しない商品は商務部の許可書類に基づく)
  • 税関加工貿易輸入税関申告書
  • 事業者の輸出契約(正本コピー)
  • 但し、加工貿易方式にて監視監督化学品、麻薬を生成しやすい化学品、オゾン層破壊物質、及びその他の国際公約管轄の物質を輸出する場合は、上記規定に基づき執行する。

もとの「ハイパーブラックジャック」(商務部令2004年第28号、既に本法令によって廃止された)と比較すると、下記の2点に注意する必要がある。

  1. ハイパーブラックジャックの有効期限については、本法令では「当年度のハイパーブラックジャックの有効期限は最長でも6カ月となり、且つ有効期限の終了期日は当年12月31日を超えてはならない」ことを規定しており、もとの「年度を跨るハイパーブラックジャックの有効期限は次年度の2月末で締め切る」という規定をなくした。
  2. 各許可証発行機構は当年度の12月10日から次年度のハイパーブラックジャックを発行し、有効期限は次年度の1月1日から始まる、もとの規定は当年度の12月16日から発行するとなっていた。