ブラック ジャック アプリ

要旨・ポイント

  • 2023年の実質GDP成長率は堅調な内需が牽引し、6.5%の安定した伸びを維持。
  • 輸出入額ともに過去最高を更新。石油関連設備の輸入額が増加し、貿易収支は赤字。
  • 西アフリカの地域拠点として大型投資案件が増加。
  • 対日貿易は輸出が輸送・建設・鉱山機器を中心に大幅増加、輸入がカカオ豆・調製品の不振で減少。

公開日:2024年11月11日

マクロ経済
新型コロナの影響から力強く回復、レジリエンスを維持

経済・計画・開発省(DGE)によると、2023年の経済は、民間消費や設備投資の持ち直しに加え、安定した公共投資の景気下支えによる内需の堅調を受け、実質GDP成長率は6.5%となった。政府は2023年3月にIMFとの間で、マクロ経済の安定維持を目的とする拡大クレジットファシリティ(ECF)と拡大信用供与措置(EFF)で構成される総額35億ドル(期間40カ月)の融資協定について事務レベルで合意し、5月にIMF理事会で承認された。2025年までに上位中所得国入りを目指す「国家開発計画2021-2025」の下で、経済改革の加速が期待される。政府は、抜本的な構造改革に向けた取り組みとともに、大規模なインフラ投資や公共事業を導入し、経済活力の向上を促進していく方針だ。

分野別の生産動向を数量ベースで見ると、輸出の堅調さを反映して製造業や鉱業部門を中心とする第二次産業の生産(前年比10.3%増)が大きく拡大しているほか、内需の底堅さを受けて第三次産業の生産(8.4%増)も堅調な推移をみせている。一方、エルニーニョ現象など異常気象の頻発を受け第一次産業の生産(4.1%減)は、弱含みするなど対照的な動きをみせている。第二次・三次産業では、鉱業(7.5%増)、石油精製(20.0%増)、食品加工(7.6%増)、エネルギー(19.8%増)、建設・公共事業(8.6%増)、運輸(9.3%増)、電気通信(8.7%増)、小売流通(7.4%増)、その他サービス業(8.6%増)とも総じて好調に推移した。一方、第一次産業では、食用作物および畜産(8.5%増)が好調だったものの、輸出用作物(11.8%減)が天候不良や病害の影響により主力の輸出産品であるカカオ豆や綿花などの生産減少が響き不振だった。

需要項目別では、政府消費の堅調さに加えて、雇用・所得環境の改善やインフレ鈍化が家計消費を下支えし、実質GDPの7割弱を占める民間最終消費支出が前年比4.7%増となった。民間投資は、政府の積極的なインフラ支出によるインフラ状況の改善に加えて、新型コロナ規制の全面解除を受けた投資マインドの改善を反映して、需要が高まる製造業、サービス業での設備投資や建設投資のほか、資源、エネルギーを中心に海外からの直接投資も増え11.9%増の成長となった。公共投資の進展の動きは固定資本投資を押し上げ2.7%増加した。

インフレ率は、国際的なエネルギー価格の高止まりや、近隣諸国での安全保障リスクの高まりで食料供給に影響を及ぼし、物価上昇圧力が高まったことから、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA) 注)地域の収斂目標値である3%を上回った。しかし、金融引き締め維持の効果で前年の5.2%から4.4%に鈍化しており、2025年には目標水準に収束する見込みだ。

DGEの経済予測・政策・統計課(DPPSE)によると、2024年の実質GDP成長率は7.2%となる見通しだ。政府は予算を大幅に増額し、公共事業やインフラ投資の拡大、個人消費の喚起を狙った内需刺激策を継続しており、今後も民需中心の内需を牽引役に7%前後の成長が予測されている。一方、異常気象による農業の生産低迷、地政学上の緊張の高まりなど、景気の先行きが不透明になるような要因が生じているほか、主要国景気の勢いにも陰りが出ている。世界経済を取り巻く環境は厳しさを増しており、コートジボワールの国内経済への下振れリスクなど、先行きの不確実性も生じている。

注)ベナン、ブルキナファソ、ギニアビサウ、コートジボワール、マリ、ニジェール、セネガル、トーゴ。

貿易
輸出入額はともに過去最高を更新、貿易収支は赤字

2023年の貿易は、輸出額が前年比9.0%増の11兆1,311億CFAフラン、輸入額が1.8%増の11兆4,214億CFAフランで、ともに過去最高を更新した。浮体式海洋石油・ガス生産設備という特殊用途設備(5,400億CFAフラン)が輸入額を押し上げ、輸出額を上回ったことから、貿易収支は通関ベースで2,902億CFAフランの赤字となった。これら設備の輸出入は、石油開発の進展状況によって毎年大きく変わる。

主要輸出品目をみると、最大のカカオ豆は、生産減少の影響により数量で前年比9.1%減少したが、国際価格の上昇により金額で1.2%増加し、輸出総額に占める割合が18.1%となった。カカオ調整品(構成比13.5ブラック ジャック アプリは、生産能力の拡大による生産増加と価格上昇が相まって、数量で11.2%増、金額で37.7%増加した。金(12.8ブラック ジャック アプリは、開発の進展による生産増加と価格高騰が相まって、数量で4.2%増、金額で19.8%増となった。石油製品(11.3ブラック ジャック アプリは、生産が好調だったことから数量で24.3%増加したが、価格低下により金額で4.4%減少した。原油(3.5ブラック ジャック アプリは、生産減少と価格低下により数量で8.9%減、金額で24.1%減となった。生産が好調だった天然ゴム(11.2ブラック ジャック アプリとカシューナッツ(5.6ブラック ジャック アプリは、数量でそれぞれ30.7%増、25.1%増となり、価格の下落を補い金額でそれぞれ7.3%増、23.7%増となった。

主要輸出相手国は、構成比11.5%を占めるオランダが最大で、カカオ豆およびカカオ調整品、原油および石油製品、カシューナッツが伸びて前年比44.7%増となった。以下、スイス(構成比10.6ブラック ジャック アプリは99.7%を占める金の価格高騰で43.5%増、マリ(8.7ブラック ジャック アプリは石油製品、電力、パーム油、プラスチック製品が伸びて6.0%増、マレーシア(5.0ブラック ジャック アプリは天然ゴム、カカオ豆およびカカオ調整品など22.6%増、ベトナム(5.0ブラック ジャック アプリはカシューナッツを中心に58.0%増、中国(4.2ブラック ジャック アプリは天然ゴムなど9.7%増となった。一方、ブルキナファソ(4.3ブラック ジャック アプリはパーム油が振るわず9.2%減、米国(4.2ブラック ジャック アプリはカカオ豆・カカオ調整品、天然ゴム、カシューナッツを中心に14.6%減、フランス(3.7ブラック ジャック アプリは石油製品、バナナ、天然ゴムの不調で11.7%減少した。

主要輸入品目をみると、最大の原油(構成比15.3ブラック ジャック アプリは、需要増により数量で前年比30.9%増加し、価格の下落を補い金額で16.6%増となった。石油製品(10.2ブラック ジャック アプリは、数量で0.5%増加したが、価格が下がり金額で23.0%減少した。一般機械(6.8ブラック ジャック アプリは、数量で4.3%減となったが、価格上昇により金額で3.5%増となった。乗用自動車を含む輸送機器(6.2ブラック ジャック アプリは、数量で10.5%増となり、価格上昇と相まって金額で8.3%増加した。魚介類(4.4ブラック ジャック アプリは、需要増により数量で15.0%増、金額で10.5%増となった。コメ(3.8ブラック ジャック アプリは数量で16.3%減、金額で13.3%減となった。鉄鋼・鉄鋼製品(5.0ブラック ジャック アプリとプラスチック製品(3.7ブラック ジャック アプリは、それぞれ数量で0.6%、11.2%増加したが、価格下落が金額を押し下げ、それぞれ7.9%、12.2%減少した。

主要輸入相手国は、14.8%を占める中国が最大で、化学工業品、機械・電気・輸送機器、鉄鋼製品、冷凍魚を中心に前年比5.2%増加した。以下、ナイジェリア(構成比14.0ブラック ジャック アプリは9割強を占める原油の輸入価格の上昇で18.2%増、フランス(5.6ブラック ジャック アプリは小麦、タバコ、機械・電気機器、医療用品、香料・化粧品の不調で15.1%減、インド(5.2ブラック ジャック アプリは輸送機器、医療用品を中心に2.2%増、米国(3.9ブラック ジャック アプリは石油製品やプラスチック製品の不調で14.8%減、ベルギー(3.4ブラック ジャック アプリは石油製品、機械機器が振るわず23.1%減、ドイツ(3.1ブラック ジャック アプリは貨物船、機械・輸送機器など50.8%増、クロアチア(3.0ブラック ジャック アプリは浮体式海洋石油・ガス生産設備などにより66.5倍増、ロシア(2.6ブラック ジャック アプリは肥料を中心に73.1%増となった。

コートジボワールは2024年1月1日から、2016年に発効したEUとの暫定経済連携協定(EPA)の下、EU製品に対する輸入関税の段階的な撤廃の第3フェーズを開始した。これにより累計3,385品目の関税が撤廃された。2029年までに全体の約88%に相当する5,615品目の関税が撤廃される予定で、これによりEUとコートジボワールの間では貿易の円滑化がすすみ、双方の市場アクセスが改善されることで貿易、投資の拡大が期待される。一方EUでは2024年12月30日から、カカオ、コーヒー、パーム油など特定の商品作物などを対象とする森林破壊防止のデューディリジェンス義務化規則の適用が開始される予定で、コートジボワールの最大の輸出産品であるカカオ豆輸出への影響が懸念される。EUはコートジボワールにとって、貿易総額の約3割を占める最大の貿易相手である。

表1-1 コートジボワールの主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万CFAフラン、ブラック ジャック アプリ(△はマイナス値)
品目 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
一次産品 5,949,922 6,173,538 55.5 3.8
階層レベル2の項目農畜水産物 45,018 49,655 0.4 10.3
階層レベル2の項目輸出用農産物 4,089,572 4,207,284 37.8 2.9
階層レベル3の項目カカオ豆 1,994,875 2,018,736 18.1 1.2
階層レベル3の項目カシューナッツ 507,812 628,386 5.6 23.7
階層レベル3の項目綿 233,178 123,455 1.1 △ 47.1
階層レベル3の項目天然ゴム 1,159,120 1,244,065 11.2 7.3
階層レベル3の項目その他 194,587 192,642 1.7 △ 1.0
階層レベル2の項目鉱物製品 1,815,332 1,916,599 17.2 5.6
階層レベル3の項目原油 517,020 392,539 3.5 △ 24.1
階層レベル3の項目 1,190,841 1,427,153 12.8 19.8
階層レベル3の項目その他 107,471 96,907 0.9 △ 9.8
加工品 4,073,040 4,773,938 42.9 17.2
階層レベル2の項目一次加工品 1,870,926 2,178,503 19.6 16.4
階層レベル3の項目カカオ調整品 1,091,975 1,503,720 13.5 37.7
階層レベル3の項目パーム油 314,947 180,197 1.6 △ 42.8
階層レベル3の項目精油 183,416 192,499 1.7 5.0
階層レベル3の項目その他 280,588 302,087 2.7 7.7
階層レベル2の項目加工食品 160,362 113,827 1.0 △ 29.0
階層レベル2の項目製造品 2,041,752 2,481,608 22.3 21.5
階層レベル3の項目石油製品 1,317,216 1,258,631 11.3 △ 4.4
階層レベル3の項目その他 724,536 1,222,977 11.0 68.8
合計(その他含む) 10,208,007 11,131,145 100.0 9.0

〔注〕2023年の数値は暫定値
〔出所〕コートジボワール税関総局

表1-2 コートジボワールの主要品目別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万CFAフラン、ブラック ジャック アプリ(△はマイナス値)
品目 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
食料品 2,056,121 1,964,217 17.2 △ 4.5
階層レベル2の項目コメ 504,929 437,907 3.8 △ 13.3
階層レベル2の項目魚介類 459,126 507,520 4.4 10.5
階層レベル2の項目その他 1,092,066 1,018,790 8.9 △ 6.7
食料品以外の消費財 3,339,599 3,025,074 26.5 △ 9.4
階層レベル2の項目プラスチック製品 485,322 425,919 3.7 △ 12.2
階層レベル2の項目医薬品 327,936 308,662 2.7 △ 5.9
階層レベル2の項目石油製品 1,510,382 1,162,614 10.2 △ 23.0
階層レベル2の項目乗用自動車 246,292 260,567 2.3 5.8
階層レベル2の項目その他 769,627 867,312 7.6 12.7
中間財 3,386,884 3,603,329 31.5 6.4
階層レベル2の項目原油 1,500,500 1,749,842 15.3 16.6
階層レベル2の項目鉄鋼・鉄鋼製品 624,138 574,932 5.0 △ 7.9
階層レベル2の項目その他 1,262,246 1,278,555 11.2 1.3
資本財 2,067,008 2,288,796 20.0 10.7
階層レベル2の項目一般機械 752,067 778,508 6.8 3.5
階層レベル2の項目輸送機器(乗用自動車を除く) 407,275 447,392 3.9 9.9
階層レベル2の項目電気機器 410,761 394,260 3.5 △ 4.0
階層レベル2の項目その他 496,905 668,636 5.9 34.6
合計(その他含む) 11,218,500 11,421,371 100.0 1.8

〔注〕2023年の数値は暫定値
〔出所〕コートジボワール税関総局

表2-1 コートジボワールの主要ブラック ジャック アプリ輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万CFAフラン、ブラック ジャック アプリ(△はマイナス値)
国・地域 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
オランダ 885,746 1,281,254 11.5 44.7
スイス 822,755 1,180,745 10.6 43.5
マリ 909,003 963,995 8.7 6.0
マレーシア 451,432 553,468 5.0 22.6
ベトナム 350,168 553,358 5.0 58.0
ブルキナファソ 529,495 480,672 4.3 △ 9.2
中国 429,315 471,152 4.2 9.7
米国 545,304 465,573 4.2 △ 14.6
フランス 462,243 408,037 3.7 △ 11.7
合計(その他含む) 10,208,007 11,131,145 100.0 9.0

〔出所〕コートジボワール税関総局

表2-2 コートジボワールの主要ブラック ジャック アプリ輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万CFAフラン、ブラック ジャック アプリ(△はマイナス値)
国・地域 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
中国 1,611,823 1,695,238 14.8 5.2
ナイジェリア 1,354,920 1,602,161 14.0 18.2
フランス 751,990 638,158 5.6 △ 15.1
インド 583,155 595,697 5.2 2.2
米国 523,530 446,127 3.9 △ 14.8
ベルギー 510,880 392,669 3.4 △ 23.1
ドイツ 232,630 350,914 3.1 50.8
クロアチア 5,100 339,206 3.0 6,551.1
ロシア 174,738 302,522 2.6 73.1
合計(その他含む) 11,218,500 11,421,371 100.0 1.8

〔出所〕コートジボワール税関総局

対内・対外直接投資
投資認可額は大型案件が寄与し過去最大、案件数は減少

コートジボワール投資促進センター(CEPICI)の認可ベース統計(鉱物資源・石油・ガス探査と開発、不動産、金融・保険サービス部門を除く。商業、輸送は5億CFAフラン以上の案件のみが対象)によると、投資件数は前年比78件減の189件、金額は前年比5.8%増の1兆1億5,000万CFAフランと過去最高となった。件数は減少したが、投資額の増加は、2023年に大型案件が認可されたことに起因する。新型コロナ禍で先送りとなっていた既存設備の更新だけでなく、地域統合の進展を見据えた生産能力の増強や新規の大型案件もみられた。業種別では、食品加工(構成比18.8ブラック ジャック アプリ、道路輸送(16.8ブラック ジャック アプリ、鉱物資材(12.3ブラック ジャック アプリ、土木エンジニア(11.8ブラック ジャック アプリ、ゴム・プラスチック加工(10.0ブラック ジャック アプリ、電気・ガス(7.0ブラック ジャック アプリ、ホテル(6.2ブラック ジャック アプリ、電気通信(6.1ブラック ジャック アプリ、その他サービス(6.0ブラック ジャック アプリ、農業・牧畜(0.9ブラック ジャック アプリが上位を占めた。

国別では、国内資本が投資額の49.3%を占めた。外国資本は、ブルキナファソ(構成比11.0ブラック ジャック アプリが最大で、次いでトルコ(7.0ブラック ジャック アプリ、中国(5.0ブラック ジャック アプリ、フランス(5.0ブラック ジャック アプリ、トーゴ(5.0ブラック ジャック アプリなどとなった。

投資法対象外の投資案件も含めて外国企業の動向をみると、資源開発では、2024年3月にイタリアの石油大手エニ(ENI)がコートジボワール沖で新たに大規模な石油・ガス田を発見したほか、5月にカナダのモンタージュ・ゴールド(Montage GOLD)がアビジャンの北西600キロメートルに位置するコネ金鉱山で世界有数の金鉱床を発見したと発表した。また2023年7月にはカナダのステラー・アフリカゴールド(Stellar AfricaGold)が子会社を通じて金、2024年4月にインドのシローミネラルズ(Shiloh Minerals)がミネラルサンド鉱山でそれぞれ探査権を取得した。世界有数の金鉱開発会社であるカナダのニューモント(Newmont)は、2024年5月にオディエネ地方の金鉱探査へ1,000万ドルの投資計画を発表した。エネルギーでは、2024年3月に発電船事業を展開するトルコのカルパワーシップ(Karpowership)が政府と、アジト発電所における100メガワット(MW)の浮体式発電設備のリースとオペレーションに関するサービス提供契約を締結し、同社の子会社エメア・エナジー・ベンチャーズ(Emea Energy Ventures)が事業認可を受けた。気候・環境・グリーンネルギー問題に取り組む韓国のシンクタンク、グローバル・グリーン・グロース・インスティテュート(GGGI)は、2024年4月にコートジボワール企業総連合(CGECI)と、コートジボワール政府が掲げるグリーン開発目標達成のための支援に関する覚書(MoU)を締結した。

食品では、2023年にベルギーのピュラトス(PURATOS)が、7兆1,100億CFAフランを投じて、年間750トンのカカオパウダー、600トンのチョコレートのほか、製パン・製菓用改良剤およびプレミックスなどの製造を発表した。2023年7月に、マレーシアのグアンチョン(GCB)は、サンペドロで460億CFAフランのカカオ磨砕工場を立ち上げた。フランスのトゥートン・ネゴース・コートジボワール(Touton Négoce Côte d’Ivoire)は2023年7月、パーム・コートジボワール(PALMCI)にパーム油事業を売却した。2024年1月、インドのケワルラム・チャンライ・グループ(Kewalram Chanrai)の子会社アフコット・カシュー(Afcott Cashew Sarl)がカシューナッツ工場の稼働を開始した。物流事業を手掛ける投資会社アライズ(ARISE Integrated Industrial Platforms)は、2023年12月に英国を拠点とする投資グループ、ラガタ(Lagata)の子会社ソナタ・フォージ(Sonata Forge)と、カシューナッツ事業で合弁会社の設立を発表した。1億ドルと見積もられる加工工場の建設を計画している。

その他製造業では、セネガルのダカールに拠点を置く資産運用会社AFIGファンド(Advanced Finance and Investment Group :AFIG Fund)とノルウェー開発途上国投資基金(NorFund)が2023年7月にレバノンのカレドール・グループ(Carré d’Or)の子会社で、西アフリカ大手包装メーカーであるヌーベル・ミシィ・エムバシィ (NME)を買収。地域における近年最大規模のプライベート・エクイティ取引となった。同年10月にアライズは、ブロックチェーン技術を用いたトレーサビリティを専門とするフランスのクリスタルチェーン(Crystalchain)の株式17%を取得したことを受け、コートジボワールをはじめ地域に展開する工業団地やサプライチェーン管理におけるトレーサビリティシステムへの活用に向けた投資を計画している。

またアライズ・イボワール(Arise Ivoire)は、2023年12月にPK24工業経済団地のPFI・コンセッション事業の運営権認可を取得した。2023年9月にテリオム・グループ(Teyliom)は、新都市開発アエロシテ・プロジェクトの一環として、アクワバ・ビジネスパーク(ABP)区画の開発、運営、維持管理のコンセッション事業認可を取得した。2024年4月にはフランスの映画製作・配給会社パテ・グループ(PATHÉ)がシネマコンプレックス事業に参入した。2024年3月にフランスの大手イベント企画会社GLイベント・ベニュー(GL Events Venues)は、アビジャン展示パーク(PEA)のPPP・コンセッション事業の運営権認可を取得した。

西アフリカ地域においてインフラ整備などの優位性が高い同国へは、経済統合の進展や、EUや英国との経済連携協定を見据えて地域拠点を構える企業が増えている。一方、原材料の価格高騰による企業コストの上昇に加えて、2022年末から相次ぐ人件費や電力価格の引き上げは企業収益を圧迫しており、経済活動の足かせとなる懸念が高まっている。また2023年には変圧器の火災が頻発し、電力供給に支障を来したことから、特に鉱山開発やカカオ加工業など製造業の生産活動に影響をおよぼした。

2023年5月に石油・ガス分野のローカルコンテンツ規制に関する法律が施行され、現地調達義務を強化する動向が注視される。

対日関係
日本の輸出が大幅増加、輸入は減少、貿易黒字が拡大

財務省「貿易統計(通関ベース)」によると、2023年の対コートジボワール貿易は、日本の輸出が8,045万8,000ドル、輸入が1,464万8,000ドルとなり、それぞれ前年比30.1%増、6.4%減となった。貿易収支は、日本の輸出が大幅に増え、黒字幅が42.5%増の6,581万ドルに拡大した。

コートジボワールからの輸入総額の30.1%を占めるカカオ豆は、数量で前年比22.7%減少したが、国際価格高騰により金額では1.2%微減の441万3,922ドルとなった。同じく24.8%を占めるカカオ加工品は、数量で40.6%減少し、金額で31.4%減の362万6,524ドルとなった。次いで白金のくずおよび、銅のくずなど非鉄卑金属を中心とする金属鉱およびくずは、2.4倍増の522万6,021ドルとなった。これら3品目で9割を超える。増加傾向にあった魚介類は皆無となった。

日本からの輸出は、8割強を占める工業製品のうち主力の輸送用機器では、バス・トラックが3,359万6,000ドル(前年比3.7倍増)、二輪自動車が184万4,000ドル(12.5倍増)と好調だった一方、乗用車が550万ドル(29.8%減)と減少に転じた。一般機械では、建設用・鉱山用機械が1,037万2,000ドル(71.4%増)、原動機が124万5,000ドル(91.8%増)と大幅に増加した。化学製品では、有機化合物が386万ドル(53.5%増)と好調だった一方、前年大幅に伸びた医薬品とプラスチックが急減した。原料別製品では、前年好調だったタイヤなどゴム製品が211万1,000ドル(66.4%減)と急減し、また織物用糸・繊維製品が78万4,000ドル(37.1%減)、金属製品が32万8,000ドル(73.4%減)と減少傾向が続いている。前年大幅に増加した電気機器35万5,000ドル(92.4%減)は大幅に減少した。食料品では、サバやブリなど魚介類が114万1,000ドル(14.5%減)と数年来減少傾向が続いている。原料品では、合成繊維が945万7,000ドル(2.3%減)、セメント用原料となるスラグサンドが140万ドル(28.7%増)となった。

2024年9月現在、ジェトロの集計ではコートジボワールには、商社や建設業を中心に計18社の日系企業が拠点を設置しているほか、日本人が現地で起業した企業数社が活動している。進出企業以外でも、エネルギー、情報通信技術(ICT)、農水産・食品加工での案件開拓や、原料品、食料品、農業・建設資機材、輸送・医療・機械・電気機器などの販路開拓、既存の代理店との関係強化や、新規パートナーの発掘などの動きが活発化している。特に気候変動対策に注力するコートジボワールで、中古車輸入規制の強化に合わせて、新車市場に戦略車を投入した日本メーカーや、電気自動車の販売に着手した日本企業の動きなどが注目される。2024年2月にジェトロが実施したビジネス・ミッションには、設備機器、食品、ICT、商社、金融・保険など、コートジボワールの市場開拓に関心を持つ日本企業など合計26社が参加した。ビジネスを取り巻く環境は、政治の安定と高い経済成長に加えて、2021年3月に二国間投資協定が発効したことで、自由で安定した投資環境が約束され、日系企業の活動が促進されることが期待される。アラサン・ワタラ大統領は2024年4月29日、コートジボワールを訪問した上川陽子外務大臣(当時)と会談し、日アフリカ官民経済フォーラムを共催することを歓迎した。

表3-1 日本の対コートジボワール主要品目別輸出[通関ベース](単位:1000ドル、ブラック ジャック アプリ(△はマイナス値)
品目 輸出(FOB)
2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
輸送用機器 17,543 41,607 51.7 137.2
階層レベル2の項目自動車 17,226 39,493 49.1 129.3
階層レベル3の項目乗用車 7,831 5,500 6.8 △ 29.8
階層レベル3の項目バス・トラック 9,087 33,596 41.8 269.7
階層レベル2の項目二輪自動車 148 1,844 2.3 1,145.9
原料品 10,923 10,970 13.6 0.4
階層レベル2の項目合成繊維(長繊維のトウ) 9,678 9,457 11.8 △ 2.3
階層レベル2の項目スラグサンド 1,088 1,400 1.7 28.7
原料別製品 9,412 5,156 6.4 △ 45.2
階層レベル2の項目ゴム製品 6,284 2,111 2.6 △ 66.4
階層レベル2の項目鉄鋼 435 501 0.6 15.2
階層レベル2の項目金属製品 1,235 328 0.4 △ 73.4
階層レベル2の項目織物用糸・繊維製品 1,246 784 1.0 △ 37.1
一般機械 8,675 13,807 17.2 59.2
階層レベル2の項目原動機 649 1,245 1.5 91.8
階層レベル2の項目荷役機械 711 953 1.2 34.0
階層レベル2の項目建設用・鉱山用機械 6,051 10,372 12.9 71.4
階層レベル2の項目ポンプ・遠心分離機 399 574 0.7 43.9
化学製品 5,520 5,410 6.7 △ 2.0
階層レベル2の項目医薬品 1,707 844 1.0 △ 50.6
階層レベル2の項目有機化合物 2,514 3,860 4.8 53.5
階層レベル2の項目プラスチック 1,053 130 0.2 △ 87.7
食料品 1,335 1,141 1.4 △ 14.5
階層レベル2の項目魚介類 1,335 1,141 1.4 △ 14.5
電気機器 4,645 355 0.4 △ 92.4
合計(その他含む) 61,824 80,458 100.0 30.1

〔出所〕 財務省「貿易統計(通関ベース)」

表3-2 日本の対コートジボワール主要品目別輸入[通関ベース](単位:1000ドル、ブラック ジャック アプリ(△はマイナス値)
品目 輸入(CIF)
2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
食料品 10,828 8,148 55.6 △ 24.8
階層レベル2の項目カカオ豆 4,469 4,414 30.1 △ 1.2
階層レベル2の項目カカオ加工品 5,289 3,627 24.8 △ 31.4
階層レベル2の項目魚介類 1,069
原料品 2,319 5,554 37.9 139.5
金属鉱およびくず 2,182 5,226 35.7 139.5
合計(その他含む) 15,653 14,648 100.0 △ 6.4

〔出所〕 財務省貿易統計(通関ベース)

基礎的経済指標

(△はマイナス値)
項目 単位 2021年 2022年 2023年
実質GDP成長率 (ブラック ジャック アプリ 7.1 6.2 6.5
1人当たりGDP (米ドル) 2,478 2,383 2,572
消費者物価上昇率 (ブラック ジャック アプリ 4.2 5.2 4.4
失業率 (ブラック ジャック アプリ n.a. n.a. n.a.
貿易収支 (10億CFAフラン) 1,693 670 △1,031
経常収支 (10億CFAフラン) △1,594 △3,365 △2,773
外貨準備高(グロス) (10億CFAフラン) 4,206 3,886 2,578
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 21,214 24,325 28,517
為替レート (1米ドルにつき、CFAフラン、期中平均) 554.5 623.8 606.6


貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
出所
実質GDP成長率、外貨準備高(グロス):経済・計画・開発省経済局(DGE)経済予測・政策・統計課(DPPSE)
消費者物価上昇率:国立統計院(INS)/DGE・DPPSE
貿易収支、経常収支:西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO)/DGE・DPPSE
対外債務残高(グロス):財務予算省金融局(DGF)
1人当たりGDP、為替レート:IMF