SDGs ビジネスの新潮流

2019年06月13日

地球をより良く、より持続可能な姿にすることを目指す「SDGs(SustainableDevelopmentGoals)」。国連で合意された17の目標から成り、開発途上国の貧困や教育、ジェンダーといった人権に関連するもののほか、最近、話題となっているプラスチック製ストローやレジ袋によるゴミなど、私たちの身近にある環境問題もSDGsの重要なテーマだ。また、それらは、企業にとって対処せざるを得ないというばかりではなく、積極的に取り込んでいくことで企業価値を高め、新たなビジネスチャンス獲得への契機にもなる。国際ビジネスとの関わりという観点から、その意義を企業の活用事例とともに解説する。

(13分54秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ハイパーブラックジャックグローバルアイオープニングタイトル。 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 世界地図の上で回転する、中が空洞になった地球儀から、もうひとつ地球儀が飛び出す。 拡大表示された地球儀の横にタイトルが現れる。 「世界は今ハイパーブラックジャックグローバルアイ」

映像説明: スタジオ。 世界地図のパネルの前に、ノーカラーのベージュのジャケットを着て、左の胸元に小さな黒いピンマイクをつけた女性が座っている。

テロップ: 八木 ひとみ(やぎ ひとみ)

八木(やぎ)キャスター: 世界は今、ハイパーブラックジャックグローバルアイ。 最近、新聞やテレビなどで「SDGs(エスディージーズ)」という言葉をよく耳にするようになりました。 しかし、この言葉の内容を良く理解している方(かた)は、それほど多くないのではないでしょうか。 そこで、今回は、SDGs(エスディージーズ)について解説します。

テロップ: SDGs(エスディージーズ) ビジネスの新潮流

映像説明: コンピューターグラフィックスのスタジオ。巨大な世界地図のパネルには青い海の中に水色の陸地が浮かび、白いラインで幾何学模様が描かれた陸地のあちこちで、小さな明かりがついたり消えたりしている。 青いフロアの中央には、側面に横縞の模様が入った半円形の水色のカウンターが配置されている。カウンターの後ろ、左手にはベージュのジャケット姿の八木(やぎ)キャスター、右手には、眼鏡をかけ、白いジャケットを着た男性が座っている。

八木(やぎ)キャスター: スタジオには、ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所で途上国の開発問題を研究されている佐藤さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。

映像説明: 白いジャケットを着た男性がお辞儀をする。ジャケットの右襟には黒いピンマイクをつけ、左襟には小さな円いバッジをつけている。

テロップ: ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員) 寛

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): よろしくお願いしまーす。

映像説明: 中が空洞になった地球儀の映像を背景に、黄色い文字で「Point 1」、その下にオレンジ色(いろ)の文字で「SDGs(エスディージーズ))とは」、と表示される。

テロップ: Point 1 SDGs(エスディージーズ)とは

映像説明: スタジオの八木(やぎ)キャスターが、隣に座る白いジャケット姿の佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)に話しかける。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が八木(やぎ)キャスターに視線を向け、身振りを交えて話をする。

八木(やぎ)キャスター: そもそもなんですが。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: SDGs(エスディージーズ)とは、どういったものなんでしょうか。

テロップ: SDGs(エスディージーズ) Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。えー、Sは「サステナブル」、Dは「ディベロプメント」、Gs(ジーズ)は「ゴールズ」で、「持続可能な開発目標」というふうに日本語で言えますね。

八木(やぎ)キャスター: はい。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): えー、国連で2015年に、まあ、合意された世界共通の目標なんです。

テロップ: SDGs(エスディージーズ)の目標 2030年までに地球社会を「より良い 持続可能な姿」にする

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): で、何を目標にしているかというと、2030年までに、地球社会を「より良く、そして持続可能なものにしよう」っていう宣言をしたんですね。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターと佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が話を続ける。

八木(やぎ)キャスター: 「より良い(よい)、より持続可能な姿」というのは、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: 具体的にはどういったものなんでしょうか。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい、えっとー、こちらをご覧ください。

映像説明: SDGs(エスディージーズ)について説明した画像が表示される。タイトル部分には、SDGs(エスディージーズ)のロゴ。水色の文字で「SUSTAINABLE」、その下に「DEVELOPMENT」と書かれている。その右横には青い文字で大きく「GOALS」と書かれ、「O」の部分がさまざまな色が組み合わさったドーナツ型のカラーホイールになっている。文字とロゴの下には水色の大きな右矢印に白抜きで、「世界を変えるための17の目標」と書かれている。タイトルの下には、18色に塗り分けられた正方形の枠が、1つの段に6個ずつ、3段並んでいる。上の段は1番から6番、真ん中の段は7番から12番、下の段は13番から17番まで番号が振られ、白抜きでイラストと文が書かれている。下の段の右端の枠には、SDGs(エスディージーズ)のロゴの下に、水色の文字で「2030年に向けて世界が合意した「持続可能な開発目標」です」と書かれている。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): えー、実は、えー、SDGs(エスディージーズ)は17の目標群がありまして、それぞれが達成されたらそういう姿になるだろう、ということなんですね。

映像説明: 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が八木(やぎ)キャスターに体を向け、白いジャケットの左襟につけた、コイン程の大きさのバッジを指し示す。 八木(やぎ)キャスターが佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)の襟元を見ながら話をする。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が大きくうなずきながら話を続ける。 ドーナツ型のバッジは、赤や緑、黄色(きいろ)、青、オレンジなど17種類の色で塗り分けられている。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): で、あのー八木(やぎ)さん、このー、えー、バッジご覧になったことはありますか?

八木(やぎ)キャスター: そうですね。あの、街中(まちなか)でも最近付けている方(かた)増えてきていますよね。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。あのーま、企業の方(かた)なんかよくつけていると思うんですが。これは17色ありまして、17のゴールを表していますね。

八木(やぎ)キャスター: はい。

映像説明: 話をする八木(やぎ)キャスターと佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)の映像を背景に、画面の左下に「飢餓をゼロに」と書かれ、湯気の立つお椀のイラストが白抜きで描かれた2番のからし色(いろ)の枠が表示される。その右に、「質の高い教育をみんなに」と書かれ、ノートとペンが描かれた4番のダークレッドの枠、「人や国(くに)の不平等(ふびょうどう)をなくそう」と書かれ、横棒2本の等号を中心に上下左右に三角形が配置されたマークが描かれた10番のマゼンタの枠、「気候変動に具体的な対策を」と書かれ、黒目の部分が地球になっている大きな目が描かれた13番のダークグリーンの枠の順に表示される。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): で、例えばですけども、ゴールの2は、飢えている人がなくなる、ゴールの4はすべての人が教育を受けられる、ゴールの10は不平等(ふびょうどう)がなくなる、ゴール13は気候変動対策が行われている、そういう世界、2030年にできたら、きっと世界はもっと持続可能になる、ということなんですね。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターが、左人差し指で上を示しながら話しかける。 両手を広げて話をする佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)と、うなずきながら話を聞く八木(やぎ)キャスターを背景に、画面の下部に1番から6番の枠が横一列に表示される。左端の赤い枠には、「1 貧困をなくそう」と書かれ、杖をついた成人男性と成人女性のあいだで2人に手をつながれている女の子と、成人の男女のあいだに立つ男の子のイラストが描かれ、外枠を白い線で囲まれて強調表示される。右隣のからし色の枠には、「2 飢餓をゼロに」の文字と、3本の湯気が立つお椀のイラスト。その右隣の緑色(みどりいろ)の枠には、「3 すべての人に健康と福祉を」の文字と、上下ジグザグに描かれた心電図の波形の横にハートが描かれたイラスト。次の濃い赤の枠には、「4 質の高い教育をみんなに」の文字と開いたノートとペンが描かれている。その右隣の朱色の枠には、「5 ジェンダー平等を実現しよう」の文字と、男女の性別記号を組み合わせて1つの円の下に十字、右上に矢印をつけ、さらに円の中に横棒2本の等号を入れたイラスト。右端の明るい青の枠には、「6 安全な水とトイレを世界中に」の文字と、水が八分目(はちぶんめ)まで入ったコップに大きな滴が1つ描かれ、グラスの底から下矢印が突き出しているイラストが描かれている。

八木(やぎ)キャスター: この、上の段に並んでいるものは、いわゆる途上国と、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: 関わりが深いものが多いみたいですね。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): そうですねー。あのー例えば1番なんですけれども、貧困をなくそうですけども、今、世界中には70憶人(ななじゅうおくにん)の人口がありますが、そのうちの7憶人(ななおくにん)は、ま、毎日着るものとか、食べるものとか、安心して住むところに事欠く、ま、貧困状態なんですね。で、そういう人達がいなくなるように、すべての人がきちんとした生活ができるようにしようというのが、この目標なんです。

映像説明: 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が身振りを交えて話を続ける。

テロップ: ミレニアム開発目標・MDGs(エムディージーズ) 途上国の貧困削減が大きなテーマ

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): この上の段の目標群というのは、実はSDGs(エスディージーズ)の前身だった、ミレニアム開発目標・MDGs(エムディージーズ)というものを引き継いでいるんですね。これは2001年から2015年までの目標だったんですが、このミレニアム開発目標では、途上国の貧困削減というのが大きなテーマだったので、これを引き継いだSDGs(エスディージーズ)にもその部分が残っていて、この上段はそこの部分にあたるわけです。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターがうなずきながら、佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)の話に耳を傾ける。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が両手を大きく使いながら話を続ける。 両手を前に組んだ八木(やぎ)キャスターが佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)の方を見ている。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): ただ、あのSDGs(エスディージーズ)、17ありますので、それが全部がそうではなくって、例えばそれ以外の要素もあって、地球環境の持続性に関して、すごく大変なことになっているんじゃないかという危機感にあります。

映像説明: 話を続ける佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)と八木(やぎ)キャスターを背景に、画面の下部に13番から17番の枠が横一列に表示される。 左端のダークグリーンの枠には、「13 気候変動に具体的な対策を」の文字と黒目の部分が地球になっている大きな目のイラスト。右隣の青い枠には、「14 海の豊かさを守ろう」の文字と、二本の波線(なみせん)の下に右向きの魚が描かれている。次のライム色(いろ)の枠には、「15 緑の豊かさを守ろう」の文字と、1本の木の傍らを飛ぶ3羽の鳥のイラスト。その右隣のロイヤルブルー色(いろ)の枠には、「16 平和と公正をすべての人に」の文字と、オリーブの葉をくわえたハトが木槌の上にとまっている姿が描かれている。右端のネイビーブルー色(いろ)の枠には、「17 パートナーシップで目標を達成しよう」の文字と、5つの円を組み合わせて花の形にしたマークが描かれている。14番と15番の枠は、左から順に外枠を白い線で囲まれ、強調表示される。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): 例えば、ゴール14は、海(うみ)の豊かさを守ろうとか、ゴール15は緑の豊かさを守ろうとか、この下の段というのは、地球全体を、まあ課題にしている目標群ですね。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターが小さくうなずきながら話をする。

八木(やぎ)キャスター: 最近では、あのプラスチックごみによる、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: 海洋汚染の問題、ニュースでもよく目にしますし、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: G20(ジー トゥエンティー)でも、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: この問題、議題に上がるというふうに言われています。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): そうですね。はい。

八木(やぎ)キャスター: 真ん中は何についてなんでしょうか。

映像説明: 手を振りながら話をする佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)と、耳を傾ける八木(やぎ)キャスターを背景に、画面下部に7番から12番の枠が横一列に表示される。 左端の黄色(きいろ)の枠には、「7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の文字と、中央に電源マークの入った太陽が描かれている。右隣のバーガンディーレッド色(いろ)の枠には、「8 働きがいも経済成長も」の文字と、3本の棒グラフの上に並行して描かれた、ジグザグの右矢印のイラストが描かれており、白い枠で強調表示される。その右隣のオレンジ色(いろ)の枠には、「9 産業と技術革新の基盤をつくろう」の文字と、立方体を下に3つ、上に1つ組み合わせたマークが描かれている。その右隣のマゼンタ色(いろ)の枠には、「10 人や国(くに)の不平等をなくそう」の文字と、横棒2本の等号を中心に上下左右に三角形が配置されたイラスト。その右隣のゴールデンイエロー色(いろ)の枠には、「11 住み続けられるまちづくりを」の文字と、切妻屋根の民家や高層ビル、尖った屋根のビル、低層ビルなど、4つの建物のイラスト。右端のダークマスタード色(いろ)の枠には、「12 つくる責任 つかう責任」、の文字と無限大のマークになった矢印が描かれている。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が八木(やぎ)キャスターのほうを見ながら話しを続ける。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): 実はこの真ん中の段っていうのが、途上国、先進国に関わらず、私たちの生活に非常に密接に関わってくるんですね。例えばゴール8ですけれども、これは「すべての人が、きちんとやりがいのある仕事ができて、で、そういう経済成長ができる社会にしよう」ということなんですが。これは例えばニートとかワーキングプアとか、働き方改革みたいな、日本が抱えている問題それ自身だと思うんですよ。なので、この中段というのは実は、日本も含めて、特に日本の企業の方々が取り組むに値する、非常に面白い目標群だと思っています。

映像説明: SDGs(エスディージーズ)について説明した画像が表示される。タイトル部分には、SDGs(エスディージーズ)のロゴの下に、水色の大きな右矢印に白抜きで、「世界を変えるための17の目標」と書かれている。その下(した)には、18色に塗り分けられた正方形の枠が1つの段に6個ずつ、3段並んでいる。上の段は1番から6番、真ん中の段は7番から12番、下の段は13番から17番まで番号が振られ、白抜きでイラストと文が書かれている。下の段の右端の枠には、SDGs(エスディージーズ)のロゴの下に水色で、「2030年に向けて世界が合意した「持続可能な開発目標」です」と書かれている。

八木(やぎ)キャスター: ま、上・中・下(じょうちゅうげ)、それぞれの段でキャラクターが分かれていて。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): そうですよね。

八木(やぎ)キャスター: 分かりやすいですし、どれも重要ですよね。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい、そう思います。

映像説明: 中が空洞になった地球儀の映像をバックに、黄色い文字で「Point 2」、その下にオレンジ色(いろ)の文字で「SDGs(エスディージーズ))が注目される背景」、と表示される。

テロップ: Point 2 SDGs(エスディージーズ)が注目される背景

映像説明: スタジオの八木(やぎ)キャスターの話に、白いジャケット姿の佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が大きくうなずく。 八木(やぎ)キャスターが手を前で組み、話を続ける。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が身振りを交えて話をする。

八木(やぎ)キャスター: 最近では企業がSDGs(エスディージーズ)をビジネスに取り入れる動きも出ているということなんですが、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: 背景にはどんなことがあるんでしょうか。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。えっと、いくつか背景あると思うんですけれども、一つには消費者がそれを求めているから、ということがあると思うんですね。

八木(やぎ)キャスター: はい。

テロップ: 倫理的消費者運動 環境や労働者に配慮した商品を選ぼうとする動き

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): で、すなわち、環境や労働者にやさしくない商品を、使いたくない、という「倫理的消費者運動」と呼ばれる動きです。これは2000年ぐらいから、ヨーロッパでは広がっています。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターが小さくうなずきながら話をする。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が八木(やぎ)キャスターに目を向けながら説明を続ける。

八木(やぎ)キャスター: 消費者の目が厳しくなってきた、ということなんでしょうか。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): そうですね。

映像説明: 倒壊したビルを上から撮影した写真。天井部分は跡形もなく崩れ、柱がバラバラに倒れている。天井や床、壁、階段が重なり合ったがれきの上に、大勢の男性が立っている。崩れた建物の隙間から水色や白、ピンクの布が飛び出している。右手の倒壊を免れた(まぬがれた)部分では、上部の柱が数ヵ所折れて細い鉄筋がむき出しになっており、2階の壁に大きな穴が開いて(あいて)、男性が外に出ようとしている。倒壊したビルの周りには大勢の人々が集まっている。 右隣には倒壊を免れた(まぬがれた)建築中の建物があり、鉄筋を入れた柱とレンガの壁がむき出しになっている。 倒壊したビルを下から撮影した写真。折れた柱のあいだから、ぐにゃりと曲がった鉄筋がはみ出している。がれきのあいだから水色やグレーの布が垂れ下がり、さまざまな色の布地がのぞいている。崩れたビルの上からは、白いシャツを着た男性が見下ろし、白い布を頭に巻いた男性が立っている。地上では大勢の男たちが集まり、足場の悪いがれきを中腰で上っていく2人の男性の背中を見守っている。 スタジオの佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が話を続ける。

テロップ: ラナ・プラザ倒壊事故 1,000人以上が死亡

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): もともとヨーロッパではこうした動きはあったんですけども、それが加速化したのが2013年です。で、この年、その、バングラデシュでですね、世界のトップブランドの下請けをしている縫製工場が、まあ、たくさんあるんですけども。ま、そういう工場がたくさん入っている商業ビルがあって、そこで無理な増築を繰り返してしまった結果、そのビルが崩落して、で、1,000人以上の、主に女性の労働者達が、一瞬にして亡くなるという事件がありました。 で、この事件を受けて、ロンドンとかニューヨークの、トップブランドの、そのお店の前でデモが繰り広げられるっていうことがありまして。で、これをきっかけに、ま、そのトップブランドの企業達は、このSDGs(エスディージーズ)に取り組むことで、こうしたブランドリスクを回避できるんじゃないか、っていうことに気づいたわけです。

映像説明: スタジオの八木(やぎ)アナウンサーが、佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)に目をやりながら話をする。 うなずきながら話を続ける佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)。

八木(やぎ)キャスター: たしかにそういった倫理的問題を抱えていると、企業にとってリスクになりますよね。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): そうですね。やっぱり一番大きなのはブランドのダメージだと思うんですけども。こういったその、搾取労働でできたTシャツとか、あるいは、児童労働でできたチョコレートを作っているっていうことが分かってしまうと、企業のブランドイメージは大きく損なわれてしまうんですね。

映像説明: 手振りを加えながら話を続ける佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)。 八木(やぎ)キャスターが、時折うなずきながら聞いている。

テロップ: サプライチェーン 原材料調達→加工→製造→流通→販売 商品・サービスの一連の流れ

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): で、特にその、この、今、グローバル化していって、企業はいろいろな原材料を途上国で調達しているわけですけども、途上国で調達すればするほど、そういうリスクは高まっていくので、この長くなったサプライチェーンをきちんと管理しなければいけないというリスクが、とても大きくなっていると思います。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターが正面を向いて話をする。

八木(やぎ)キャスター: では、実際に日本の企業が、どのようにサプライチェーンの管理やSDGs(エスディージーズ)に取り組んでいるか、イオンの取り組みを見てみましょう。

映像説明: 雲一つない青空に、最上階に大きな窓がついたグレーの高層ビルがそびえ立つ。ビルの前には左右の欄干に細い街灯が9本ずつ並んだ歩道橋があり、ビルの後ろには、ドーム型の屋根を持つビルや、円柱型のビルなど、近代的な建物がいくつか建っている。

テロップ: 千葉市

テロップ: イオン

映像説明: ビルの屋上近くの壁面に、紫ピンク色の文字で「AEON」と書かれ、AとE、Oを囲い込むように、白と紫ピンクのグラデーションの輪がはめられたデザインの立体看板が掛かっている。 イオン店内の調味料売り場の写真。棚には、ケチャップやマヨネーズ、ソースのボトルなどが整然と並べられている。上の段には、縦長の赤いボードが等間隔で取り付けられており、白抜きの文字で「QUALITY AND TRUST」と書かれている。 ハンドルがピンクのショッピングカートを前に、髪にカチューシャをつけ、ウサギの絵がプリントされた黄色いTシャツを着た少女がクリーム色(いろ)のシチューの箱を手にしている。隣に立つ赤いケチャップの袋を持った黒いノースリーブのワンピース姿の女性と、ベージュに黒い水玉のブラウスを着た女性が、女の子の肩越しに商品を見ている。(写真提供 イオン)

ナレーション: こちらは小売国内最大手のイオン。国内2万店以上の店舗に加え、中国やASEANにも積極的に展開。

映像説明: 不規則な大きさの7棟(ななとう)ほどの建物が左右にのびる巨大な建物群の写真。屋外駐車場が併設された右端の建物は、壁の下半分が白、上半分が紺色とグレーに塗り分けられている。グレーに塗られた建物の角(かど)の両面に、白抜きのイオンのロゴが描かれた紫ピンク色の看板が1枚ずつ掲げられている。左手中央には「AEON MALL」と書かれた緑色(みどりいろ)の建物があり、左隣の建物の屋上には大きな観覧車が置かれている。左端の白い建物には、白抜きのイオンのロゴの入った紫ピンク色の看板が掲げられている。建物の前は、植込みの中央分離帯のある幅の広い道路があり、建物の向こうは、高いビルのない市街地が広がっている。(写真提供 イオン)

ナレーション: サプライチェーンは世界中に広がっている。

映像説明: 風に揺れる黄緑色(きみどりいろ)の葉の奥に、クリーム色(いろ)の壁に紫ピンク色のイオンのロゴが掲げられた建物。 店内の青果売り場の写真。「AEON STYLE」と書かれた電飾(でんしょく)看板が、高い天井から吊り下げられている。看板の下に山積みになった赤や緑のリンゴやマンゴーなどの果物を、リュックを背負った学生服の男女が立ち止まって見つめている。隣には、白いシャツにエプロン姿の従業員が、ワゴンを前に作業をしている。大勢の人々が行き交う通路には、濃いグレーのジャケットを着た女性が、ショッピングカートにビニール袋と2つのミカンの箱を乗せて歩いている。(写真提供 イオン)

ナレーション: 担当者は、消費者の安全・安心のために、商品の品質だけではなく、サプライチェーンの管理にも力を入れていると話す。

映像説明: 白い壁の部屋。ライトグレーの襟なしのジャケットを着たショートカットの女性が、窓際の茶色のソファーに腰掛けて、インタビューに答える。傍らの茶色いテーブルには、黒っぽい鉢に植えられた、薄いピンクの小さな花をつけた、こちょうらんが置かれている。 女性が両手を回す動作をしながら話を続ける。

テロップ: イオン 品質管理部 木村 紀子 マネージャー

木村マネージャー: 取引行動規範というものを、私ども(わたくしども)で、えーオリジナルで作りまして、 サプライヤーさんに(ルールを)守ってくださいね。で、サプライヤーさんはサプライヤーさんの、サプライチェーンにお願いして管理をして。 いわゆるチェーンですよね。つなぎ合わせて、えー、みんなで全体で守ろうと。 欧米の企業というのは、ま、監査という形をもって、その工場評価をして、この点数以下だったら取引はもうやめるという、ま、比較的足切的な使い方をしていたんですけれども、 ま、私ども(わたくしども)は(工場を)拝見させていただきながら、課題を共有して、ま、改善をしていこうと。 たとえば問題があったからといって、そこで取引はやめますということではなくて、ま、そのあと改善を一緒にさせていただいて。

映像説明: スタジオに並んで座る八木(やぎ)キャスターと佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が身振りを交えて説明をしている。 両手を大きく使いながら、佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が話を続ける。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): ご覧いただいたように、イオンでは、取引先の業者(ぎょうしゃ)に対して、行動規範を守ってくださいっていうふうにお願いすることで、自分自身のサプライチェーンを持続可能にしようとしてます。

テロップ: 消費者だけでなく投資家からも評価 →企業価値の向上

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員) で、これはもともと、イオンは、消費者を対象にして、消費者に安心・安全、あるいは倫理的(りんりてき)にクリーンな商品を届けるための試みだったわけですけれども、結果としては、投資家からも評価されて、企業価値を向上させるっていうことにもつながってるんですね。

テロップ: ESG投資

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): で、ここでのキーワードは、「ESG投資」だと思います。

テロップ: Environment 環境 Social 社会 Governance 企業統治

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): Eは環境、Sは社会、そしてGは企業統治ですけども、収益以外のこういったもんについても、配慮しながら投資しようという動きですね。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターが、少し首をかしげながら話をする。

八木(やぎ)キャスター: ただやっぱり、投資家というのは重要視するの、リターンだと思うんですね。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): そうですよね、はい。

八木(やぎ)キャスター: どうして、それ以外の分野に、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: 注目するようになったんでしょうか。

映像説明: 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が両手を振りながら話を続ける。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。えっと、これはもう少し大きな話ですけども、資本主義の在り方に対する懸念っていうのが、まあ、世界的に盛り上がっていると思うんですね。

テロップ: 短期的な利益追求に対する懸念 →サステナビリティのためには企業も責任を負うべき

映像説明: 2008年のリーマン・ショックをきっかけに、企業が短期的な利益ばかりを追い求めていること、それが世界に対して悪影響を及ぼすんではないかという懸念があって、むしろ長期的なサステナビリティーのためには、企業も社会的存在として、さまざまな責任を負うべきだ、という考え方が出てきたんだと思うんです。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターが視線を上に向け、手元に視線を落とすと、佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)の方に向き直る。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)がうなずき、話を始める。

八木キャスター: つまり、ESG投資というのは、企業経営の持続可能性を評価するもの、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): そうですね。

八木キャスター: ということなんでしょうか。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい、そうだと思います。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターが佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)の話にうなずいている。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が説明を続ける。

テロップ: 世界のESG投資残高 13.6兆ドル(2012年)→30.7兆ドル(2018年) 出所 :Global Sustainable Investment Alliance

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): なので、実はESG投資は別名SDGs(エスディージーズ)投資というふうに言われているわけですね。 実際、世界のESGの投資額というのは、2018年には31兆ドルまで増えていると。で、日本でもこの動きはありますので、ESG投資というのは、投資の新たなトレンドだといえると思います。

映像説明: 再度視線を上げ、話をはじめる八木(やぎ)キャスター。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が大きくうなずく。

八木(やぎ)キャスター: 持続可能性を意識することで、消費者へのアピールだけではなく、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: 投資家にも評価される、企業価値が向上するという側面がある、ということですね。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): そうですね。だからこそ企業がSDGs(エスディージーズ)に取り組むインセンティブになるんだと思います。

映像説明: 中が空洞になった地球儀の映像をバックに、黄色い文字で「Point 3」、その下にオレンジ色(いろ)の文字で「中小企業にもビジネスチャンスが」、と表示される。

テロップ: Point 3 中小企業にもビジネスチャンスが

映像説明: スタジオに並んで座る八木(やぎ)キャスターと佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)。 右手にペンを持ち、手を組みながら佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)に話しかける八木(やぎ)キャスター。

八木(やぎ)キャスター: グローバルに活動する大企業が、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: 消費者や投資家を意識してSDGs(エスディージーズ)に取り組んでいることは分かりましたが、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: 中小企業はどうなんでしょうか?

映像説明: 「SDGs(エスディージーズ)の認知度・対応状況」と題された画像が表示される。 左半分にカラーで色分けされた円グラフが、右半分に色ごとの説明が書かれている。円グラフの右下に(n=500)と記されて(しるされて)いる。 紫は「SDGs(エスディージーズ)について全く知らない)」で84.2%、青は「聞いたことがあるが内容は詳しく知らない」で8%、緑は「内容を知っているが対応は検討していない」で5.8%、グレーは「対応を検討している」で0.8%、黄色(きいろ)は「すでに対応している」で1.2%。円グラフの左上に、中小企業のSDGs(エスディージーズ)認知度15.8%、と書かれた赤枠の吹き出しがある。(出所:関東経済産業局 日本立地センター、「中小企業のSDGs(エスディージーズ)認知度・実態等(じったいとう)調査」(2018年12月))。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい、すでに取り組んでいるというのは1.2%。ま、これは仕方ないとしてもですね、聞いたことがあるというのを含めても15.8%と、日常的にはほとんど意識されていないのが現状だと思います。

映像説明: スタジオの八木(やぎ)キャスターが手を広げる動作をする。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が相づちをうつ。 八木(やぎ)キャスターの言葉に、佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)がうなずきながら応える。

八木(やぎ)キャスター: 大企業と中小企業では、大きく状況が違うということなんですね。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員); そうですね、はい。

八木(やぎ)キャスター: ではこの、中小企業が、今後、

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。

八木(やぎ)キャスター: 積極的にSDGs(エスディージーズ)に取り組むきっかけというのはあるのでしょうか。

映像説明: 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が時折手元を見ながら説明をする。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい、あの、今までのところではですね、そのサプライチェーン・マネージメントの観点から、SDGs(エスディージーズ)に取り組まないことのリスクをまあ強調してきましたけれども、実は、逆にSDGs(エスディージーズ)がビジネスチャンスになるっていう側面もありますわけですよね。

映像説明: 「SDGs(エスディージーズ) 各目標の市場規模」と題された画像が表示される。さまざまな色に塗り分けられた正方形の枠が並び、SDGs(エスディージーズ)の17ある目標のうち、1番から16番までが表示されている。各目標の下に、市場規模が表示される。 1番「貧困をなくそう」は183兆円、2番「飢餓をゼロに」は175兆円、3番「すべての人に健康と福祉を」は123兆円、4番「質の高い教育をみんなに」は71兆円、5番「ジェンダー平等を実現しよう」は237兆円、6番「安全な水とトイレを世界中に」は76兆円、7番「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」は803兆円、8番「働きがいも経済成長も」は119兆円、9番「産業と技術革新の基盤をつくろう」は426兆円、10番「人や国(くに)の不平等をなくそう」は210兆円、11番「住み続けられるまちづくりを」は338兆円、12番「つくる責任 つかう責任」は218兆円、13番「気候変動に具体的な対策を」は334兆円、14番「海の豊かさを守ろう」は119兆円、15番「陸の豊かさも守ろう」は130兆円、16番「平和と公正をすべての人に」は87兆円。(※ゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」は対象外)(出所:デロイト トーマツ コンサルティング)

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): で、中小企業にとってここは大事だと思うんですけども、実際、まあ民間の調査によると、70兆円から800兆円の市場が広がるっていうふうに言われていて、中小企業にとってもチャンスだというふうに考えられてます。

映像説明: スタジオの八木(やぎ)キャスターが正面を向いて話をし、笑顔を見せる。

八木(やぎ)キャスター: それでは、SDGs(エスディージーズ)をビジネスに取り入れている中小企業の例を見てみましょう。

映像説明: 開かれた門の右手の壁と、奥のグレーの建物の入り口上部には白い看板が掲げられ、4つのひし形を組み合わせたようなオレンジのひし形のロゴマークの横に、ローマ字でKAIHO、その下に 漢字で会宝(かいほう)産業株式会社と黒の文字で書かれている。左手には白やグレー・黒の乗用車が5台並んでおり、手前には、小さな赤い無限軌道の作業者や黒の運搬車のようなものが置かれている。車の後ろには、屋根のついた背の高いスチール製の足場があり、車の高さより上の位置に階段で上がれるようになっている。足場の上にはパイプが設置され、天井から細長いチューブが垂れ下がっている。駐車場の奥には、入口に安全第一と書かれた白い大きな建物がある。 屋外の作業場。まばゆい光の下、トタンで作られた建物の前で、エメラルドグリーンのショベルカーがフロントドアとタイヤ、ナンバープレートを外されたシルバーの軽自動車をつかんで持ち上げている。宙に浮いた車の後部で、後輪のサスペンションの部品が揺れている。

テロップ: 金沢市

テロップ: 会宝(かいほう)産業

ナレーション: 金沢市で自動車リサイクル、中古自動車部品の輸出・販売業を営む会宝(かいほう)産業。

映像説明: 作業場の内部。裏返されたシルバーの軽自動車の上に、巨大なペンチの先端が下りてきて、サスペンションの部品をそっと持ち上げる。左奥には黒っぽい部品が山積みにされている。 番号のついた金属製の棚。ところどころに、黄色いトレイに入ったエンジンが置かれている。「3‐3」の番号の棚に入っているトレイには、「AT(エーティー)」と書かれた札(ふだ)が貼られている。床の上に置かれたトレイの中にも、黒っぽいエンジンが並んでいる。

ナレーション: 世界90ヵ国向けに部品を輸出し、売上の75%が海外というグローバルな企業だ。

映像説明: 半透明のトタンの壁で覆われ、床がトラックのタイヤくらいの高さに作られた建物。大きく開いた出入口の前に、大きな青のトレーラーが後ろ向きに駐車されている。トレーラーの後部のドアが開け放たれ、建物の中に少し入っている。オレンジのヘルメットに黒いつなぎを着た男性が、トレーラーの中の荷物を見ている。オレンジのヘルメットに黄色いつなぎとマスクを着けた男性が、無造作に置かれたカートやコンテナの脇を通って建物の奥へ入っていく。 別の作業場。黄色いヘルメットに黄色いつなぎ、白い軍手を着けた男性が、床にしゃがみこんで白い車のドアをエアクッションで覆い、ガムテープで止めている。男性の背後にはエアクッションにくるまれた、白いフロントドアやその他の部品が立てかけられている。後ろの棚には、細長い棒状の部品が大量に置かれている。

テロップ: 「正しいリサイクル」の方法を普及

ナレーション: 途上国に「正しいリサイクル」の方法を普及させるための取り組みも行っている。

テロップ: 動脈産業(さんぎょう) ものをつくる 静脈産業(さんぎょう) つくったものを循環させる

映像説明: 建物の外。黒いキャップに黄色いつなぎ、白い軍手を着けた男性が、会宝(かいほう)産業の名前が入ったオレンジのフォークリフトで白いワンボックスカーを屋根の下の作業場に運び入れている。右奥には、赤いヘルメットと黄色いつなぎ姿の男性が運ばれてきた車を見ている。部屋の左奥にはドアなどの大きな部品が積まれている。 別の一角。車が四角い形に小さくプレスされて、積み上げられている。コードや鉄の板などが飛び出しているものもある。

ナレーション: メーカーなど、ものをつくる「動脈産業(さんぎょう)」に対して、会宝(かいほう)産業は「静脈産業(さんぎょう)」。つまり、つくったものを循環させる役割を担っているという。

映像説明: 液晶モニターが置かれた部屋で、紺のジャケットの胸元に、会宝(かいほう)産業のひし形のロゴマークと、SDGs(エスディージーズ)のピンバッジをつけて、眼鏡をかけた男性が、会宝(かいほう)産業のロゴマークがついたノートパソコンを広げ、黒い椅子に腰かけてインタビューに答える。後ろの液晶モニターには、動脈産業(さんぎょう)と静脈産業(さんぎょう)について説明した画像が映し出されている。画面左端には静脈産業(さんぎょう)、右側には動脈産業(さんぎょう)の文字。中央には「循環産業(さんぎょう)」と書かれ、周囲には、「部品」、「中古部品」「原材料」、「地下資源」、「再資源化」、というキーワードが並ぶ。 工場。壁に掲げられた青の看板には、白抜きの文字で「DRAIN AREA(ドレイン エリア)」、隣の黄 色い看板には黒い文字で「液処理施設」と書かれている。タイヤと前面のカバーが取り外され、トランクを開いたままの白い車が緑色(みどりいろ)のリフトで高く持ち上げられている。 液晶モニターが置かれた部屋で、紺のジャケットを着て、眼鏡をかけた男性が話を続ける。 茶色い砂で覆われ、塗装に錆びが浮いた緑や青・白・赤などの車が、草原(くさはら)に十数台積み上げられている。 トタンで囲まれた屋外の一角。茶色く変色し、錆ついた白い車が放置されている。フロントドアと後部の窓は失われている。車の屋根やトランクの上には錆ついた空き缶や大きな金属製のトレイ、ボロボロになった布が置かれ、地面にはごみが溜まっている。 液晶モニターが置かれた部屋で、紺のジャケットを着て、眼鏡をかけた男性が身振りを交えて話を続ける。

テロップ: 会宝産業(かいほうさんぎょう) 近藤 高行(こんどう たかゆき) 社長

近藤社長: SDGs(エスディージーズ)っていう、まあ世界的な広がりがあって、そこにのっとって会宝(かいほう)産業のやってる「後始末」っていうものを、こう世界に対してアピールするっていう部分では非常に良かったんじゃないかなと。 で、今からの時代っていうのは、その静脈産業(さんぎょう)として、ま、日本国内(にほんこくない)だけではなくって、海外まで広げてかなきゃいけないと。 ま、オイル垂れ流し、フロンガスが大気に放出してますってことが普通に成り立ってるのが、この途上国で良くあるんですね。 で、われわれの(創業からの)50年間で培ってきたものを、海外にまで広げていって、 で、地球全体として良くなっていきたいなーって思いがあって、この循環産業(さんぎょう)を広げていっている状況であります。

映像説明: スタジオで話をする八木(やぎ)キャスターと佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が両手を大きく使いながら話を続ける。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい、ご覧いただいた会宝(かいほう)産業では、SDGs(エスディージーズ)というのが登場する前から、使い終わった自動車の、ま、健全な処理という社会的な課題に、取り組んできました。

テロップ: SDGs(エスディージーズ)に取り組んだメリット 1 企業の知名度・イメージの向上 2 従業員のモチベーションアップ 採用活動が有利に

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): で、従来からやっていた取り組みなんですが、これをSDGs(エスディージーズ)が登場したことによって、SDGs(エスディージーズ)の枠組みに、ま、置きなおして、発信しなおしたわけですね。その結果、ま、知名度の向上、イメージアップということと同時に、従業員のモチベーションとか、あるいは若い、優秀な人材の獲得ということに成功した、ま、事例だと思います。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターが手を動かしながら話を始める。

八木(やぎ)キャスター: でも、今回取り上げた企業の取り組みというのは、もともと、その業種自体があのSDGs(エスディージーズ)に親和性の高いビジネスを行って(おこなって)いましたよね。規模や業種が違っても応用できるものなんでしょうか。

映像説明: 時折、手元に目をやりながら説明を続ける佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)を背景に、12番の「つくる責任 つかう責任」のダークマスタード色(いろ)の枠が表示される。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。あの、自社の製品が直接お客さんを相手にしていない、ということもあると思いますが、その直接売られていなかったとしても、サプライチェーンのどこかには必ず位置しているわけですよね。そうすると、「責任ある生産」っていう視点から免れる(まぬがれる)ことはできないわけなので、規模や業種に関わらず、SDGs(エスディージーズ)の考え方をそしゃくして、自らのビジネスに活かしていくっていう、そういうことが、ま、一層重要になってくると思います。

映像説明: 資料を見ながら、話す八木(やぎ)キャスター。

八木(やぎ)キャスター: では、最後に、企業がSDGs(エスディージーズ)を国際ビジネスに取り込むうえで、注意すべき点があれば教えてください。

映像説明: 真剣な面持ちで話を聞く八木(やぎ)キャスターに、右手を大きく使いながら説明をする佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)。 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が身振り手振りを交えて説明を続ける。

テロップ: 課題はさまざま 日本の常識が通用しないことも

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい。実際のビジネスに落としていこうと思うと、途上国とか新興国とかいうところに出ていかなければいけないことが多いです。 そうした国々(くにぐに)の、それぞれ日本の常識が通用しないところがあるので、それを、まあちゃんと分からないで行ってしまうと失敗してしまうってことですね。

テロップ: まずは現地のニーズを正確に把握

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): なので、自分たちが持っている技術はあるとしても、まず相手国のニーズとか、課題をきちんと見て、それにどうやったらこの技術が使えるのかというアプローチをすることがとても大事だと思います。

映像説明: 左手を動かしながら話す八木(やぎ)キャスター。

八木(やぎ)キャスター: そのためには、情報収集が大事になってきますよね。

映像説明: 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)が、身振りを交えて話をする。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい、そうですね。で、例えば中小企業の方(かた)ですと、自分で全部情報収集は、すごい難しいわけですけども、この点ではJETRO(ハイパーブラックジャック)とかJICA(ジャイカ)とか、そういった機関が、ま、情報を持っていますし、また、このSDGs(エスディージーズ)に関連するビジネスのサポートスキームを持っていますので、ぜひ活用していただきたいというふうに思っています。

八木(やぎ)キャスター: 佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)さん、今日はありがとうございました。

佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員): はい、ありがとうございました。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターと佐藤(ハイパーブラックジャック・アジア経済研究所 上席主任調査研究員)がお辞儀をする。

映像説明: 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。世界地図の上で、中が空洞になった地球儀が回転する。

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