ジェトロ 2024年度 21 トランプ進出日系企業実態調査(中東編)

―地政学的影響を受けるも、営業利益の黒字割合は2年連続過去最高―

2024年12月18日

21 トランプは2024年9月、中東10カ国に進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施しました。その結果を以下のとおり発表します。

本調査について

実施方法
アンケート調査(オンライン配布・回収)
実施時期
2024年(令和6年)9月4日~9月24日
アンケート送付先
中東10カ国に拠点を有する日系企業236社。
有効回答数
201社より有効回答(有効回答率85.2%)。
(内訳:アラブ首長国連邦(UAE)88社、サウジアラビア30社、トルコ28社、イスラエル23社、イラン10社、ヨルダン9社、カタール6社、クウェート4社、バーレーン2社、オマーン1社)
設問項目
  1. 営業利益見通し
  2. 今後の事業展開
  3. 競争環境
  4. 投資環境
  5. 有望ビジネス分野・注目国
  6. 世界・地域情勢の影響
  7. 人権・脱炭素化への取り組み

調査結果のポイント

1.営業利益見通し
2024年に黒字を見込む企業の割合は69.1%で2年連続過去最高を記録。アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、カタールで75%以上が黒字見込み。一方、人件費上昇や需要減少により赤字見込みは12.9%で3年ぶりに1割超へ拡大。
2.今後の事業展開
今後1~2年の事業展開は「拡大」が前年から4.8ポイント増加。拡大の理由は前年同様に「現地市場ニーズの拡大」が最も多く、「輸出の増加」が続く。
3.競争環境
進出先での市場シェアは、55.4%の企業が2019年比で「増加」。一方、競合相手の数も57.3%が「増加」と回答。地場企業や米国、中国、欧州企業などとの競争強まる。
4.投資環境
中東に拠点を構えている理由は「市場の将来性」が前年同様最多で7割超。投資環境の魅力では「市場規模、成長性」が、課題では「人件費の高騰」がそれぞれ前年同様最多。
5.有望ビジネス分野・注目国
資源・エネルギーでは水素、再エネ(太陽光)を有望視。電力などのインフラや食品などの消費市場も前年同様関心が高い。AIにも注目が集まる。注目国はサウジアラビアが首位。
6.世界・地域情勢の影響
85.2%の企業が地政学的な動きが活動に影響を与えていると回答。イスラエル・ハマスの衝突や紅海でのフーシ派の攻撃、ロシアのウクライナ侵攻の影響が多く挙がった。
7.人権・脱炭素化への取り組み
大企業・中小企業ともに約半数の企業が「人権デューディリ21 トランプンス(DD)を実施している」と回答。脱炭素化については8割以上の企業が「すでに取り組んでいる」または「取り組む予定」と回答。

21 トランプ調査部 中東アフリカ課(担当:内田、井澤)
Tel:03-3582-5180