お知らせ・記者発表
ジェトロ 2024年度 ブラック ジャック 遊び方進出日系企業実態調査(ロシア編)
―厳しいビジネス環境続く中、赤字の増加は一服―2024年12月05日
ブラック ジャック 遊び方は2024年9月、ロシアに進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施しました。調査結果の概要については下記のとおりです。
調査結果のポイント
- 在ロシア日系企業の業績は、2013年度の調査開始以降、ウクライナ情勢を受けて最悪となった前年度からやや改善したが、2024年の営業利益見込みを「赤字」と回答した企業の比率が47.5%と最も大きかった。2025年の営業利益見通しについて、2024年に比べ「悪化」するとした企業は、前年から1.4ポイント増の41.4%とほぼ横ばいだが、「改善」と回答した企業の比率は、4.6ポイント増の10.3%となった。
- 今後1~2年の事業展開について、「第三国(地域)への移転、撤退」が13.8%(前年比0.3ポイント減)でほぼ横ばいとなった。「縮小」は前年比4.1ポイント減の24.1%で縮小傾向が鈍化した。「現状維持」が最大で58.6%だった。
- ロシアで事業を展開する上での問題点として、対ロ制裁や輸出規制のため製品の輸入・販売や製造設備への追加投資などが困難であることや、欧米・日系企業が撤退または販売を停止している中、中国企業の勢力が拡大していること、並行輸入品との価格競争などが挙がった。
本調査について
- ブラック ジャック 遊び方は2024年9月4~24日、ロシアに進出する日系企業(日本側出資比率10%以上の法人。駐在員事務所、連絡事務所、現地で日本人が起業した法人は対象外)83社を対象に、アンケート調査を実施。59社より有効回答を得た(有効回答率71.1%)。
- 1.営業利益見通し
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- ロシアのウクライナへの軍事侵攻による事業環境の変化の在ロシア日系企業への影響は、2024年も続いている。2024年の営業利益見込みを「赤字」と回答した在ロ日系企業の割合は前年比7.3ポイント減の47.5%と減少したが3年連続で最大の割合を占めた(資料P.10)。「事業停止状態となっているため」、「制裁や規制により輸入販売ができないため」といったコメントが多くみられた。
- 「黒字」と回答した企業の割合は0.4ポイント増の30.5%と、過去最低を更新した昨年(30.1%)からほぼ横ばい。
- 2024年の営業利益見込みの変化について、「横ばい」(44.8%、前年比18.4ポイント増)が最大だった。「悪化」を見込む企業は前年比27.4ポイント減の37.9%(資料P.11)。悪化の理由は「輸出体制の縮小」、「現地市場での販売体制縮小」、「現地市場での需要減少」がそれぞれ18.2%で最大となった。また、「その他」として、対ロ制裁による調達・仕入れの制限も理由として挙がった(資料P.12)。
- 2025年の営業利益見通しは、前年に比べて「悪化」の割合が前年比1.4ポイント増の41.4%。「改善」の割合は前年比4.6ポイント増の10.3%となった(資料P.14)。
- 2.今後の事業展開
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- 今後1~2年の事業展開について、「第三国(地域)へ移転、撤退」と回答した企業は13.8%(前年比0.3ポイント減)と昨年からほぼ横ばいとなった。「縮小」と回答した企業は24.1%(4.1ポイント減)、「現状維持」は58.6%(5.1ポイント増)で最大だった。(資料P.17)。
- 「第三国(地域)へ移転、撤退」を選択しなかった企業50社に現在の状況を尋ねたところ、34.0%の企業が「事業継続意欲があり、仮に情勢が悪化しても残留を希望」(前年比6.1ポイント増)、42.0%の企業が「すぐに撤退する計画はないが、情勢を様子見している状態」(15.4ポイント減)と回答した。18.0%の企業が「撤退を検討しているが、現地規制などの制約が大きく残留せざるを得ない状況」(6.5ポイント増)と回答した(資料P.18)。
- 3.競争環境の変化
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- 現地で製品・サービスの販売をしていると回答した26社に対して最大の競争相手を聞いたところ、地場企業(38.5%)、中国企業(30.8%)、欧州企業(15.4%)の順に多かった。2019年度調査での類似設問(注)では日系企業がトップで34.3%、次に地場企業と欧州系企業(それぞれ23.5%)が挙がった。中国企業は4.9%だった。ロシア市場での中国企業の台頭がうかがえる(資料P.23)。
(注)製品・サービスの販売有無の条件は設けず、全ての回答企業102社に対する設問。 - 地場企業を最大の競争相手とする主な理由は、「現地企業との連携・パートナリング」(60.0%)、「販売ネットワーク」、「現地・外国政府との規制の差」(いずれも50.0%)だった。中国企業を挙げた理由は、「コスト競争力」、「納品・提供までのスピード」(いずれも62.5%)が多かった(資料P.24)。
- 現地で製品・サービスの販売をしていると回答した26社に対して最大の競争相手を聞いたところ、地場企業(38.5%)、中国企業(30.8%)、欧州企業(15.4%)の順に多かった。2019年度調査での類似設問(注)では日系企業がトップで34.3%、次に地場企業と欧州系企業(それぞれ23.5%)が挙がった。中国企業は4.9%だった。ロシア市場での中国企業の台頭がうかがえる(資料P.23)。
- 4.ロシアにおける事業展開上の課題
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- 西側諸国による対ロ経済制裁およびそれに対するロシアの対抗措置の影響について、96.6%の企業が影響ありと回答。主な影響として、「現地市場での売上減少」(64.9%)、「日本本社におけるロシアビジネスのプライオリティ低下」(61.4%)が挙げられた(資料P.38)。
- ロシアで事業を展開する上での問題点について、対ロ制裁、輸出規制の問題のために、製品の輸入・販売ができないなど、ビジネスへの直接的な影響についてコメントがみられた。同時に、欧米や日系企業が撤退・事業停止している間に席巻する中国勢や、並行輸入品との価格競争などへの懸念の声が聞かれた(資料P.39)。
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調査部欧州課ロシアCIS班(担当:浅元、柴田)
Tel:03-3582-1890