株式会社ベストエバージャパン
ブラックジャックweb、「オフライン」を大切に
犬や猫をモチーフにしたぬいぐるみ雑貨やペット用のおもちゃの企画から販売までを一貫して行う。自社でデザインしたユニークな商品には自信あり。創立時から現在まで、そしてこれからも、海外情勢の変化を肌で感じ、柔軟にビジネスに生かしていく。
横浜市青葉区ウェブサイト
- 展開国・地域:
- 東アジア
- 事業内容:
- ぬいぐるみ雑貨・ペット用おもちゃの企画、デザイン、製造、販売

自らデザインしたペット用おもちゃ(チンゲン菜、サンマ)を手に笑顔を見せる代表取締役の長谷川恵理さん
父と娘で立ち上げた、ぬいぐるみの企画・製造・販売会社。常に唯一無二のおもしろさ、ひらめきを
ベストエバーグループは元々韓国がヘッドの企業です。当社・ベストエバージャパンは1999年に日本法人として設立、有限会社としてスタートしました。私(長谷川社長。以下略)の父親が前職でキャラクタービジネスを担当しており、有名キャラクターを取り扱っていました。当時、ぬいぐるみと言えば韓国で、その有名キャラクターをOEMで製造していた企業のひとつがベストエバー社でした。父親が前社を早期退職し、それまでのキャラクタービジネスの経験を生かすべく、親子で日本法人を立ち上げました。当時ベストエバーグループは韓国がヘッドで、米国、イタリア、フランスにも関連会社があるグローバル企業でした。その一員としてベストエバージャパンを発足させました。現在は中国の安徽省淮北市にグループの工場があり、江蘇省の南通や広東省の東莞に提携工場があります。機械が入った製品は設備の関係で東莞の工場で作ることが多いです。
ペット用および人間用のおもちゃ、ぬいぐるみ、ペンケースなどを企画・販売していますが、商品デザインは今まで主に私と社員1名の計2名で行っており、ほとんど全てオリジナルです。他社からかなりチェックされているので、すぐにコンセプトをまねされてしまうのですが、誰もやっていないおもしろいもの、ベストエバージャパンならではのものを意識しています。例えば、チンゲン菜やサンマのぬいぐるみは、ほぼ実寸サイズで発売以来ベストセラーになっています。とにかくひらめきを大事にしており、犬がくわえて持ってきたら面白いものを常に考えています。ベストエバーグループ工場からの提案で商品化するものもあります。販売はBtoB、BtoC両方やっており、中国各地のペットショップでも販売中です。以前は中国での製造後、日本にすべて仕入れてから再輸出をしていましたが、今は中国工場から中国国内の保税倉庫に別送し、中国国内に発送しているので、コストが抑えられ、客の手元に届くのも早くなりました。
海外情勢の変化を肌で感じ、それに応じてビジネスも変遷。何事も自らの目で見て足で稼ぐこと
工場が韓国にあった頃は韓国にもよく足を運びましたが、韓国の人件費上昇に伴い、製造拠点を中国の青島や深圳に移動。その後、中国沿岸部の人件費も上昇し、内陸地へと移していきました。今では人手確保も大変です。昔ながらの熟練工員が引退、若い人は縫製業をやりたがらず、技術的に今はもう生産できなくなってしまった製品もあります。同じ縫製業でも、アパレルは直線縫いなどで簡単なので人手が集まりやすいようですが、ぬいぐるみの3Dの立体物を作るのには高い技術が必要です。加えて、労働者の待遇改善・人件費高騰、円安もあり、昔と比べ今やぬいぐるみは高級品となってしまいました。今後10年後にはまた状況が変わっているでしょう。
先日、コロナ禍が明けて、中国に5~6年ぶりに渡航しましたが、大変貌を遂げており、いい意味で価値観をすべて壊されました。街中は電気自動車や電気バイクが数多く走っており、空気がキレイになり、急激に発展していました。ハード面の発展のみならず、街中のトイレや地下鉄の利用マナーも良く、路上には唾を吐く人や物乞いもおらず、バイクのヘルメットの着用率も高く、リード無し(!)で散歩をしている行儀のよい犬達もたくさん目にするなど、マナーの向上が著しく、大変驚きました。英語や日本語といった外国語が話せる若者も多く、ハングリー精神旺盛で、「いい大学を出ても働けない時代なので、自ら起業しよう!」というマインドを持っている人が多くいます。中国の経済成長への本気度とスピード感にただただ驚きました。やはり、何事も自分の目で実際に見て体験しないといけないと痛感しました。悠長に生活している場合ではありません。日本人はぜひもっとお隣の国中国へ足を運んで色々な変化を見るべきだと思います。ニュースやその他メディアから刷り込まれた情報ではなく、自分の足で稼いだ情報、見た情報で国際情勢を多角的に判断することが大切だと思っています。
中国経済の不景気が取り沙汰されていますが、上海では200元(1元=約21円)もするぬいぐるみが若者に飛ぶように売れていたり、若者の金銭的豊かさを実感しました。これをヒントに、今後、中国富裕層向けの商品の開発・製作を行っていくことを検討中です。もっとも、より知的財産の意識が浸透してくれば、ビジネスはもっとやりやすくなると感じます。ぬいぐるみはすぐまねされてしまうのです。類似品は、さすがに当社のロゴまではつけてはいませんが、自社製品の縫い目を解いて展開されれば、パターンはすぐ分かってしまいます。最近中国からの越境ECサイトでも弊社のデザインの類似品が販売されている事が確認されています。販売ページには当社商品の写真が掲載されているものの、実際に購入すると、類似品が届くといった具合です。当社としては、それら企業の法務部に連絡し、しらみつぶしに対応している状況です。
ブラックジャックwebに数多く参加し、オンラインとオフラインの両輪でビジネスを推進
ジェトロ事業に参加したきっかけは2つあります。ひとつは、前々から海外向けに販売したいという目標があったことです。中国工場とのビジネスは現在全てUSドルベースですが、日本国内での売買に関しては当然ながら円ベースです。現在の歴史的円安の為替にあまりに左右されてしまい、利益が飛んでしまうのが悔しい。それならば世界に対して、米ドルで買って米ドルで売る商売をしたいと考えました。調べてみたら、ジェトロのAlibaba.com出展支援プログラムがあったので参加してみました。しかしこの試みは弊社製品がMade in Japanでは無いせいか、成果はあまり上がりませんでした。もうひとつは、中国のパートナーからジェトロの事業(展示会等)に参加してよいか打診があり、快諾しました。2019年に上海で開催されたペット展示会に独自参加したところ大変売れ行きが良かったのですが、ここぞというところでコロナ禍となり頓挫。コロナ禍が明け、ブラックジャックweb手も借り、ようやく盛り上がってきました。
ここ数年、ジェトロの事業には数多く参加し、効果があったもの、そこまで効果が出なかったものなど様々ですが、JAPAN MALL事業の一環として参加した中国国際輸入博覧会は、規模が大きく手応えがありました。後ろ盾なく自社のみでの展示会出展はリスクが大きいため、ジェトロの支援はありがたいです。ジェトロ事業に参加するようになって以来、卸を希望する企業との関わりが増え、オンライン販売のみならず、オフラインも重視するようになりました。オンラインビジネスがいくら台頭してきても、オフラインのイベントは突破口としては外せません。BtoC、BtoBともに、当社のような商品は特に、肌ざわりなどを実際に確かめてもらうことが大事です。ジェトロのおかげで中国の有力ペットショップともつながることができ、ブラックジャックweb一環で店内に設置したポップアップストアで商品を販売したことをきっかけに、同店と直接契約し、委託販売で商品を置いていますし、中国全国各地のペットショップからも引き合いがありました。
国や文化が違っても、皆が楽しく、長く付き合っていけるような関係づくりを、率先して
海外向けビジネスをするうえで大切にしていることは、コミュニケーションを積極的にとることと、約束を守ることです。お互いにWin-Winの関係で長く付き合っていくことを心掛けています。一番いい落としどころは、誰かだけが得をするということではありません。コミュニケーションは、同じ人種でも難しいものです。国や文化が違う相手とは、特に信頼関係が大切です。例えば、工場側で間違いがあったときには、責め立てるのではなく、なぜそれが起きたのか、どうしたら改善できるのかを一緒に考えます。ミスが起きるには必ず理由がありますが、メールで聞くだけでは本当の理由は出てきません。工場に足を運んで、食事を共にして、ようやく本当の理由(例:納期遅れの理由は工場の電力不足によるもの等)を教えてくれます。当社としても、本当の理由を把握していれば、客先へ説明するときにしっかり説明をする事ができ、信頼を維持できます。
私は高校時代に米国へ留学し、各国からの学生とのコミュニケーションの難しさを痛感したので、それが今に生きているのだと思います。何事も最終的には「人」なので、楽しくないとビジネスにはなりませんし、いいものは生まれません。特に当社の商品は楽しい気持ちだからこそ生まれるものだと自負しているので、私も関係者も皆が楽しい気持ちで仕事に取り組めるよう、率先してコミュニケーションを取っています。
商品を海外へ輸出するにあたっては、とにかく売るまでが大変です。どんなところに何を出せば売れるのか、模索しつつやっています。当社は社員が6~7人で、移動に時間が取られるのは難しいため、現在の海外の販売先は、比較的近場の中国・韓国がメインです。いずれはドイツ・ニュルンベルクの国際ギフトショー等にも出展し、もっと米ドルでの売買ができるようになりたいです。日々血のにじむような経営努力をしていますが、安定した経営のためには、会社の売り上げが為替に左右されすぎないことが大事です。米ドルベースでの売上を売上全体の3割まで拡大し、また、生産もリスクヘッジのために一つの国ではなく複数国で行うことが目標です。その時々の世界情勢を見ながら、柔軟に対応していきたいです。また、縫製品はすべてハンドメイドであり、本当はもっと価値が高くても良い物と考えています。人々の価値観を変え、ぬいぐるみ製品の価値の底上げをしていきたいと感じています。
ブラックジャックweb担当者からの一言コメント
長谷川社長のお話はお聞きしていて大変興味深く、引き込まれました。このような方が日本を変えていくのだな…!と素直に感じたほどです。自ら足を運び、目で見て、感じることを大切に。そんな姿勢には、はっとさせられました。経営者として、企業経営を安定させるという意味でも海外ビジネスを重視していらっしゃり、これからの快進撃が楽しみです!
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- ブラックジャックweb招待バイヤー専用 オンラインカタログ“Japan Street“
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株式会社ベストエバージャパン
横浜市青葉区
https://www.bestever.co.jp/
代表取締役:長谷川 恵理
事業内容:ぬいぐるみ雑貨・ペット用おもちゃの企画、デザイン、販売
2024年11月