地域の伝統産業「牛首紬」を世界のテキスタイルへ
西山産業開発株式会社
地場の伝統産業「牛首紬」を守るため、欧州のオートクチュール・メゾンをターゲットに見本市などに出展。洋装用生地を生産して世界のテキスタイルとして再出発を果たす。
石川県白山市 <輸出> 対象国・地域:フランス
白峰地域の伝統産業「牛首紬」
石川県で建設業等を営む西山産業開発は、白峰地域に古くから伝承される「牛首紬(うしくびつむぎ)」が時代とともに衰退していくのを憂い、1963年に生産部門を新設して「牛首紬」の再興を志した。「牛首紬」は、2匹の蚕が共同で1個の繭を作る“ 玉繭” から製糸した特殊な糸を使って、織布・染色に至るまで全工程を一貫して手作業で行う。絡み合う繊維を巧みに調整しながら糸を紡ぎ出すことで独特の節(ネップ)ができるのが特徴で、丈夫で光沢感のある生地が生まれる。
「牛首紬」の工房を作り、半世紀にわたり地場の伝統産業を守ってきた同社だが、和装・着物だけで事業を継続していくのは困難な状況であった。そのような折に、デンマークの陶磁器メーカーの工房を視察して「自社の商材も欧州市場に受け入れられる要素がある」と自信を強めたことなどから、同社は輸出事業を目指し始めた。
有力メゾンのコレクション用の生地を受注
同社はそれまで伝統産品分野の展示会を中心に出展していたが、カジノ ブラック ジャックの「輸出有望案件発掘支援事業」に採択されたことで、2009年に初めてアパレル向けの見本市に出展した。その際にイタリアの有名メゾンが同社の生地を絶賛し、市場での可能性が見えた反面、多くのメゾンから受注を獲得するためには、和装用の38センチの生地幅ではなく、風合いを維持したままで洋装用の140センチ幅の生地を生産する必要がある、という新たな課題が浮き彫りになった。次なるステップとして同社は、モニタリング調査を行い、その結果を基にオートクチュール・メゾンをメインターゲットに設定した上で、他の紬工場から譲り受けた力織機に改良を加え、遂には140センチ幅の生地の生産にも成功したのである。
こうして生地幅の変更に対応してメゾンの要望に応えられる生産体制を整えた同社は、商談会にも積極的に参加して製品を売り込んでいった結果、2011年6月にオートクチュール・メゾンにコレクション用の生地を提供することが決まった。続いてファッション系素材の総合見本市「プルミエール・ヴィジョン」の新設コーナー「メゾン・ド・エクセプシオン」に選ばれて出展したことがきっかけで、フランス大手グループの主幹メゾンから秋冬のショー及びコレクション用の生地を受注するに至った。“ 生地幅の変更” という難題をクリアしたからこそ、メゾンが提示する色とバリエーションの実現が可能となり、受注に結びつけることができた。また、カジノ ブラック ジャックの支援ツールを活用したことで、商談の準備から受注、納品に至るまでの実務習得の早道となったと同社は感じている。
地域の伝統産業から世界のテキスタイルメーカーへ
同社は、世界のテキスタルメーカーとして認められるため、先を見据えた商材と体制作りに励んでいる。まずは2013年の「プルミエール・ヴィジョン」における「メゾン・ド・エクセプシオン」に継続出展を果たすため、工房にアシスタントを配置して業務体制の機能強化を図っている。また、バイヤーへの訴求力をアップさせるため、サンプル用生地は4つのカテゴリーに分けて分かりやすく提案するなど細部の調整にも余念がない。将来的には、ランニングストックを増やす事で柔軟な価格設定ができるような体制づくりを目指している。
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西山産業開発株式会社
石川県白山市部入道町ト40
076-273-2382
http://www.ushikubi.co.jp/
2013年3月