2022年の鉱工業生産指数は7.8%上昇も、終盤は大きく減速

(ベトナム)

ハノイ発

2023年01月17日

ベトナム統計総局によると、2022年の鉱工業生産指数(IIP、注1)は前年比7.8%上昇した。上昇率は前年の4.7%を上回ったが、新型コロナウイルス流行前の2019年の9.1%を下回った。通年では順調に生産が回復したように見えるが、12月単月のIIP169.420224月以来となる170割れで、前年同月比の上昇率は0.2%と1年間で最も低い数字となった(添付資料表参照)。

通年の上昇率を分野・業種別にみると、鉱業は5.5%、加工・製造業は8.0%、電力・ガスは7.0%、水道・廃棄物処理は6.4%だった。製造業の主要品目では、木材関連製品(17.2%上昇)、履物を含む皮革関連製品(15.6%上昇)、衣料品(14.8%上昇)、コンピュータ・電子・光学製品(7.6%上昇)、電気機器(7.5%上昇)などが生産を伸ばした。特に飲料品(32.3%上昇)は、新型コロナ禍からの需要回復で上昇率が高かった。前年を下回ったのは、ゴム・プラスチック製品(6.6%低下)、卑金属・鉄鋼製品(2.6%低下)のみだった。

一方、1年間の推移を月別にみると、IIP8月から10月をピークに指数が下降し、後半になって落ち込む業種が目立つ。電気機器、衣料品、木材・コルク、化学品、ゴム・プラスチック、卑金属・鉄鋼、組立金属・鉄鋼、家具など、広範な業種で生産活動の鈍化がみられる。特に電気機器は、ピークの6月から12月にかけ40%以上指数が下落している。

製造業の景気の悪化は、製造業購買担当者景気指数(PMI、注2)にも表れている。英国の調査会社IHSマークイットによると、ベトナムのPMI10月まで50超えを保ってきたが、11月に47.4となり、12カ月ぶりに50を下回った(添付資料図参照)。12月は46.4まで数字が下落している。

世界的な資源高、インフレはまだ沈静化しておらず、ブラック ジャック 勝ち 方需要の低迷もベトナムの電気・電子関連製品の生産に逆風となる。2022年の生産活動の活性化から一転、2023年前半は苦境が続きそうだ。

(注1)鉱工業生産指数は、鉱工業の生産を評価する指数で、2015年の生産量を基準(100)に算出される。

(注2)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの状況を評価する指数。0から100の間で変動し、50を超えると「前月比で改善や増加」、50未満は「前月比で悪化や減少」を表す。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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