ブラジルとの自動車協定が改定、オンライン カジノ ブラック ジャック
メキシコ事務所
2015年03月20日
メキシコ、ブラジル両国政府は3月9日、リオデジャネイロにてラテンアメリカ統合連合(ALADI)経済補完協定(ACE)55号付属書II(通称:メキシコ−ブラジル自動車協定)の改定について合意・署名したと発表した。当初、無関税輸出制限枠は2015年3月19日に撤廃される予定だったが、4年間は制限枠を継続し、2019年3月19日以降に完全自由化するとしている。
<アルゼンチンとの自動車協定改定も合意か>
メキシコ経済省の発表(3月9日)によると、交渉はイルデフォンソ・グアハルド経済相、フランシスコ・デ・ローゼンウェイグ貿易担当次官を筆頭に、ベアトリス・パレデス駐ブラジルメキシコ大使、メキシコ自動車工業会(AMIA)エドワルド・ソリス会長、メキシコ自動車部品工業会(INA)オスカル・アービン会長らが出席して行われた。
合意の中身は、a.完成車における4年間(2015年3月〜2019年3月)の無関税輸出上限枠を新たに設定、b.完成車の原産地規則における付加価値比率について、現行の35%を40%に引き上げる時期を(当初の2016年3月19日から)2019年3月19日に延期、c.大型バス・トラックの完全自由化に向けた関税削減スケジュールの2018年12月31日までの合意、d.2019年3月19日以降の自動車貿易の完全自由化、などとなっている。なお、現状では輸出枠規制や原産地規則厳格化の対象となっていない自動車部品の扱いについては、メキシコ経済省の発表では詳細が判然とせず、政府官報を待つ必要がある。
4年間の無関税輸出上限枠の設定は以下のとおり。初年度(2015年度)の設定額は、これまでの3年間の金額枠の平均(15億5,000万ドル)をベースに設定されたものだとしている。以降、毎年3%程度金額枠が増えていく。
○初年度(2015年3月19日〜2016年3月18日):15億6,000万ドル
○2年目(2016年3月19日〜2017年3月18日):16億600万ドル
○3年目(2017年3月19日〜2018年3月18日):16億5,500万ドル
○4年目(2018年3月19日〜2019年3月18日):17億500万ドル
○5年目(2019年3月19日以降):完全自由化
なお、メキシコ経済省の発表(3月11日)によると、アルゼンチンとの自動車協定(ACE55号付属書I)の改定交渉も合意に達したもようだ。同様に期間限定の無関税上限枠が設定されたとしているものの、具体的な金額などは明らかにしておらず、これも政府官報の公布を待つ必要があるだろう。前回改定時は交渉がまとまらず、アルゼンチンとの間の同協定の適用が一時停止した(2012年6月27日記事参照)が、今回は少なくともその懸念はなさそうだ。
<現状維持が精一杯の交渉とも>
ブラジルとの間に適用されている同協定付属書IIを改定した第4次追加議定書(2012年3月)に基づく輸出制限枠は、あくまで期間限定であり、2015年3月19日には元の完全自由貿易に戻るものとされていたが、再交渉が行われて再び輸出枠が設定されるのではないかとの懸念は業界団体を中心に3年前から存在した(2012年3月23日記事参照)。
今次交渉では、メキシコ側としては3月19日からの完全自由化という、ある意味「正常化」を議論の出発点としたかったが、ブラジル側は「無関税輸出枠のさらなる削減」がスタート地点だったようだ。メキシコのグアハルド経済相は、ブラジル自動車産業における生産、輸出、国内販売の減退傾向の中で協定からの離脱もあり得る状況下、むしろ現状を維持できたことに満足していると認めている(「エル・エコノミスタ」紙3月9日)。また、AMIAのファウスト・クエバス事務局長は、「南米への自動車輸出を維持することは極めて重要。それ故上限枠の延長を受け入れねばならなかった。そうでなければブラジル側は協定離脱も辞さずの姿勢であり、これは(メキシコの自動車産業にとって)最悪の事態となるところだった」(「エル・フィナンシエロ」紙3月10日)として、メキシコ側に完全自由化への期待が大きかった中でも、現状維持が精一杯だったことを認めた。
(中島伸浩)
(メキシコ・ブラジル)
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