第3のブラック ジャック ルール ディーラー制度「SICAD II」が運用開始−経済活動に好影響との評価の一方、課題も山積−
カラカス事務所
2014年05月12日
為替協定27号が公布され、3月24日から第3の為替制度である「SICADII」の取引が開始された。SICADIIは自由為替市場に近い為替制度だが、他の2つの制度と比較してボリバル安のレートで取引が行われ、取得ブラック ジャック ルール ディーラーの使用目的に制限が設けられていないことが特徴だ。政府がSICADIIを導入した狙いは、非公式に行われる違法両替の撲滅にある。一方で利用者から、取引成立基準や為替レート決定プロセスの不透明さ、取引成立後のブラック ジャック ルール ディーラー入金遅延など、運用に対する不満の声が多く上がっている。
<違法両替の撲滅を狙いSICAD IIを導入>
ベネズエラでは政府が為替取引を管理しており、これまで2つの為替制度が存在していた。第1の制度は、食料品・医薬品の輸入や政府機関のブラック ジャック ルール ディーラー需要など、国の経済に必須となるブラック ジャック ルール ディーラー取得のための為替制度で、1ドル=6.3ボリバルの固定為替レートが適用される(2013年2月18日記事参照)。第2の制度は、2013年3月に開始されたSICADという競売に準じたシステムで、食料品や医薬品などに比べ重要度が落ちる財・サービスの輸入決済用ブラック ジャック ルール ディーラー取得に用いられる制度だ(2014年4月21日記事参照)。SICADのレートは競売ごとに中央銀行が決定するが、4月末時点では1ドル=10.00ボリバルとなっている。
2014年3月10日付官報40368号を通じてブラック ジャック ルール ディーラー協定27号が公布され、第3のブラック ジャック ルール ディーラー制度となるSICAD IIが施行された。SICAD IIは自由ブラック ジャック ルール ディーラー市場に近いブラック ジャック ルール ディーラー制度で、同月24日から実際の取引が始まっている。
政府はSICAD IIを導入した目的として、増加する違法両替の撲滅、および違法両替レートのドル高騰の抑制を挙げる。SICAD II以外の2つの為替制度では、入手できるブラック ジャック ルール ディーラーの使用目的に制限があり、この使用目的に合致しないブラック ジャック ルール ディーラーに対する需要が、違法両替に流れていた。また、本来は固定為替レートでのブラック ジャック ルール ディーラー取得が可能な品目を輸入する民間企業でも、政府からの許認可やブラック ジャック ルール ディーラー供給の遅延により、違法両替の利用を余儀なくされていたとの報告もある。非公式なブラック ジャック ルール ディーラー需要の増加は違法両替のドルレートを高騰させ、SICAD II導入前の2014年2月末ごろには、同レートは固定為替レートに対し13〜14倍ほどドル高ボリバル安となっていたとされる。違法両替レートのドル高騰は、政府職員が固定為替レートで入手したブラック ジャック ルール ディーラーを違法に売却し、多額のボリバルを得るなど汚職を誘発するインセンティブとなり、また輸入品価格を高騰させ物価上昇につながるとして、政府は対策を取る必要に迫られていた。
<自由為替市場に近いシステムでブラック ジャック ルール ディーラー売買が可能に>
SICAD IIは、ブラック ジャック ルール ディーラーまたはブラック ジャック ルール ディーラー建て証券を国内通貨ボリバルによって売買する自由為替市場に近いシステムで、金融機関の休日を除く毎日午前9時〜午後1時の間に取引が行われる。政府に認可された金融機関を通じて提出された、売り注文と買い注文の内容を中央銀行が審査し、取引の成立・非成立を決定する。ただ、為替協定27号第18条に、中銀が必要に応じてSICAD IIの取引に介入できると明記されており、完全な自由為替市場とはいえない。
2010年5月に施行された「ブラック ジャック ルール ディーラー不正取締法」(2010年5月19日記事参照)以降、ブラック ジャック ルール ディーラー建て証券を含めボリバルとブラック ジャック ルール ディーラーの両替行為は中銀の独占権限となっていた。しかし、2014年2月19日付特別官報6126号を通じて公布された「為替制度とその不正行為法」によって為替不正取締法が廃止され、国内金融機関がブラック ジャック ルール ディーラー・ブラック ジャック ルール ディーラー建て証券の売買を行うことが可能となり、SICAD IIの導入が実現した。
SICAD IIを通じてブラック ジャック ルール ディーラーを購入できるのは、ベネズエラ国内に住所を持つ成人または法人で、国内の金融機関にブラック ジャック ルール ディーラー口座を保有していることが義務付けられている。ブラック ジャック ルール ディーラー購入に当たり複雑な書類手続きは要求されない。所定のフォームに取引希望額、希望為替レート、ブラック ジャック ルール ディーラーの使用用途などを記入し、身分証明書の写しなどの書類を金融機関に提出するだけだ。
一方、ブラック ジャック ルール ディーラーの売却は国内に住所を持たなくても可能だ。また、国内にブラック ジャック ルール ディーラー口座を有する必要もない。購入の場合と同様に書類を金融機関に提出し、同機関の国外銀行口座に売却希望額を振り込むことで、ブラック ジャック ルール ディーラー売却が行われる。
<ドル高騰の抑制に効果>
SICAD IIで取引されたブラック ジャック ルール ディーラーレートの平均は毎日、中銀のウェブサイト(注)を通じて公表される。平均為替レートは取引初日の3月24日には1ドル=51.86ボリバルだったが、最初の1週間で急激なボリバル高に動き、その後は49ボリバルから50ボリバルの間で安定、開始1ヵ月後の4月24日には49.68ボリバルとなった(図参照)。他の2つの為替制度でのレートに比べ、大幅なドル高ボリバル安のレートとなるものの、貯蓄目的でもブラック ジャック ルール ディーラー取得が可能など、取得目的に制限がない点が利点だ。
また、政府の狙いどおり、SICAD IIの導入によって違法両替レートのドル高騰が抑制された。高騰を続けていたドルレートは、SICAD II導入が発表された後、3月上旬から中旬にかけて大きく下落し、4月に入ってからは固定為替レートの10倍ほどの水準のドル高ボリバル安レートで安定した。ブラック ジャック ルール ディーラー需要がSICAD IIに向かったことや、SICAD IIが本当に機能する制度か見定めるために違法両替を差し控える者が多いことが、原因と考えられる。そのため、SICAD IIが機能しないと判断されれば、安定しているレートが再び大きく変動する可能性も指摘されている。
<輸出で得たブラック ジャック ルール ディーラーの保有可能額が拡大>
SICAD IIの導入に加え、為替協定27号では輸出振興策と理解できる規則も定められた。これまで、輸出者(石油部門など一部の産業を除く)が輸出で得たブラック ジャック ルール ディーラーのうち、40%までは輸出にかかった経費を賄う目的で保有することができたが、残りの60%は1ドル=6.3ボリバルの固定為替レートで中銀に売却することが義務付けられていた。しかし、為替協定27号第3条の定めに基づき、保有できるブラック ジャック ルール ディーラーが60%まで拡大し、売却すべきブラック ジャック ルール ディーラーが40%となった。なお、売却すべき40%のブラック ジャック ルール ディーラーは、売却日のSICAD II平均為替レートで売却される。これによって、輸出者は今までより多くのブラック ジャック ルール ディーラーを自身で保有することが可能になり、また、ブラック ジャック ルール ディーラー売却時に対価として得るボリバルが増えることになった。これらは輸出を行うインセンティブとなり得る。なお、売却を義務付けられていない60%のブラック ジャック ルール ディーラーについても、SICAD IIを通じて売りに出すことが可能だ。
<インフレへの影響や制度の不透明性などが課題>
今まで存在した2つの為替制度では、ブラック ジャック ルール ディーラーを取得できなかった民間企業・個人にもブラック ジャック ルール ディーラー取得の可能性が開けたとして一定の評価がなされる一方、産業界からは不満の声も上がっている。ベネズエラ商工会議所連合会(Fedecamaras)のフランシスコ・マルティネス副会長は、SICAD IIの導入により輸入品価格が上昇し、インフレがさらに加速するだろうと懸念を示した(「エル・ティエンポ」紙2014年3月27日)。また、ベネズエラ中央大学教授で経済専門家のホセ・ゲラ氏は、2014年1月に施行された「正当な価格法」(2014年3月24日記事参照)とSICAD IIは両立しないと指摘している(「エル・カラボベーニョ」紙2014年3月25日)。SICAD IIではブラック ジャック ルール ディーラーレートが変動するため、原材料などの輸入価格を固定できない。そのため、生産コストを事前に決定することができず、「正当な価格法」の順守が困難になるとしている。
SICAD II開始から1ヵ月が経過し、幾つか運用上の問題も指摘されている。1点目は、SICAD IIの取引実績ならびにブラック ジャック ルール ディーラー供給額と需要額が公表されないことだ。ブラック ジャック ルール ディーラー購入を申請した多くの企業や個人から取引が成立しなかったという声が出ており、供給が需要を下回っていることは明白だとされる。2点目は、為替レートの決定プロセスが不透明なことだ。供給が需要を下回る場合、為替レートはドル高ボリバル安に傾くはずだが、運用開始時に比べ、SICAD IIの平均為替レートはドル安に動いている。売買取引の成立・非成立は中銀が決定しており、その決定プロセスが明らかにされていないため、中銀により恣意(しい)的な介入がなされているのではないかとの見方がある。3点目の問題は、購入したブラック ジャック ルール ディーラーの入金の遅れだ。為替協定27号第12条において、現金ブラック ジャック ルール ディーラー売買は取引成立から48時間以内、ブラック ジャック ルール ディーラー建て証券の売買は72時間以内に、購入したブラック ジャック ルール ディーラーが口座に入金されることになっている。しかし報道によると、取引成立から入金までに9営業日ほどがかかっているという。
最後の問題は、国内口座に入金されたブラック ジャック ルール ディーラーを国外に制限なく送金できるか明示されていない点だ。マルコ・トーレス経済財務公共銀行相はSICAD IIの運用開始に先立ち、「ベネズエラ国内のドル口座から他国の口座への送金はまだ許可されていないが、旅行者は口座内のドルを、デビットカードを用いて国外で利用できる」と発言している。この発言に基づけば、SICAD IIで得たブラック ジャック ルール ディーラーは、国外へ自由に送金できないと考えられる。SICAD IIが今後、効果的に機能し、ベネズエラ経済を安定化させる為替システムになるか。そのためには制度の透明性が確保され、利用者の信頼を得た上でブラック ジャック ルール ディーラー供給を増やせるかが1つの焦点になる。
(注)リンク先の「Tipo de Cambio promedio ponderado de las operaciones transadas a traves del Sistema Cambiario Alternativo de Divisas (SICAD II)」からダウンロードできるエクセル上で、平均ブラック ジャック ルール ディーラーレートを確認できる。
(松浦健太郎)
(ベネズエラ)
ビジネス短信 536c74b996640