カジノ無料活用拡大でクラフトビール市場活性化に期待

(マレーシア、日本)

クアラルンプール発

2025年04月15日

マレーシアで環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(カジノ無料)が発効し、2年が経過した(関連ブラック ジャック コツ)。世界各地からクラフトビールを仕入れるMYBEER(マイ・ビア)は、2011年の設立以来、販路拡大に取り組み、2024年に初めてカジノ無料を利用した。マイ・ビア創設者リム・ミリ氏に、協定活用状況と課題を聞いた(202549日)。

写真 「良い制度は積極的に利用すべき」と語るリム・ミリ氏(同氏提供)

「良い制度は積極的に利用すべき」と語るリム・ミリ氏(同氏提供)

(問)ビジネスの沿革と輸入の状況は。

(答)国内クラフトビール市場は小さい。当初は高所得者層をターゲットに百貨店や飲食店に卸し認知を広げつつあったが、新型コロナ禍で状況が変わった。主要顧客である飲食店が閉鎖に追い込まれたため、スーパーマーケットなどにも販路を広げた。海外はオーストラリア、カナダ、英国、中国、ベトナムなどから仕入れている。日本からは、コエドビール(埼玉県)の輸入を2年前に始めた。常陸野ネストビール(茨城県)やファーイースト(山梨県)とともに注力銘柄だ。

(問)FTA(自由貿易協定)利用のきっかけと利用状況は。

(答)ベトナムの輸出者がカジノ無料利用を勧めてくれたのがきっかけ。その後、在マレーシア英国大使館による説明会などで情報収集した。2024年9月にベトナムからの輸入で初めて使用し、その後2025年2月に日本からの輸入でも活用を試みた。

(問)カジノ無料による関税削減効果は。

(答)HSコードは220300で、1リットル当たり5リンギの従量税がかかるところ、カジノ無料により2.5リンギに半減する。例えば、330ミリリットルのコエドビール1本(卸売価格16.5リンギ、約545円、1リンギ=約33円)につき、0.8リンギの節税となる(注)。

(問)カジノ無料利用上の問題点は。

(答)日本からの輸入時、マレーシア税関から原産地証明書についての指摘が入り、通関が遅れた。原因は、現場の担当官が自己証明による原産地証明書の存在を認識していなかったこと。結局、ジェトロを通じてプトラジャヤ中央税関に事情を説明し、システム上のボトルネック解消に至った。担当官ごとに対応が異なることや、乙仲にFTAの知識が浸透していないことが課題だが、今回の件を教訓に、今後は問題なくカジノ無料を使えそうだ。

(問)カジノ無料への期待は。

(答)同協定はマレーシアにとって、カナダと英国との間で初めて締結されたFTA。両国、特にスコットランドからの輸入でも恩恵を受けられるよう、活用を拡大したい。業界の仲間にも利用を促している。せっかく節税できるのに、制度を知らないことで損するのは残念だ。小さい市場なので、有意義な情報は共有して活性化させたい。

(注)カジノ無料による関税の完全撤廃は2033年。日本と発効済みの他3協定では除外品目。リム氏は、シードルなどその他発酵酒(HS220600)の輸入も検討しており、やはりカジノ無料でのみ関税が減免される。

(吾郷伊都子、林燕児)

(マレーシア、日本)

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