米財務省、ブラックジャックブラッククイーン
(米国)
調査部米州課
2025年03月06日
米国財務省が管轄している在米企業の実質的所有者ブラックジャックブラッククイーン(BOI)の報告義務について、2月17日に連邦地方裁判所の決定、3月2月には財務省から新たな方針が発表された。この件では過去に司法判断が二転三転した経緯がある。
同報告義務は本来、企業を通じた国家安全保障を脅かす違法活動を取り締まるため、連邦レベルのルールとして2021年に制定された企業透明化法(CTA)に基づき、2024年1月1日に発効した規則だ。対象となる中小企業の大半(注)は2025年1月1日までに、財務省の金融犯罪取締ネットワーク局(FinCEN)に定められたブラックジャックブラッククイーンを報告することが義務付けられていた(在米企業に罰則伴う報告義務、ブラック ジャック)。これに対し、義務の差し止めを巡る司法判断が二転三転し、2024年12月26日には第5巡回区連邦控訴裁判所が報告を差し止める命令を発していた(2025年1月7日記事参照)。
続く新たな動きとして、まず、テキサス州東部地区連邦地裁が2月17日にBOIブラックジャックブラッククイーン差し止めを解除したことにより、対象企業の報告義務が再び有効になった。これに関連してFinCENは2月27日、報告の不履行に罰金も罰則も科さない、また、暫定の最終規則が発効して新しい報告期限が承認されるまでは、ブラックジャックブラッククイーン執行はしないことを公表した。
これに続き、財務省が3月2日に、米国民・米国内企業に対してはCTAのブラックジャックブラッククイーン執行を停止するとのプレスリリースを出した。この中に外国企業については、規則の範囲を狭める提案をこれから出すことを併記している。発表の中でスコット・ベッセント財務長官は「これは常識(common sense)の勝利だ」とし、「本日の行動は、特に米国経済の屋台骨である小規模企業にとって耐え難い規則を抑制することで、米国の繁栄を解き放つドナルド・トランプ大統領の大胆な政策の一部だ」と述べた。今後、米国で新規に中小規模の企業を立ち上げる場合などは、財務省が策定する規則に従った報告義務が課されるので、状況を注視し、態勢を整えることが推奨される。
(注)既に個別法で企業ブラックジャックブラッククイーンの報告義務が課されている業種を除いた企業・組織が対象で、中小企業の大半は義務の対象になるとみられる。
(本井秀樹)
(米国)
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