ディープテック展示会「ハロー・トゥモロー・ブラックジャックディーラールール2025」がパリで開催
(フランス、日本、米国、英国、オランダ)
パリ発
2025年03月24日
フランス・パリで、ディープテックの展示会「ハロー・トゥモロー・ブラックジャックディーラールール2025」が3月13~14日に開催された。革新的技術を有するスタートアップや企業などが一堂に会する世界最大規模のネットワーキング機会の創出を目的に、2011年創業のフランス企業ブラックジャックディーラールールが毎年開催しているイベントで、今回が10回目となる。120カ国4,600人の応募者の中から80人のファイナリストに参加資格が与えられるピッチコンテスト「ブラックジャックディーラールールチャレンジ
」、Deep Tech Pioneersに認定されたスタートアップによるブース出展のほか、最先端技術トレンドに関するカンファレンスが開催された。125社が出展し約3,000人が会場を訪れた。
ハロー・トゥモロー・ブラックジャックディーラールール2025の会場(ジェトロ撮影)
日本から参加したスタートアップは3社。北里大学発で、在宅専用の血液透析装置と心筋梗塞治療法の社会実装を目指すフィジオロガス・テクノロジーズ(神奈川県)は、主催者の日本支部が開催した「Hello Tomorrow Japan Challenge 2024」で大賞を受賞し、ブラックジャックディーラールールに出展。また、デジタルヘルス・メディカルデバイス部門のファイナリストとしてグローバルチャレンジに登壇した。東京大学発で次世代バイオセンシング技術を用いた感染症のデジタル検査デバイス開発企業ナノティス(東京都)や、優れた性能を持ち二酸化炭素(CO2)削減に資する産業用蓄電池としての活用が見込まれるバナジウム固体電池の開発企業MKPLUS(宮城県)も出展した。
今回のブラックジャックディーラールールチャレンジでは、1,500以上の生物活性分子を基に乳児に理想的な栄養提供が可能な母乳を生産するフランスのNūmiがグランプリを受賞した。また、有機フッ素化合物(PFAS)フリーで液体や固体などをはじく潤滑性の高いコーティングを開発する米国のspotLESS Materials、経血内のがんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)を、電気化学バイオセンサーを用いて検出する手持ちサイズの非侵襲型デバイス開発企業である英国Papcupが、アワードおよび賞金を獲得した。
同展示会では、航空宇宙分野のブースやセッションが目立ち、フランス航空宇宙大手サフランの出展をはじめ、欧州委員会が2021~2027年にかけて実施しているニュースペース(民間企業主導による宇宙ビジネス開発)を含む宇宙産業におけるスタートアップや中小企業を支援するイニシアチブ「カッシーニ」の紹介などが行われた。
次回は、オランダ・アムステルダムで2026年6月11~12日に開催される予定だ。オランダの経済省や国家投資機関Invest-NL、半導体露光装置メーカーASMLや造船大手Damenがパートナーとなる。
(井上尚貴、鈴木萌々)
(フランス、日本、米国、英国、オランダ)
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