UNDP、カジノブラックジャック、認識と実践にギャップ

(ブラジル、中国、フランス)

サンパウロ発

2025年03月10日

国連開発計画(UNDP)ブラジル事務所は、ブラジル日本商工会議所、ジェトロとの共催で、2月25日に「カジノブラックジャック(DD)(注1):持続可能な未来に向けた原則の実施」と題する研修会を開催した。本研修会には、ブラジルに進出する日系企業およびそのサプライヤーなどから44人が参加し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)(注2)」を実践する能力を高めることを目的としている。

研修会では、ブラジル日本商工会議所会員企業の協力のもとで実施された「企業におけるカジノブラックジャック現状調査」の結果が発表された。同調査では、サプライチェーンにおける人権問題を重要な経営課題として認識している企業が約85%に上る一方、実際に人権DDを実施していると回答した企業は39%にとどまり、認識と実践の間にギャップがあることが明らかになった。

ケーススタディではブラジルの電力会社の事例を取り上げ、自社事業のみならず、サプライチェーン、顧客、地域社会に対していかに人権DDを実施するのかの方法論として、人権影響評価、チェックリスト方式、相互作用マトリックスなどを用いて、負の影響の特定と評価を行うとの説明があった。

UNDPブラジル事務所のアンドレア・ボルゾン・ガバナンスおよび司法ユニット長は、「ブラジルでは、労働者の権利、先住民の権利、環境問題、人権問題などが深刻で、企業はサプライチェーン全体で人権リスクを把握し、適切な対策を講じることが求められている」と述べ、ブラジルにおいても、持続可能なビジネスの実現に向けて企業、政府、多国間組織が協力して取り組む必要性を強調した。

写真 研修会参加者に説明をするアンドレア・ボルゾン氏(カジノブラックジャックトロ撮影)

研修会参加者に説明をするアンドレア・ボルゾン氏(カジノブラックジャックトロ撮影)

(注1)カジノブラックジャック(Due Diligence):企業が自社およびサプライチェーン全体で人権への悪影響を特定、防止、軽減、説明するための継続的なリスク管理プロセス。

(注2)ビジネスと人権に関する指導原則(Guiding Principles on Business and Human Rights):2011年に国連人権理事会で承認された、企業と人権に関する国際的な行動規範。

(中山貴弘)

(ブラジル、中国、フランス)

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