米連邦政府支出の一時停止や規制見直しなどで混乱も、ブラックジャックルールディーラー

(米国)

ニューヨーク発

2025年03月07日

ブラックジャックルールディーラーは米国の環境エネルギー政策動向をまとめた2025年2月分の月例レポートPDFファイル(425KB)を公表した。同レポートは、日本企業が米国の環境・エネルギー政策に関する動向を把握できるよう、毎月作成して特集ページに連載している。

トランプ政権による連邦政府の助成金やローンなどの拠出の一時停止()により、現場レベルではさまざまな混乱が生じている。例えば、環境保護庁(EPA)が所管する低所得世帯向けの太陽光発電設置支援(「Solar for All」プログラム)や、運輸省が所管する電気自動車(EV)充電ステーション整備(NEVIフォーミュラプログラム)などへの拠出は保留された状態だ。これらのプログラムのほかにも、グリーン水素や洋上風力発電などに係るトランプ政権の方針の変更が各種プロジェクトに影響を与えているもようで、今後、政策の先行き不透明感が民間投資に影響することが懸念される。

政策の見直しは規制面でも進められている。EPAは2月14日、カリフォルニア州が独自に設けた厳しい自動車排ガス規制「先進クリーンカーII(ACCII)」の適用免除の撤回に向けて、議会で審議していくとの声明を発表した。この適用免除があることで、同州は連邦政府の基準より厳しい独自の排ガス規制を実施できていた。この動きはドナルド・トランプ大統領の大統領令に沿ったもので、同州の免除措置に追随した他11州への影響も大きく、今後の動向が注目される。このほかにも、米証券取引委員会(SEC)は、2月11日、温室効果ガス(GHG)排出量や財務へのインパクトなどの気候関連情報の開示を義務付ける規則に関し、共和党州や業界団体が提起していた訴訟の応訴手続きを停止する方針を示すなど、バイデン前政権下で策定された各種規制の見直しを進めている。

他方、トランプ政権が掲げる石油・天然ガスなどの増産に関する業界団体の反応はまちまちだ。石油・ガス業界は、液化天然ガス(LNG)輸出承認手続きの再開やEV導入義務付け撤廃などの政策()には賛同する一方、パリ協定離脱()に対しては、国際気候変動枠組みからの離脱は支援しないとの立場を表明している。また、米国内の石油・ガスの生産拡大に関しては、石油の過剰生産は市場の飽和をもたらし、その結果、石油価格の下落、収益減少につながることから、乗り気でないとの見方が強い。

なお、ブラックジャックルールディーラー特集カードゲームブラックジャックの「米国環境エネルギー政策動向マンスリーレポート」から動向情報が随時確認できる。

(藤田ゆり、加藤翔一)

(米国)

ビジネス短信 9ff6f08d47bff3e8