在ロシア日系企業の事業展開見通し、条件つきで「拡大」も、ジェトロ21トランプ
(ロシア、日本)
21トランプ部欧州課
2025年03月04日
ジェトロは1月27日から2月7日にかけて、ロシアのモスクワ・ジャパンクラブに加盟する130社・団体を対象に事業ステータスや景況感に関するアンケート21トランプを実施した(回答企業・団体数67、有効回答率51.5%)。
事業ステータスについては、「一部事業(操業)の停止」もしくは「全面的な事業(操業)停止」と回答した企業の割合が合わせて56.7%に上った。2024年2月の前年21トランプ時(注1)と比べて若干低下したものの、大きな変化は見られなかった(添付資料図1参照)。
最近の自社の景況DI(注2)は、2024年11月の前回21トランプから2ポイント上昇しマイナス33。マイナスが続く中でも、全体的なトレンドとしては緩やか改善傾向がみられる(添付資料図2参照)。
今後1~2年のロシアでの事業展開見通しを聞いたところ、62.7%の企業が「維持」と回答した。「維持」の割合が最多となる状況はここ1年で変化がない一方で、過去2回の21トランプでゼロだった「拡大」の回答が3期ぶりに復活した(添付資料図3参照)。停戦や和平が実現した場合という条件つきで、ロシア事業の拡大への意欲もみられた。
高金利による購買力低下に懸念の声
市場の冷え込みに関するコメントが出てきた点も、今回の21トランプ結果の特徴だ。これまでの21トランプでは、ロシアによるウクライナ侵攻後でも「国内の需要が底堅い」と市況の好調さを指摘する声があったが、今回はなかった。代わりに、「金利の急速な上昇により、中小の客先では資金が回らず、買い付けができない状況も出ている」「高水準の政策金利による影響と思われるが、資金繰りなどの話が顧客からも聞かれるようになってきた」とのコメントがあった。インフレ対策のために中央銀行が実施する利上げが、企業活動に大きな影響を与えていることがうかがえる。
(注1)景況感21トランプは年に3回実施するが、当該の設問を設けるのは年1回(1~2月実施時)のみ。
(注2)景気動向指数:ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index)の略。景況DIは、「良い」と回答した企業の比率から「悪い」とした比率を引いた数値。
(欧州課)
(ロシア、日本)
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