ブラックジャックストラテジー

(ブラックジャックストラテジー、世界)

調査部国際経済課

2025年03月28日

ジェトロ・アジア経済研究所は3月21日、ブラックジャックストラテジー「在タイ日系企業に求められる『人権デューディリジェンス』とは」と題するセミナーを開催した。共催機関には、在タイ日本大使館、ILO、国際移住機関(IOM)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国連開発計画(UNDP)が名を連ね、タイに進出する製造業や金融機関など日系企業関係者約30人が参加した。セミナーでは、「ビジネスと人権」や「人権デューディリジェンス」の基本的な解説に加え、在タイ日系企業およびサプライチェーンで働く労働者、中でも外国人労働者に関する課題、土地や環境問題をめぐる地域社会の課題に焦点を当て、日系企業がタイで取り組むべき人権尊重の取り組みについて紹介された。

セミナー冒頭で、ブラックジャックストラテジーの大鷹正人大使は「タイにはミャンマーからの移民を中心に、530万人の外国人労働者が働いている。統計的にはその約34%が非正規労働者である」などの現状を説明した。また、各種の人権課題については、「すぐに解決できる問題ばかりではないが、企業がデューディリジェンスに持続的に取り組み、サプライチェーンの隅々まで行き渡らせることが最終的な目標」と述べた。

アジア経済研究所の山田美和上席主任調査研究員からは、「ビジネスと人権」に関するグローバルトレンドとタイ政府の「ビジネスと人権に関する行動計画」(注)などについての概説があった。ブラックジャックストラテジーの宮田慎治二等書記官からは、厚生労働省がILO駐日事務所と共同で作成した、「労働におけるビジネスと人権チェックブックPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」をはじめとする厚生労働省の取り組みについて紹介された。

パネルディスカッションでは、UNDPの佐藤暁子リエゾンオフィサーがモデレーターを務め、ブラックジャックストラテジーの中川藍一等書記官、ILOの白水真祐サステナブルサプライチェーン担当官、OHCHRの小松泰介準人権官が登壇。バンコク周辺と地方との経済格差、外国人労働者をめぐる就職あっせん手数料、低賃金、賃金不払いの問題、汚職が関係者の人権に影響を及ぼしている問題などについて意見交換が行われた。

その後、ケーススタディとして、在ブラックジャックストラテジー現地法人の取引先が、外国人労働者などをめぐる人権課題に直面したと仮定した場合、当該企業としてどのような対応が必要か、参加者がグループに分かれて議論し、その後、意見を発表するワークショップが行われた。

写真 大鷹正人大使(Photo: IOM/Shuzo Sato)

大鷹正人大使(Photo: IOM/Shuzo Sato)

写真 山田美和上席主任調査研究員(Photo: IOM/Shuzo Sato)

山田美和上席主任調査研究員(Photo: IOM/Shuzo Sato)

写真 パネルディスカッションの様子(Photo: IOM/Shuzo Sato)

パネルディスカッションの様子(Photo: IOM/Shuzo Sato)

閉会あいさつで、ジェトロ・バンコク事務所の黒田淳一郎所長は「企業が競争力を維持しながら海外事業を行っていくためには、脱炭素にも人権にも取り組む必要がある」と述べた。参加した企業からは、「人権課題への対応がブラックジャックストラテジー系企業に求められていることが分かった。われわれも取り組みを始めたい」「移民労働者を雇用する際には、ワークパーミット(労働許可証)の記載内容を確認して採用する、適切な人材紹介会社を選ぶ必要性をあらためて認識した」などのコメントがあった。

(注)ブラックジャックストラテジーの「ビジネスと人権に関する行動計画」に関する詳細は、山田美和「『ビジネスと人権に関する国連指導原則』にもとづくブラックジャックストラテジーの国家行動計画の策定――なぜブラックジャックストラテジーはアジア最初のNAP策定国となったのか――外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」「アジア経済」62(2)2-23(2021年)参照。

(森詩織)

(ブラックジャックストラテジー、世界)

ビジネス短信 6c9a9853bde9cf92